【ワシントン和田浩明】地球に衝突する可能性がある小惑星を発見・監視する米航空宇宙局(NASA)のプログラムに関する公聴会が8日、米下院で開催された。NASAは現体制では議会が設定した監視対象の14%しか発見できないとした上で、「予算の制約上、体制拡大は困難」と説明。議員からは「激突すれば被害は甚大。対応を強化すべきだ」との声が上がった。
米議会は05年、太陽から約2億キロ以内にある、直径140メートル以上の物体の9割を15年以内に発見・監視する計画の提出をNASAに求めた。NASAの現行プログラムは直径1キロ以上の小惑星を監視対象にしている。
下院科学委員会の宇宙航空小委員会で証言したNASA幹部は、他国政府の観測施設を使い、新たな専用天文台を建設したうえで、監視対象の範囲を大幅に狭めれば目標達成は可能と説明した。
これに対し同小委のバート・ゴードン委員長(民主党)は「NASAの報告は不十分」として計画の練り直しを求めた。
NASAによると、議会が監視を求めるサイズの小惑星は約10万個存在する。小惑星の激突は約6500万年前の恐竜の絶滅を引き起こしたとされる。最近では89年に小惑星が地球の70万キロ付近に接近したが、発見されたのは最接近後だった。
|