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未完の奇跡、遠い世界一(上)

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今季すべての試合を終え、記者の質問に答えるヤンキースの松井秀=10月8日、ヤンキースタジアム(共同)

(2007/11/12)

 ――5年目の総括は。昨年、手首を骨折し、今年は「病み上がりの真価が問われる」と言っていたが。
 「今年も体調面では、去年とは違った意味で不本意なシーズンでした。いい体調の時が少なかった。春先は太ももを痛めた(肉離れで13試合欠場)し、7、8月の途中ぐらいまでじゃない?  ほんとに良かったのは。7月(13本塁打で初の月間MVP受賞)はあれだけ状態良かったしね。でも、あの状態がずっと続くとも思ってなかったし、なかなか難しいですよ」

 「右ひざの痛みは、自分が悪いって言えば、それまでなんですけど、長年の“勤続疲労”でしょうね。日本は東京ドームだけじゃなくて人工芝が多かったから。その上で10年間やって、今(痛みが)出 たというのはあるでしょうね。ひざの軟骨が削れている。軟骨は骨の周りにあって、柔らかいクッションの役割をする。それが無いと骨と骨が直接あたって炎症を起こす。(巨人時代の)1998年にやった左ひざと一緒。 その時より痛いけどね。プロバスケットボールのNBAの選手にも多いみたい。あれだけ跳んだり跳ねたりするから、軟骨が全然ない人もいるんだって」

 ――今季は打率2割8分5厘、25本塁打、103打点。100打点は5年間で4度目。自己評価は。
 「んーー、難しいね。よくはないですよ。なんか、もっと全然できた感じはあるから……」

 ――レッドソックスは96勝で東地区優勝。ヤンキースは94勝で10連覇を逃した。2勝の差は何か。
 「なんでしょうねえ、ヤンキースなりには精いっぱいやったと思う。直接対決はヤンキースの10勝8敗? 要はどこかでボストンに1勝してれば、並んでたっていうことだよね。4 月の最初の3連戦で3連敗したでしょ。そこで1勝でもしていれば、並んでヤンキースが優勝なんだよね。でも、ヤンキースはちょっとけが人が多かったね。あと、あまりにもスタートが悪すぎた。ボストンは、け がした選手なんてほとんどいなかったでしょ」

 ――3年連続で地区シリーズ敗退。2005年、エンゼルスに負けた時は「我々に隙(すき)があった」、06年のタイガースには「力負け」と言ったが、今年のインディアンスにはシーズン6勝負けなし。 力負けとは言えないと思うが。
 「そうだねえ。敗因? やっぱり打てなかった事じゃない。チェンミン(王建民、2年連続19勝)が打たれたというのも大きいけど、サバシアとカルモナ(19勝コンビ)とやった1、2 戦で打てなかった。サバシアは崩せるチャンスはあったんだけど、同点のチャンスの1死満塁で、ポサダが3振。で、2死満塁で、僕がショートフライ。あそこで点取ってればね。みんな結局、打てなかったからね。A・ロ ッド(アレックス・ロドリゲス、15打数4安打)も打てなかったし。カノー(15打数5安打)とジョニー(デーモン、18打数5安打)がちょっと打ったぐらいで、あとはほとんど打ってないでしょ」

 ――計4戦で打率1割8分2厘(11打数2安打)、本塁打、打点はゼロ。自分の出塁率は知ってるか?
 「結構いいでしょ。4球いっぱい選んだから、4割ぐらいあるんじゃないの。チーム1位(4割3分8厘)? ほんと? ヒットは2本しか打ってないけどね。3戦目は全打席出塁したからね。4 戦目もヒットは打てなかったけど、24球を選んだ。2戦目も1個。全部で4球5個か。でもチャンスで打てなかったからね。それだけだよね」

(聞き手はニューヨーク =朝田武蔵) 

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