■ 漫画電子化
部屋が本だらけでお困りの方におくる
電子化への道。
<漫画を見るなら回転機能付きディスプレイが便利>
必要な機材も揃ったことだし。
ここらで漫画のデジタル化指南の総まとめに入りたいと思います。
自分の作業に対するマニュアル化の意味も含めてあるので
今回のログは保存版となります。
では早速、本題。
今からお話するのは漫画の電子化作業の説明になります。
早い話がコミック本をスキャナでスキャンするというものです。
…でもこれが言うが安し。
実際、やってみると色々と下準備が必要なことがわかってきます。
たぶん、普通のスキャナでは1冊1週間のペースになるでしょう。
もちろん、そんなのは俺の性に合いっこありません。
なにせ動画のエンコード作業ですらちんたらしすぎて
我慢できない性質です。そのような理由から
一度としてまともな動画ファイルを作ったことがありません。
(動画GIF除く)
そんな俺がコンバート作業で目指すものは
とかく実用性重視だということ。
チェーン店並みに安い、早い、綺麗をモットーとします。
だから今回の作業で時間をかけて質をあげるというのはナシ。
流れ作業の出来る範囲で質の向上を狙います。
漫画のデジタル化に興味がある方は続きからどうぞ。
電子化に必要なもの
FUJITSU スキャンスナップ FI-S500
自動給紙機能付きのドキュメントスキャナ。
漫画取り込みの肝となる装置。
価格はおよそ4万5000円〜5万くらい。
スキャナとして考えるなら高価だけど
ADF(自動給紙)付きでアクロバットスタンダード
が付いてくる。
そう考えると決して高くない装置。
手動断裁機 PK−513
ホームユースで漫画を裁断することが
可能な裁断機。
スタパ斉藤氏が取り上げたことをきっかけに
未だマニアックな人気を誇る。
検索してもこれしか出てこないという
まさに本をバラす為に生まれてきた申し子。
価格はおよそ2万強。
本を捨てる勇気
これが無いと始まらない。
若干の時間
慣れると一冊1時間。
とはいえこれがなかなか捻り出せない時間
休日に少しずつやっていくしかない。
電子化スタート
今回の犠牲もといサンプル
【あいこら】
176mm(H)x114mm(W) 205ページ(白紙除く)
ターゲット層を絞りに絞り込んだ漫画。
方向性がはっきりしすぎです(笑。
そんな漫画を今回、電子化していきます。
(1) 表紙カバーを取る 【5秒/計5秒】
あっという間に終わる作業。
なんとカバーを取るだけです(大げさな…。
ま、それはともかく
たまに紙表紙の方にオリジナルの漫画が
印刷されてたりすることもあるので
なんとなく覗き見たい気分になりますよね(?。
(2) 谷折りにする 【10秒/計15秒】
裁断機の裁断厚が15mm。
当然
このままの製本状態では裁断できません。
なので最初に手動で本を2分割にしてしまいます。
これはその準備段階。
折り目が目に見える位、谷間を作ります。
(ブラと一緒ですね。)え?
この行為をやってしまうと
商品価値がほぼゼロになるので
後に引き返せない工程という意味では一番最初の試練です。
(3) 半分に切る 【5秒/計20秒】
裏返した谷折のラインに沿ってカッターで切ります。
これで見事に半分になりました。
気分は、あ〜やっちゃったー。です。
(新品だと尚更)
(4) 裁断する 【15秒x2/計50秒】
ここがアナログ媒体におけるキモの部分。
カッティングです。
PK−513(裁断機)はカットラインが出力されるので
大まかな目安はつけられますが
せっかく目盛りがついているので
ここで標準化しちゃいましょう。
カッティング幅は次の通りです。
単行本B6サイズ・500円タイプ 185(H)x130(W)
125mm(カッティング5mm)
ジャンプコミックスサイズ・390円タイプ 176(H)x114(W)
110mm(カッティング4mm)
経験から言ってカッティング幅は4mm分、持たせないと
糊が綺麗にとれません。
ここは思い切って裁断です。
PK−513はそこら辺で売ってる裁断機と違い
勢いを必要としませんから
テコの応用力を最大限に活かしサクッと切れます。
力は全然いりません。
レバーを深く静かに押し込んでいきましょう。
(何かエロイ)
※逆に力を入れすぎると刃を受ける受木部分を痛めてしまいます。
(5) 糊付け点検 【1分/計約2分】
裁断した漫画に糊がついてないか確認する工程です。
よく最初のページと最後のページ部分に糊が
くっついている事が多い(1〜2ページ分)ので
ここで綺麗にさばいちゃいましょう。
この作業を怠けるとスキャン時の
ダブルフィードの原因にもなるので作業自体は
丁寧すぎるくらいがベスト。
初めてカッティングした時、その切断面の綺麗さには驚いたもんです。
簡易とはいえ業務用だけはあるなぁと心底、実感しましたよ。
(6) 工程分割 【15秒/計約2分】
スキャンスナップの読み込み限度を考慮して
最初から読み込む回数分にわけてしまいます。
どんな漫画でも大体3分割で綺麗にはけます。
ここで注意点を一つ。
この作業中
絶対、ページをバラバラに配置しない事。
裁断機でカッティングされたページは
どっちが背表紙側か
そうじゃないのか
見極めが大変困難な代物と化します。
ごちゃまぜにすると
そりゃもうパズルです。
一度ヘマをしたことがあって
元に戻すのが凄い大変でした。
これは一種の拷問かもしれん
とか修復してて素でおもったからね。
(7) スキャン開始 【約8分/計10〜15分誤差含み】
ようやくここで電子化の担い手。
SCANSNAPの登場です。
自動原稿送り装置(ADF)を謳った製品は数あれど
5万円台という価格帯で勝負できる個人ユース製品は未だこれだけ。
富士通(PFU)の独壇場です。
もっと他のメーカーも力を入れていい分野だと思うんですけど
依然として人気が振るわないのがこのジャンル。
実際のところ、
メーカー側に旨みがあんまりないのが原因かも知れません。
問題なのは消費利益の還元率。
キヤノン、リコー、ゼロックス当のOAメーカーが
利権をかけて争っているのは大型機〜中型機の業務用ラインアップです。
プリンタ自体の保守契約と
サプライ品の根回しで旨みを吸い取る古くからあるビジネススタイル。
よく街中にメーカー名を掲げたライトバン(社用車)が
修理や営業にかけずりまわている姿を目にするアレです。
そこに
個人ユースのADF付きスキャナーを登場させても
採算が取れるのは
最初のハード販売利益と
いつヘタれるかわからない
消耗部品(ピックアップローラー)の利益のみ。
これじゃ民生用プリンタの
インク代(サプライマージン)にもおぼつきません。
そんなジャンルでは
メーカー側もやる気が出ないのは当然かもしれませんね。
と無駄話をしたところで
要のソフトウェア設定に入ります。
漫画を取り込む上で
いくつかスキャンスナップで気をつけたい設定があります
それはまず、絶対に読み取りモードは
「
スーパーファイン」にすること。
色は「
カラー」
保存形式は「
PDF」
オプションは「
文字をくっきりします」を有効にします。
これには理由があって
スーパーファイン以下のモードは
コミック保存の解像度としては物足りないレベルであるということ
カラーにするのは
白黒で読み込むと
グラデーショントーンなどの微妙な階調表現が
潰されてしまい後述するオプションを有効にすると
目も当てられない階調ズレが生まれるため。
保存形式にPDFを選択するのは
JPGを選ぶと
圧縮モードをいくら低圧縮にしようとしても
どうしても軽度のブロックノイズが混入してしまう為。
さらにオプションの
「文字をくっきりします」機能をオン。
これは、つまるところ
読み込んだ画像に対し
シャープネスするかしないかの設定。
これを有効にするだけで
画質にドエライ変化が出ます。
これを白黒モードで適用できれば万々歳なんですが
そうそう都合の良い様には運びません。
トーン部分の階調パターンが
おかしくなる傾向があるのです。
だからこのオプションを有効にするには
カラーで読み込ませる必要があります。
後はお好みでオプションを設定して
準備が整ったらスキャンボタンを押すだけです。
あとは勝手に読み込んでいってくれます。
※原稿のセット位置※
原稿は必ず横にセットします。
なんで縦じゃないのか?。
それは少しでもミスリードを失くす為です。
いくら裁断機で綺麗に切った断面とはいえ
製本されたキッチリしている横の均等差には適いません。
それに一度に読み取る面が多いのも横なので
スキャン時間の短縮にもつながります。
いいこと尽くめです。
(8) 生成確認 【5分/計約20分】
生成物の確認を行います。
・大きな斜行は起きていないか?
・ゴミが付着して生成物全体に影響が出てないか?
あくまで全体的な視点でチェックを入れていきます。
ちなみにこの段階のサイズで250MB超。
単行本サイズとしては大きすぎます。
最低100MBを下回らないと話になりません。
(9) 画像回転 【30秒/計約20分】
定位置を横でスキャンした為(理由は上記で説明済み)
元に戻してやる必要があります。
アドビのアクロバットでページの回転を実行しましょう。
偶数ページは左90度
奇数ページは右90度
がデフォルトです。
(10) 台紙削除 【30秒/計約21分】
スキャンスナップの仕様により
一度に全ページをスキャンできないのは説明しました。
その為、何回かにわけて読み込む必要があるのですが
ここでまたひとつ機能上、避けてはとおれない現象に見舞われます。
それは原稿をピック(給紙)する時の機械的現象。
ローラーで紙を送る時。
どうしても最初のかみ合わせ時には
用紙が不安定な状態になります。
(仕様なのでどう仕様もない…ん?洒落か)
この時、まだ原稿が一枚でも残っていれば
それが押さえとなって安定給紙が実現するのですが
その押さえが一枚も無くなった時。
つまり
最後の一枚だけはどうしても
斜行しがちになるのです。
そこで保険として押さえとなる台紙を
最後のページにつけておくのです。
でここから
やっと説明できるのですが
この余分な台紙分を削除するのがここの工程です。
3回読み込ませれば6枚の台紙(表・裏)が存在していることに
なるのでその分をキッカリ削除します。
(11) 画像抽出 【スペック依存/計約35分】
アドビのアクロバットの機能に
全画像の抽出というコマンドがあります。
これを実行させましょう。
JPGファイルが指定の場所にどんどこ量産されます。
ここでようやく250MBあったサイズが
78MBにまで減りました。
(12) リサイズ・他 【スペック依存/計約45分】
ここがパソコンで行う一番、シビアな所。
・JPGの圧縮度を何%に設定するか。
(プログレッシブJPG+グレースケール)
「85%」
・シャープはどれくらいかけるか
・コントラスト値はどのくらいに抑えるか
・ガンマ補正は?
などなど細かな調整をリサイズとともに行います。
これは人の好みもあるので
経験して自分なりのベストを探すしかありません。
(13) 書庫作成 【30秒/計約45分全工程誤差10分】
リサイズされたJPGファイル群はここで68MBにまで押さえ込みました。
これならなんとか実用に値するレベルです。
さて、仕上げに無圧縮形式のZIPファイルでひとくくりにして(書庫化)
電子化を完成させましょう。
(14) 仕上がり確認 【5分〜読みきるまで/計約60分】
最後に仕上がり確認です。
ぶっちゃけ普通に読んでしまう危険性がある工程です。
これでなんど電子化の作業が遅れたことか(笑