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この情報の最も新しい更新日は11月13日(火)です。

山田洋行へ防衛省天下り

「売り上げ

 10億円で一人」

宮崎元専務の方針

(朝日 11月13日 朝刊)

[概要]山田洋行が「防衛省への売り上げ額10億円に対し1人」の割合で、同省・自衛隊からOBの天下りを受け入れる方針だったことがわかった。これは宮崎元専務(逮捕)の方針で、防衛省側と暗黙の了解が出来ていたという。守屋前次官のゴルフ接待疑惑が発火する前には、将官クラスOBの10人が「顧問」の肩書きを持っていたが、その後、2名が辞職した。社員120名の中堅商社で、大手メーカー並みの顧問10人は突出している。

 山田洋行の天下り受け入れは、装備品や調達制度について専門知識をもつOBを採用しているのが特徴。同社の取引に航空機関連が多いために、歴代の顧問には航空自衛隊の補給本部や技術研究所の出身者が目立つ。同社の顧問は、装備品調達の専門知識を提供するほか、防衛省・自衛隊の装備品担当者に面会する際、宮崎専務や社員に同行して「OB]の威光を示す役割だった。

[コメント]なぜ受注額10億円で顧問一人なのかと考える人がいるだろう。それについて私は懐かしい思い出がある。もう40年も前のことである。私が陸自の少年工科学校(横須賀市)に入校し、2年生の時に秋の富士野営訓練を行った。そのとき野営した富士学校で初めて国産の61式戦車を見た。当時、61式戦車は1両が1億円と言われていた。そのとき教官から戦車1両で天下りが一人世話になると聞いたことがある。すなわち1億円分の装備品を納入すれば、企業は防衛庁や自衛隊から顧問を一人を請け負うという意味である。だから宮崎元専務は「戦車1台が顧問一人」と考えたのではないか。現在の90式戦車はやや価格が下がって1台が8億円程度である。しかし95年当時は9億五千万円だった。

 しかし従来の戦車一台が天下り一人のシステムはすでに崩壊している。もう20年ぐらい前になるが、いったん防衛企業に天下りした者が、2年、3年の約束期限を過ぎても辞めなくなったのである。「家に大学生の子どもがいる(学資がかかる)」「嫁入り前の娘がいる(結婚費用が足りない)」などいう理由で、高給が保証された顧問を辞めないのだ。それで困ったのは後輩である。自分の階級なら、00重工や00物産、00電気に天下り出来るはずだった。しかし先輩が居座って顧問の席がないのである。しかたなく中堅企業に送り込まれ、経理部長の肩書きは与えられたが、社員の給与計算などの実務を任された。本来なら大企業に天下って、かつての部下と週末にゴルフをして、周に2,3度ほど会社の顧問室に顔を出せば済むはずだった。それが事務などの実務関係に再就職した。

 そのような結果、何が起こったかというと、退職した高給幹部たちは中国などに防衛秘密を売り歩くようになった。中国と取り引きのある商社に就職し、中国に出張しては防衛秘密を流し出した。日本の商社も積極的に中国と太いパイプを築くために、元自衛官(高官・技術職)の防衛情報漏えいを活用した。

 さらに困ったのは、現職自衛官(将クラス)が自分の天下り先を探して、手持ちの秘密情報を企業に売り歩くことも行っていた。自分を大物に見せ、天下り先に高く売るためである。

 そのようにして、大手メーカーや大手商社では戦車1台が天下り1人というシステムは崩壊した。しかし新興の山田洋行は大盤振る舞いをして、戦車1台で顧問一人で使える顧問を集めたという訳である。

 悲しいかな、これが日本のリアルな防衛の現実である。これに防衛族と呼ばれる利権政治家を重なり合わせると、日本でいかに健全な安全保障政策が阻害されているかわかる。

 すでにMD(ミサイル防衛)に関して、新しい利権の奪い合いが始まっている。守屋や宮崎だけの問題だけではない。

宮崎元専務

 

守屋事務次官に

随意契約要請

「競争になると大変」

(毎日 11月11日 朝刊)

[概要]山田洋行の宮崎元専務(逮捕)が防衛省の守屋事務次官に対して、「商社間で競争(入札)になると大変なことになる」と随意契約を要請していたことがわかった。守屋氏については今年6月、次期輸送機(CX)エンジンを入札ではなく、随意契約で調達するように部下に求めていたことが既に判明している。これが要請を受けたものかが捜査上の焦点になっている。

 関係者によると、元専務は10月下旬、守屋氏へ要請した事実を周辺に明かした。「随意契約によって、大手商社と中小商社が住み分けている。競争(入札)すれば大変なことになる。守屋さんにも同じことを言った」と話した。守屋氏は毎日新聞の取材にも「防衛業界は防衛省しか相手がない。ケンカ(競争入札)したら共倒れしてしまう。随意契約が重要」と主張した。

[コメント]本日の午後1時から、衆院でテロ対策特別委員会がある。(テレビ中継) もはや守屋氏が東京地検特捜部に逮捕・立件されることは間違いないとおもう。国会証言での偽証罪ではなく、元専務との癒着でワイロ性(贈収賄)を認定できると思うだが。国会証言でわざわざ11年間で200回以上のゴルフをしたというのは、長期間の便宜供与はワイロ性が低いという「厚生省事務次官事件」の事例を参考にしているとのだろう。しかし昨年から今年にかけて、空自CXエンジン(GE社)の代理店権を山田洋行から日本ミライズに移した課程や、実績がない日本ミライズに随意契約を求めたことで、元専務と守屋前次官の贈収賄が成り立つと素人目にはみえるのだが。

 これで山田洋行をめぐる防衛品調達事件が、政界に巻き込んだ疑獄事件に発展するかだが、沖縄利権、在日米軍再編利権と広がれば必ず疑獄事件に拡大する。

 もともとはテロ特措法の給油疑惑で、守屋前次官を国会に呼んで疑惑を追及するはずだった。それが一気に吹き飛んで山田洋行や日本ミライズに置き換わった。まさか給油疑惑への追及を潰すためとは思いたくないが、先月の19日(朝刊)に、朝日新聞と産経新聞が同じ日に、1面トップで山田洋行の横領を報じたので、なにか政治的な意図があるかと疑ったことを覚えている。

急用のため

更新は午後になります。

(11月9日 金曜日)

 自宅の電話機(子機)が故障しました。近所のサービスセンターに持参します。更新は午後にしたいと思います。ついでにコンパクト・デジカメを見てきます。すいません。

 金曜日の午後に親しい友人と会い、そのままいつも午前11時からやっている居酒屋で「守屋はけしからんモード」に突入しました。それならと土日も全身の力を抜いて、朝からパジャマでゴロゴロ状態の週末でした。それに家族の鋭い視線に絶えながら、ほんの少々の昼間酒(ビール)です。おかげで体力、気力共に存分に回復(充電)しました。

新テロ法案

会期延長

40日程度

政府・与党

 参院での審議時間確保

(読売 11月8日 朝刊)

[概要]民主党の小沢代表が7日の記者会見で、新テロ特措法案に反対する方針を示したことを受け、政府・与党は今国会の延長幅を12月下旬までの40日程度とする方針で調整に入った。これまでは延長幅を1ヶ月程度(12月上旬まで)としていたが、参院の審議時間を十分確保し、今国会成立を図るために会期幅を延長し万全を期す必要があると判断した。

 自民党の伊吹幹事長は7日、民主党が同法案の対案骨子をまとめたことを受け、大島国会対策委員長に「折衷(せっちゅう)案ができないか呼びかけろ」と指示をしたが、民主党は小沢代表の反対姿勢を受けて、衆院テロ防止特別委員会の理事会で修正協議入りを拒否した。

 このため与党としては、協議の糸口を見いだすことは難しくなり、参院の法案否決後に衆院の2/3以上の賛成で再可決する必要性が強まってきた。与党が再可決すれば、民主党が福田首相の問責決議案を参院に提出し、衆院の解散につながりかねないという懸念があるが、「小沢氏の辞任騒動で民主党には問責決議案を出す力はない」という楽観論が与党に広がっている。

 与党としては、民主党を刺激しないように会期を延長し、新テロ特措法案は衆院通過を週明けに先送りし、12日の委員会採決で、13日に衆院通過の日程を検討している。

[コメント]昨日の小沢代表の”続投”記者会見で、これで民主党が劣勢に立ったという楽観論は考え物である。逆に民主党が優勢に立ったという見方が正しい。自軍の背後に川を背負う布陣によって、自軍の退路を断ち、攻め寄せる敵勢に総力で立ち向かうのも戦法である。衆院で再可決されて野党が過半数を占める参院で、民主党が問責決議を出さなければ自殺行為である。ケンカ上手の小沢氏がこの起死回生のチャンスを見逃す訳がない。楽観論など笑止である。

 また与党は民主党内の一派を切り崩し、大臣の椅子をエサに謀反(むほん)を企むことは必至だ。しかしそんなことをすれば、かつて外相の椅子に飛びついて自滅した政治家(柿沢氏)と同じ運命である。今回は民主党の前原氏あたりが狙われやすいが、彼が民主党を裏切って自民党に行く度胸があるか見ものである。民主党の岡田氏は与野党の政権が代われば、最優先で次の首相候補になると思う。小沢代表、菅代表代行、鳩山幹事長は次の首相候補にはなれない。そのことは本人も自覚していると思う。

 いよいよ新テロ特措法案の審議は、衆院の解散総選挙から政権交代までの現実味を帯びてきた。民主党が新テロ特の対案(骨子)を出してきたことで、ここまで読めるのだ。これほど軍事知識(兵法)というのは実践的で”面白い”ものなのである。

 民主党から首相の問責決議が出され、福田首相が衆院を解散しても、決して”勘違い解散”などと呼ばないで欲しい。これが小沢流兵法(戦略・ケンカ)のすごいところである。

与党・給油新法への対案

民主、

 政策論へ本腰

党首会談が契機に

恒久法論議続ける姿勢

(朝日 11月7日 朝刊)

[概要]民主党は6日、小沢代表の辞任表明で混乱する中、補給支援特別措置法の対案をまとめた。これからは本案審議に真正面から応じ、与党と政策論争を繰り広げる態勢を整えた。

 小沢氏が「政権を取れば参加を実現したい」としていたISAF(国際治安支援部隊)には、「予期した効果を上げていない」として、本体や後方支援活動への参加を見送った。これは党内で批判が強いことに加え、関係する法整備が進んでいないことから先送りした格好だ。

 国連との関係については、小沢氏の国連中心主義を対案に生かし、「国連決議に基づく国連活動として行われることになれば、参加を検討」と明記し、与党が今国会に提出した特措法案に賛成する考えがないことを鮮明にした。(これに町村官房長官は記者会見で国連至上主義と批判)

 対案の柱は、復興支援の民生活動に割かれた。現地で武装解除や医療活動を続ける伊勢崎東外大教授や中村医師(ペシャワールの会)などからニーズを探った結果だ。自衛隊の派遣は、人道復興支援やインフラ整備に限定した。

 民主党は小沢氏が重視する恒久法をめぐる党首会談での議論を今後につなげるため、参院では審議引き延ばしによる廃案戦術はとらない見通し。粛々と政府案に反対し、与党が2/3の賛成で再議決するかを見極めたうえで、最終的な判断をするとみられる。

[コメント]やれやれである。やっと民主党から現実的な対案が出てきた。この対案なら国会の論戦で十分に戦えるし、多くの国民(自衛隊員を含む)の支持を得ることも可能と思う。この対案を民主党から出すために、今までの小沢辞任騒動はあったと思う。これからの野党の役割は、与党の反対や批判だけでは済まない。野党は与党案の対案を出して、政策でガチンコ勝負するしかないのである。

 やれ小沢代表が、「党内には能力がないと悪口を言った」とか、周囲に「相談なしに大連立を進めた」などと文句を言うのはスジ違いである。国会は生徒会ではない。政治家があらゆる策略を用いて政権を奪い合う戦場である。手首に小沢ブレンドのブレスレットをすれば、すぐに血液がサラサラになって、次の選挙で大勝できるというものではない。政治(国政)にかかわる者は政策実現への熱い情熱と、そのため選挙にかける猛烈な闘志がなければ、自らの存在を否定される存在なのである。その自覚が民主党議員にあったのか。

 勝手に小沢代表を血液サラサラの小沢ブレスレットと勘違いしていただけの話しではないか。しかし今までのことはもういい。すぐにでもこの対案を各自が血肉化する必要がある。どのような法整備が遅れているのか、なぜ与党案のインド洋給油活動ではダメなのか。それらを自分の選挙区の人々に説明し、質問に答えられる知識はあるのか。それが恒久法につながる議論となっていく。この対案が次の総選挙の本丸となることに気がついて欲しい。 

政論探求(コラム欄)

あえて小沢代表を

   擁護する

客員編集委員

 花岡信昭氏(署名コラム) 

(産経 11月6日 朝刊)

[概要]民主党代表の辞任表明は小沢一郎氏の政治スタイルの集大成であり、「壊し屋」とか「自爆」などといった俗論は当たらない。小沢氏の今回の辞任は誠意を示してくれた福田首相へのけじめをつける意味から責任をとって辞任する。・・・・・・この辞任理由は完璧にスジが通っている。

 小沢氏の記者会見を聞いて、「やはり!」と得心できたのは、民主党は力量不足で政権担当能力に疑念が持たれ、次期衆院選も極めて厳しい情勢にある、という現状認識である。民主党は7月の参院選で圧勝し、これで一気に次の衆院選でも勝って政権奪取を、という声が満ちているが、小沢氏はそんな容易なものではないと冷や水を浴びせたのだ。党内ではぎくっとした向きも多かったのではないか。

 現に衆院選で自民党は50議席を落としても過半数を維持できるが、民主党は倍増させても過半数に届かない。7月の参院選では、年金、政治とカネ、閣僚の失言など、「敵失」による勝利だったが、その厳粛な事実を党内では直視していない。

 「衆参ねじれ」で国民に約束した政策が実現できない、ならば実現できる体制を作ろう、政策を実現するのが政治だ・・・・。これもスジが通っている。福田首相との党首会談で、国会を大混乱させて福田政権を追いこむ戦略かと思っていたが、この大転換には脱帽せざるを得ない。

 大連立でまず政権担当能力を示し、その上で二大政党政治を目指して決戦に臨む。この目線の違いを民主党の幹部陣は理解できなかった。これが小沢氏の政治手法であり、我々はそれを何度も見せられてきた。

 参議選後、日本政治は新しいステージ、「衆参ねじれ」という未知の領域に移行した。ねじれ解消にはいったん大連立をという発想。それも自衛隊の海外派遣をめぐる政策転換を軸にする。なるほど、ダイナミックを秘めている。

[コメント]あの小沢氏の辞任の記者会を見ていて、彼は国民に向けて話していないと感じた。小沢氏は記者会見で国民にではなく、彼を党代表に担いだ民主党党員に向けて話していた。このコラムを書いた花岡氏がいう「冷や水を浴びせた」という言葉はその通りである。しかしあの記者会見を見ていて、同時に、これが民主党員に正しく伝わるかと疑問に思った。その意味が正しく伝われば、小沢氏は民主党党首に復帰するし、伝わらなければ小沢氏は政界を去る覚悟と思った。

 「小沢氏は我々のことを政権担当能力がないと悪口を言った」という党内の批判など的違いである。小沢氏は民主党の最も危ない点を指摘したのだ。

 例えば、民主党内で安全保障に関する何人かの発言を注意深く見てきたが、小沢氏に対抗できる軍事論を持つ者は一人もいなかった。国政レベルの政治家であれば、少し軍事がわかるとか、軍事オタク程度の知識では通用しない。その意味からすると、小沢氏の「自衛隊の海外派遣論」に対等に議論することができないのだ。(「独りよがり」の勝手な俗論では通用しない)。

 私は今回の小沢氏の辞任劇は、彼が自らの政治生命をかけた最後の芝居だったと思う。しかし芝居であっても、今も、すべての者がその意味を理解できるとは限らない。このコラムを書いた保守論客の花岡氏は理解した。私自身は逆な立場のリベラルと思うが小沢氏のことが理解できた。私はこれでやっと大嫌いだった小沢氏が好きになれるような気がする。

 小沢氏が、「アフガンの戦争はアメリカが勝手に始めた戦争だ」「アメリカが勝手に始めた戦争に自衛隊を派遣して支援することは憲法違反だ」と言った時、驚愕し感動した。01年のアフガン戦争以後、日本や自衛隊が戦争に続くねじれた道を歩き始めた時、小沢氏は堂々とそのことを指摘した。これで日本は小沢氏に救われた。

 「昔、八紘一宇で、今、対テロ戦争」という私の言葉を忘れないで頂きたい。国際社会での対テロ戦争参加という美しい言葉に騙されてはいけない。もちろん騙してもいけない。彼らは時の政権の都合で自衛隊員を戦場に送り出そうとしたのだ。それは小泉首相、飯島政策秘書官、守屋事務次官(防衛局長)の時から始まった。小泉政権が誕生した時、私は小泉政権に迷わず1票を投票した。私にも責任はある。

小沢代表が辞意表明

「大連立」

混乱招き引責

記者会見し

「不信任に等しい」

慰留は困難の見方

(各紙 11月5日 朝刊)

[概要]民主党の小沢一郎代表は4日午後、党本部で記者会見し、福田首相との党首会談に伴う混乱の責任を取り、代表を辞任することを表明した。小沢氏は自民党との連立協議を役員会で拒否されたことを理由に挙げ、「党員から不信任されたに等しい」と辞任理由を説明した。

 首相との党首会談では2点の合意があったと語った。@自衛隊の海外派遣は国連安保理か総会の決議で認められた国連の活動への参加に限る。A新テロ対策特措法の成立は連立が実現すればこだわらない。の2点であると強調した。

 また「民主党は様々な面で力量が不足し、国民からも政権担当能力があるのか疑問視されてる。次期衆議院選挙での勝利は大変厳しい」と述べ、次期衆議院選挙での政権交代は今は困難と明言した。小沢氏は辞任後も次期衆議院選挙に向けて活動を継続する意向を示した。

[コメント]民主党には与党に反対や批判をする力があっても、政権を担える能力があるのか疑問という点では私と一致している。政治が反対や批判だけなら、ケンカ上手な政治家に任せればすむ。しかし政治が政策勝負なら法案の立案能力や交渉力などの政治力がものをいう。それについては野党の政治家でも言い訳はできない。最近の民主党は、そのような政策を示せないことへの言い訳が多いと思うことがある。

 例えば与党が国会に提出した新テロ特措法の”対案”である。野党は外交や安全保障の情報(資料)が与党や政府に管理され、野党は詳細な情報が圧倒的に不足しているために対案が出せないと言い訳する。それではダメなのである。民主党は2大政党論を主張する政党ならば、いかなる理由でも与党の新テロ特に代わる対案を国民に示すことから逃げられない。情報の有無や情報量の優劣で逃げてはだめなのである。

 前にもこのHPに書いたが、小沢氏の不幸はそこにある。小沢氏の周辺には人数が多くてもプランを政策に立案できるブレーンがいないのである。

 今回の新テロ特の審議では、衆参国会のねじれ現象で与党案でも野党案でも否決されることは明白である。与党案は参院で否決され、野党案は衆院で否決されるからだ。だから先に動いた方が負けることは分かっている。相手よりも先に否決されるからである。しかし与党は政権政党として従来のテロ特に継続する新テロ特法案を出す責務を負っている。野党は先に法案を出す責務はないが、法案を出さないことを正当化することはできない。そのあたりのことが万年野党の政治家にはわかっていない。民主党内では新テロ特の対案を出すなという幹部の指示があったという。これではケンカに勝っても、国会の政策論争では永遠に勝てない。

 ならばどうするのか。新しい政治感覚の自覚が必要である。もう日本の政治は小沢氏のような豪腕で政治を仕切る時代は終わった。派閥支配(あるいは利権目当ての族政治)の時代も終わっている。数人の豪腕政治家がタッグを組みリーダーシップをとる時代も終わろうとしている。

 これからは党利党略のためのシンクタンクではなく、政策を社会科学的な面からサポートできるシステムが必要になる。安全保障や年金や税金の問題を、官僚というシンクタンクに委ねることなく、政党の依頼を受けてシンクタンクが政策立案できる政治システムが必要と思う。

 交代可能な二大政党政治とは単に人数(政治家)の比較ではなく、党内ならば共有できる政策立案能力とそれを現実化する能力が発揮できるかにかかっている。そんなことを考えていると、小沢氏が辞めたくなる理由がわかる気がする。今までの古い時代が大きく変わろうとしている。

連立打診、民主拒否

首相の賭け 失敗

小沢氏も孤立

”大政翼賛”に警戒感

解散含み対決強まる

(毎日 11月3日 朝刊)

[概要]福田首相(自民党)と小沢代表(民主党)の首脳会談で、首相から連立政権樹立を打診された小沢氏だが、党役員会で反対論が噴出し(連立の)協議に応じないと回答した。「大連立」によって混迷政局を打開したい自民、民主両党首の賭は失敗した。これによって両党首の足元が揺らぐ結果になり、政局もより一層、先が読めない状況となった。

 新テロ特措法法案で頑強に反対し、政府・与党を揺さぶっていたはずの小沢氏が、連立に積極的な姿勢を見せたことで、首相もこの時期を選んで連立を打診した背景がある。今回の大連合の仕掛け人は、首相を支える森喜朗元首相、中川秀直元官房長官が中心。中曽根元首相や読売グループの渡辺恒雄会長も強く後押しした。しかし自民党内には大連立構想に強い抵抗感があった。町村官房長官は自民党各派の領袖を個別に回ったが、賛成したのは二階俊博総務会長一人だけ。山崎拓前副総裁、津島元厚相、谷垣政調会長ら、ほとんどが批判的な姿勢を示した。

 民主党の小沢氏は首相から連立協議を打診された際、その場で断らずに党役員会に持ち帰り、大連立に前向きな発言をした。しかし無原則な路線転換と党役員に否定されたことで、求心力が低下したのは必至。他の野党や世論から「「民意の無視」という批判も受けることになった。

 これによって衆議院の解散が早まったという見方がでている。これまでは小沢氏の「話し合い」により来年度予算通過後の来春春解散が有力視されていたが、新テロ特措法が衆院で再議決された場合に、野党が参院で首相の問責決議案を提出するなど「不測の事態が起きやすくなった」(民主党幹部)。

 今回の混乱劇を生んだのは底流には、自民、民主ともに「ねじれ国会」に対応しきれない現実がある。政治の混迷は続きそうだ。

[コメント]先日の福田、小沢両党首の会談の後から、自衛隊の海外派遣(国際貢献)に恒久法を作るという話しが流れ出始めた。これで与党は新テロ特措法の今国会で成立を諦めたのかと思っていた。そこにきて大連立のニュースである。ひとまず「大連立」は否定されたが、まだまだ連立は動きだしばかりで、これで終わった訳ではないという考えもあるようだ。

 私は自衛隊の海外派遣(国際貢献)に恒久法を作るという考えに賛成である。テロ特措法(アフガン)、イラク復興支援特措法は、01年9月の同時多発テロのショックと、小泉政権の都合(権力欲)で、自衛隊の海外派遣の原理原則がメチャクチャにされてしまった。新テロ特措法もそのメチャクチャな延長線で議論が行われている。メチャクチャの延長線にある新テロ特措法をとりあえず成立させ、次ぎに原理原則で筋の通った恒久法をやろうの検討ではだめなのである。

 ここは国連PKO協力法のように、自衛隊の海外派遣の原理原則を再定義するする必要がある。その時の政権の都合(小泉首相ー飯島秘書官ー守屋防衛事務次官の権力欲)だけで、臨時の特措法で自衛隊を戦場に送り出してはいけない。私は自衛隊が国際活動することがすべて悪とは思わない。むしろ復興支援や平和維持活動は積極的に行うべきと考えている。その点では自衛隊のPKO派遣は強く支持したきたと思っている。

 しかしインド洋の海自の派遣や、イラク派遣は強く反対してきた。日本の原理原則(大義)がないからである。だから派遣・自衛隊員に必要な法整備もされず、装備も不完全で、訓練や情報も十分でない部隊を送り出すことになった。

 これは特措法でその場しのぎに誤魔化し、海外派遣の恒久法を作らないことが、片手を縛った自衛隊員を戦場に送り出すことになる。

 ともあれ、今回の大連立は無謀すぎることはわかる。しかし恒久法案作成は政治家の権力闘争の道具ではない。憲法の本質に直結する大問題なのである。

 私は自衛隊の海外派遣の原理原則を定める恒久法に関しては、絶対に妥協しないで積極的に発言し、行動するつもりである。日本国憲法、国連憲章、集団的自衛権など、恒久法に魂を吹き込む要因を無視してはいけない。

防衛省幹部を

GPSで監視案

石破氏「嫌なら辞めろ」

(読売 11月2日 朝刊)

[概要]増田好平防衛事務次官は1日の記者会見で、防衛省幹部の休日・夜間の行動を把握するために、GPS付きの携帯電話を所持させる案を検討していることを明らかにした。守屋前事務次官が同省に届け出ずに、頻繁にゴルフ接待を受けていたことを踏まえたもの。

 省内では「プライバシー無視。やりすぎだ」など反発する声が出ている。だが、石破防衛相は1日の衆院テロ防止特別委員会で、「防衛省は危機管理官庁であり、行動が把握されるのが嫌なら、防衛省にいなくて結構だ」と強調した。

[コメント]この対象となるのは防衛省の局長以上と、陸海空各幕僚長らという。(毎日新聞 11月2日 朝刊)。このGPS付き携帯電話は防犯用に親が子どもに持たせるケースが多い。(朝日新聞 11月2日 朝刊)とも書かれている。しかし防衛省の幹部や各幕僚長にとってこれほどの屈辱はないと思う。いくら守屋前次官のゴルフ接待が度を超していたとはいえ、それで防衛省幹部全員が”おこちゃま”扱いを強制されるとは情けない。もはやそこまで幹部を信頼していないということか。つい”性悪説”という言葉が浮かんできた。今まで守屋氏の度の過ぎた行動を見過ごしてきて、それを理由に綱紀粛正をいうのはあまりにも子供じみている。馬鹿馬鹿しい。そんなことを検討することこそ、防衛省が本当に危機管理官庁である資格があるのか疑ってしまう。

 週末の行動予定を届けるか、あるいは緊急呼び出し携帯電話を所持させるかで足りると思う。先月、関東全区の災害派遣を管轄する部隊の幹部と会う機会があった。彼はいつでも緊急の呼び出しに応じられる様に、専用の携帯電話を持参している他に、自分がいる場所の電話番号を部隊指揮所に伝えていると話していた。そんなことは自衛隊のトップなら誰でもやることなのである。

 GPS付き携帯で行動を監視するより、時々の緊急予備出し(演習)で問題はない。それにゴルフを行うことは問題ではない。問題なのは出入りの業者から過剰な接待を受けて行った癒着ゴルフである。いくら防衛省幹部でも週末ぐらいは、普段の緊張やストレスを発散するために、親しい友人たちと自分のお金でゴルフを楽しむことはいいことである。守屋問題の核心点を見失わないように。

 ※ 今日の「メールにお返事」のコーナーにこの件に関したメールが届いています。 

空自CX調達会議

守屋氏

 偽証の疑い

ミライズ側出席、報告

(産経 10月31日 朝刊)

[概要]今年1月の航空自衛隊次期輸送機(CX)のエンジンに関する会議に、山田洋行の元専務が設立した日本ミライズの社員が部外者にもかかわらず出席していることがわかった。この件は防衛省内でも問題になり、一連の経緯は守屋事務次官(当時)に報告されていたことが複数の関係者の証言で明らかになった。守屋氏は29日の証人喚問では、「承知していない」と証言していることから、守屋前時間の偽証の疑いが浮上した。

 関係者によると、問題の会議は、CXエンジンに関する納入に関する打ち合わせ。防衛省の技術担当者をはじめ、CXの機体を製造する川崎重工業、エンジンを製造する米国メーカー「ゼネラル・エレクトリック」(GE)が参加し、1月に行われた。ミライズ社はことし7月末に正式にGE社の代理店になったが、1月の時点ではまだ山田洋行が代理店で、ミライズ社とGE社は契約関係になく部外者だったため問題化した。

 防衛省担当者が省内の関係者と調整し、ミライズ社は「GE側の通訳」の名目で出席が追認された。複数の関係者は、こうした一連の経緯は、会議などを通じて守屋次官に報告された。その際、ミライズの出席を問題視する意見はなかったという。

 29日の証人喚問で、富田茂之氏(公明)が、会議出席の事実を指摘した上で、「誰かよっぽど有力者がいいよといわない限り出席できないと思うが」とただした。これに対し、守屋前次官は「私はそのような事実は承知していない」と証言している。

 守屋氏の証言は、関係者の証言と明らかに食い違っている。議院証言法では、喚問された証人が偽証した場合は、3月以上10年以下懲役に処すると規定している。

[コメント]この事実を突きつけられた守屋氏が、偽証を認めるとは考えられない。守屋氏はそのような報告を聞いた記憶がないと居直るだろう。そこで検察は日本ミライズの宮崎社長(山田洋行元専務)を特別背任(会社の資金横領)の容疑で身柄をとり、取り調べで宮崎氏から守屋次官の許可があったという証言をとることになる。さらにそのCX会議に出席した日本ミライズの社員から事情を聞けば、守屋氏の偽証という立件が見えてくる。

 次ぎに守屋氏の取り調べから政治家との関係や、後輩である現職幹部(防衛庁・自衛隊)の関係が明らかになれば、大事件に発展しそうな様相を示してくる。今も現職であるものが、守屋氏を含めて出入りの業者からただゴルフをしていれば、自衛隊員倫理規定で懲戒免職の処罰を受けることもある。

 昨夜、ある雑誌からコメントを求められた。それはいいのだが、その記者や編集者は「ライセンス料」や「マネージメント料(手数料)」を違法行為と考えていたのに驚いた。そこのとが守屋氏で問題になっているという誤認である。そこで気がついたのだが、意外とこの事件では基礎知識が十分に理解できていない人が多いと思う。これからは素朴な質問(疑問)を大事にして、わかりやすく説明することを心がけたいと思った。結局、雑誌の記事を訂正するのに深夜1時半までかかった。単純に文章の言葉を直せばいいとせず、電話だが記者の間違いの理由を詳しく説明した。最後にその記者が告白したが、私に電話する前にすでに「予定原稿」を書き上げており、私の電話で微調整して名前入りのコメントとして使うつもりだったそうだ。軍事記事の難しさがわかりましたと述べていた。

 今は防衛庁や自衛隊を正す絶好のチャンスで、この時にいい加減な記事で舐めらてはダメなのだ。嫌がられても厳しく鋭い指摘(批判)を行う必要がある。

守屋氏 証人喚問

深まる疑惑

  政権防戦

ゴルフ漬け過剰接待

次官・GE会談に元専務

(朝日 10月30日 朝刊)

[概要]200回を超えるゴルフ、北海道や九州への丸抱えツアー、妻へのバッグプレゼント・・・守屋氏は「接待を受けたという認識はあった」と認めながら、「便宜供与を受けたという認識はなかったか」という野党の質問には、「宮崎さんとは長い間の友人でした」と言葉をにごし、「癒着と見られる事態を起こし、大変申し訳ない」と頭を下げた。

 次々と明るみに出る接待の実態。一方で質問が口利きや便宜供与の有無に及ぶと、「記憶にない」「承知していない」を繰り返した。29日の証人喚問で舞台に立った守屋前防衛次官。そこには、豪腕と政界人脈を武器に、防衛省内で絶大な影響力を誇った面影はなかった。

 守屋氏によれば、宮崎氏と知り合ったのは23年前の防衛課の課員時代。防衛庁OBから米国防省や国務省に人脈を持つ人物として紹介され、「貴重な情報源」として付き合いを始めたという。

 宮崎氏への便宜供与を否定した守屋氏だが、証言には不自然な点も散見される。守屋氏は昨年12月8日、航空自衛隊次期輸送機CXエンジンの製造元である米GE社の幹部との会談に宮崎氏が同席したことを認めたが、当時、宮崎氏は山田洋行から独立し、日本ミライズを立ち上げた直後。GE社がCXエンジンの代理店を山田洋行から日本ミライズに変更すると防衛省に通告したのはこの半年近く後で、この時点で代理店でもないない宮崎氏がその場にいたのは不自然だ。防衛省の記録では約50分間(守屋氏は15分程度と答えた)ほど次官室にいたという。会談の中身は、「覚えておりません」と答える一方で、「CXエンジンの代理店契約の話しは一切出ていないと言い切れるか」という質問に、「一切しておりません」と言い切った。そもそもCXエンジンが3社の内でGE社に決まったのは、守屋氏が次官に就任した1週間後の03年8月8日。自らが議長を務める装備審査会議で決定がなされたことを指摘されると、しどろもどろとなった。

 山田洋行が6年前、海自ヘリの装備品代金を過大請求しながら処分を受けなかった問題では、当時の山田洋行が装備品調達の担当ではない防衛局長の守屋氏に経緯を説明したことが明らかになっている。しかし守屋氏はその点を「私はその説明を聞いた記憶にない」と答え、「私が権限を持っているわけでもない」と明確に関与を否定した。

 昨日の証人喚問で、終始一貫した守屋氏の否定とは裏腹に、装備品の調達をめぐる疑惑はかえって深まった。

[コメント]今回のことで防衛省や自衛隊は汚職体質があるのかという質問をされた。私は体質であれば直すことが可能と思う。しかし調達実施本部の水増し請求事件や、防衛施設庁の談合事件のように、次から次と汚職事件が起こる現状を見ると”構造上の問題”という気がしてきた。もしも防衛行政の構造が原因なら、構造を始めからやり直すしか方法がない。

 実は防衛省の官僚であっても、軍事知識が疎いものが少なくない。制服(自衛官)の持っている軍事知識にはかなわない。しかし防衛省は内局として、制服であれば1佐以上の人事権を持ち、1億5000万円以上の調達には内局の承認(予算権)が必要になる。そこで内局の官僚は制服組の上に君臨するわけである。軍事知識で劣るものが、制服組を支配する脆さがある。また政治家(国防族)も防衛利権ばかりに関心を持ち、防衛政策はほとんどが防衛利権で左右される傾向にある。

 そのような防衛構造が守屋氏の様な怪物を生み出すのである。有力メディアを活用してライバルを蹴散らし、有力政治家を後ろ盾にする。また防衛産業や防衛商社を使ってワイロ攻勢をかけることは日常茶飯事である。

 まだまだ守屋問題は始まったばかりである。山田洋行は平均すれば防衛調達高が20位前後の会社である。それだけでも200回のゴルフ三昧である。他の防衛関連会社が国防族や防衛官僚や自衛隊高級幹部に接待攻勢をかけていないはずがない。さてこれからどうするか。再び日本の防衛行政の根幹が問われることになった。今回は以前の調達実施本部の水増し請求事件や、防衛施設庁の談合事件よりも深刻である。

本日の更新はお昼頃

(10月30日 火曜日)

  今日は早朝から仕事が入っています。ちょっと外出してきます。本日の更新は外出から帰って来るお昼頃になると思います。 地方紙の記者の方が上京し、地元の軍事問題について話しを聞きたいと連絡がありました。帰りの飛行機の関係で午前中しか時間がとれないそうです。 せんかくアクセスして頂いたのにすいません。しばらく待ってください。

守屋氏きょう喚問

「一人を以て」

 栄光と堕落

MD計画で実権

(産経 10月29日 朝刊)

[概要]衆院テロ特委員会はきょうの午後、守屋前防衛事務次官のゴルフ・飲食接待疑惑の解明に向け、守屋氏の証人喚問を実施する。4年余にわたり事務次官に君臨し、”三流官庁”と呼ばれた旧防衛庁を”省”に昇格させた守屋氏は、いかに省内で権力基盤を作り上げ、なぜ堕落したのか。

 昨年6月、小泉首相が訪米してブッシュ大統領との絆を世界にアピールした後、防衛庁内(当時)には日米首脳会談や晩餐会を掲載した30ページの写真グラフが配られた。その中にホワイトハウスでタキシードに身を包み、肩を並べる守屋氏と飯島勲首相秘書官の写真が載っていた。守屋氏はこのパンフレットで「政権との太いパイプ」をアピールしようとしたという。

 平成15年(03年)8月に次官に就任した守屋氏は、毎週のように部下をゴルフやマージャンに誘い、「おれに反対するやつは来なくていい!」と言い放った。省内の人事はすべて守屋氏の一存で決まった。守屋氏の方針に異議を唱える部下は、容赦なく地方の防衛施設局に左遷させられた。

 平成15年7月、守屋防衛局長の次官就任は自民党内で異論が多かった。石破防衛庁長官(当時)は別の次官人事を考えていたが、イラク復興支援特別措置法の成立直前で、7月18日の自民党総務会で野中元幹事長は「法案審議中に人事を行っていいのか」と激怒したという。逆に小泉首相(当時)の官邸サイドでは、野中氏らが所属する橋本派が握る沖縄・防衛利権を剥奪(はくだつ)するには守屋氏の起用しかないと考えた。だが守屋氏はもともと橋本派と関係が深く、防衛省内では「あえて野中氏と対立することで、小泉氏の気を引いた」との見方がもっぱらだ。

 守屋氏が防衛省内で実権を把握したのは、ミサイル防衛(MD)」計画だった。15年11月末、MD予算をめぐり積極論の防衛局と、他の装備品予算を優先する管理局で激しく対立した。すると守屋事務次官は石破防衛庁長官に「私がやります」と引き取り、自民党防衛族議員からあっという間にMD導入を取り付けてきた。ある国防議員は、「この1件で守屋氏が文民統制を忘れるきっかけになったのではないか」と振り返る。

 昨年春の米軍再編をめぐる政府と沖縄県の協議では、地元入りた額賀防衛庁長官(当時)は、防衛庁で待機する守屋氏に交渉経過を逐一報告する「異様な構図」が繰り広げられた。守屋氏は「一人を以って国興り、一人を以って国滅ぶ。この言葉を国の防衛を従事するものの心意気と心がけた」という。しかし皮肉にもたった一人の慢心で、新テロ特措法は崖っぷしに追い込まれた。

[コメント]本日、午後1時から国会で証人喚問である。偽証すれば刑罰(懲役10年以下)を科せられる証人喚問で、どこまで真相に迫られるか注目している。まさか8月末までは現職であった守屋氏だから「忘れた」「記憶にない」では偽証の印象を濃くするだけである。

 先週土曜日(27日)の早朝に放送(出演)した”みのもんたさん”のTV番組(TBS)で、衆院予算特別委員会の証人喚問を、静止画でする可能性があると初めて聞いた。私は思わず出演していた山本一太議員(自民党・参院)にむかって、「そんなにかばって何になるのですか。次は選挙ですよ。国民は馬鹿ではありませんよ」と大きな声で言ってしまいました。すぐに山本さんに失礼と反省したが、しかし証人喚問を静止画像にこだわるような姿勢に腹が立ったのは本当である。幸い、今朝のニュースでは動画で放送することが決まったようである。

 また守屋氏と山田洋行が仕切りのゴルフやマージャンをした中に、現職の防衛庁幹部や自衛隊の高官がいなかったかという点も重要である。現職であれば自衛隊員倫理規定に違反し、免職になる可能性もあるからだ。

 さらに水増し請求問題も需要である。商社は米企業などから見積もりを出させ、それにマージンを乗せて防衛庁に請求する。だから米企業の見積もり書(地検特捜部が調査)と、防衛庁が支払った額を見比べれば、容易に商社(山田洋行)の水増し請求が把握できる。それが今までは守屋氏と防衛族(政治家)によって守られていただけである。しかし現在のところ、守屋氏を守る政治家や官僚は存在しない。

 しかし忘れてはいけないのは、守屋氏の証人喚問はテロ特措法のからみで、海自が給油した燃料がイラク戦争に使われていたという疑惑や、海自が現地で調達した給油用の燃料が異常に高い価格で購入されていたのではないかという疑惑である。

 野党は国政調査権を使ってでも、防衛利権や沖縄利権の実態を暴いて頂きたい。自衛隊員の情報漏えいを厳しく言う前に、防衛省・自衛隊の上層部がどっぷり浸かっている利権や汚職体質を改めることが先である。

※ 今夜の8時から1時間、CSテレビ(衛星放送)の「朝日ニュースター」で、タイトル「防衛省の実態を暴く!」で生出演します。興味のある方はどうぞご覧ください。

普天間協議会

官房長官主宰に

事実上の格上げ

(読売 10月26日 朝刊)

[概要]政府は25日、沖縄県の米海兵隊普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設問題に関する同県と関係市町村との協議会について、官房長官の主宰とすることを決めた。

 昨年8月に設置された同評議会は、これまで防衛相と沖縄相が主宰していたが、難航する地元ととの調整を首相官邸主導で進めるため、事実上格上げした。

 政府は今年1月の第3回会合以来、中断している協議会を、福田首相が訪米する前の11月上旬に開催する方針で調整している。

[コメント]この評議会が今年1月で中断したのは、守屋防衛事務次官(当時)のやり方に沖縄側が反発したからだといわれている。具体的には、地元側がキャンプ・シュワブ沿岸部に建設する新基地の埋め立てを、もっと沖合に出すことを要望したが、守屋氏がこれを強く拒否したことに反発をしたという。さらに沖合を埋め立てれば、工事費が大きく膨らむからである。ばらまきと批判が多かった沖縄・北部振興資金(年間100億円 10年間1000億円)を出来高制(進展状況に応じて支払う)にしたのも守屋氏といわれている。守屋氏としては在沖・海兵隊のグアム移転に日本政府が7300億円を負担するなどを決め、これ以上の負担増と新基地工事着手の遅れを招きたくなかった様である。

 7月末に始まった小池防衛相(当時)と守屋次官とのバトルもこの件が背景になったという。小池氏は地元に守屋氏の更迭を密かに約束し、これから元沖縄相であった自分が新基地問題を担当すると語ったという。小池氏ば新基地建設で巨大な利権が奪えると考えたと指摘されている。だからキャンプ・シュワブ沿岸の新基地の工事着工が遅れたのは、防衛省と沖縄相(内閣府・沖縄担当特命大臣)の対立したという見方もできる。これを官房長官主宰として一本化したことになる。

 すでに一部の週刊誌などに出始めているが、今回の守屋次官の癒着問題では、有力政治家との癒着や沖縄問題(米軍再編経費負担)へ波及も考えられる。ある種の政治家にとって”防衛利権”と”沖縄利権”は大きな魅力を感じるものらしい。

米衛星写真

シリアに核施設?

イスラエル空爆か

 「北朝鮮炉に類似」

(毎日 10月25日 朝刊)

[概要]米民間シンクタンクの科学・国際安全保障研究所(ISIS)は24日、イスラエルが9月6日に空爆したシリアの施設の衛星写真と報告書を公開した。同研究所の話しとして、「北朝鮮・寧辺の5000キロワット黒鉛減速炉の建物に特徴が似ている」と指摘した。

 写真は空爆前の8月10日に商用衛星が撮影したもので、シリア中部のユーフラテス川沿いに、約47メートル四方のコンクリート製らしい建物が写っている。冷却水用の揚水ポンプ施設、資材運搬用のトラックも確認できる。寧辺の建物は約48メートル×50メートル。

 米ワシントンポスト紙は24日、この写真の場所が攻撃対象であった可能性が高いという関係者の見方を報じている。(以上、毎日新聞)

 この報告書によれば、この施設が稼働すれば、核兵器を製造するために必要なプルトニュームを得ることができる20〜25メガワット原子炉の可能性がある。(以上、読売新聞 10月25日 朝刊)

[コメント]オイオイである。もし北朝鮮がシリアに核施設を提供しているなら、北朝鮮は国内の核施設の無力化でアメリカなどから援助を得るだけでなく、シリアに核施設を移転して稼ぐという二重構図になる。とてもアメリカのテロ支援国指定解除など出来るわけがない。それでも昨日、ヒル米国防次官補が北朝鮮の指定解除に言及しているのを見ると、逆に北朝鮮の内部状況がそこまでひっ迫しているのかと怖くなってくる。

 この施設は稼働する前にイスラエル軍の空爆(9月6日)で破壊された。イスラエル政府は空爆前にこの施設の内部写真を入手していたという。その結果、核施設と判断して空爆したようである。

 最近の守屋前防衛事務次官の騒動で、このホームページを初めて見始めた人が多い様だ。そこでちょっと説明させて頂くと、私はアメリカや韓国が北朝鮮の国交正常化(平和条約)を急ぐのは、北朝鮮の体制が崩壊の兆候が強くなってきたか、金正日の健康に深刻な問題が出てきたと考えている。そのような北朝鮮の緊急事態と大混乱で、北朝鮮軍が非武装地帯近くの地下陣地に配備している長距離砲、地対地ロケット、短距離弾道ミサイルが、誤ってソウル市街や在韓米軍に発射されることを危惧していると指摘している。それらの弾頭には化学・生物兵器が搭載され、ソウル市民や在韓米軍に大規模な被害が想定されるからである。韓国やアメリカは金正日がまともな内に、それらの兵器を後方に下げるか、撤去させて、危機回避したいと努めているという訳である。

 北朝鮮の核実験や核武装は脅威でなくとも、脅威を感じているフリをして北朝鮮をこちらの土俵に誘っているのだ。北朝鮮もそのことは十分に承知しているが、しかし他の手段で韓国やアメリカに対抗できるものがなく、シリアに核施設を移して外貨を稼ぐぐらいの知恵しか浮かばない。

 昔から”00に刃物”というが、00から刃物を手放させるためには、腹が空くのを待って”握り飯”で釣るのが一番いい。

調達費 群がる業者

  7割が随意契約

防衛省 

  不祥事の大波

若い制服組を接待漬け

背広でも「守屋さんだけ違う」

(朝日 10月24日 朝刊)

[概要]大物次官として君臨した守屋武昌前事務次官と軍需専門商社の癒着、海上幕僚監部による給油の誤りと隠蔽ーーー。国会ではインド洋での給油活動継続を目指す補給支援特措法の審議入りのタイミングに、今年1月に念願の「省」昇格を果たした新組織を不祥事の大波が直撃している。

 前身の防衛庁では、98年の調達実施本部の背任事件、06年の防衛施設庁幹部による官製談合事件と、防衛庁の組織内で事件や不祥事が繰り返され、守屋氏はそれら再発防止策を講じるトップの立場にいた。官製談合事件では、守屋氏のリーダーシップで施設庁を解体し、今年9月に地方協力局を新設した。また防衛相の直属機関として、不祥事防止のための「防衛監察本部」を立ち上げた。そうした組織改革をよそに、守屋氏の接待問題の温床になった装備品調達の仕組みについては、改革は進んでいなかった。

 昨年度の防衛省の調達費は1兆3200億円(地方分を除く)で、そのうち7割にあたる9400億円が競争入札を経ないで受注先を決める随意契約だ。原則として1億五千万円以上の大型契約については防衛相の承認事項で、経理装備局長らの決済が必要になる。そのため商社が幹部にまで接触を図ることも「珍しいことではない」(防衛省幹部)。巨額の防衛利権を求め、業者が群がる背景には、そんな構図がある。

 与党は守屋氏の証人喚問に応じても、衆院テロ対策特別委員会での法案審議の見通しは立たないままだ。自民党国対幹部は「ほかの委員会の審議も、2,3日は先は分かるが、その先はどうなるかまったく分からない情勢になった。防衛省はもう「庁」に格下げだ」と吐き捨てるように言った。

 自衛隊の装備調達を行う業者は、防衛力整備や開発を担当し、装備品を実際に使う制服組の自衛官に食い込むことが受注の決め手になると言われている。受注業者によると一般的には、背広組である内局職員は制服組より価値が低いという。しかし「守屋さんだけは違った」と話す。防衛庁の中枢を歩み続けた守屋氏は、制服組の人事に強い影響力があり、1佐クラスの人事に口をはさみ、発令が大幅に遅れたことがあったという。「制服組は守屋さんの顔色をうかがい、業者も制服組に顔が利く守屋氏に近づいた。こんな防衛官僚は守屋さんが初めてだ」と語る。

 業者は若い幹部候補生に接近を図り、天下りのOBを使ってゴルフや飲食に誘い、様々なやり方で関係を深めるという。防衛受注会社5社以上の代理人として、自衛官らと交渉してきた企業の顧問は、防大卒の若い優秀な幹部を自衛隊OBから紹介して貰い、何十年もかけて料亭や温泉やクラブに誘い、防衛施設関連の工事を顧問先に受注させたという。

 自衛隊の場合はOBの存在がものをいう場面が多い。自衛隊では同じ職種の先輩後輩の関係が非常に強く、退官後に防衛関係の民間企業に天下りしたOBが、現役をゴルフに誘い、各企業の担当者も同行するという。自衛隊員倫理法が制定されても、先輩の誘いを断れば先輩の顔をつぶすことになるから断れないという。

[コメント]この記事の概要をまとめながら、私が今までに体験したいくつかの光景や会話などを思い出していた。私が今年の海自・イージス艦の「特防秘」情報が漏えいした時、まず防衛庁や自衛隊のトップが情報保全体質を改めて欲しいといったのはこのことである。軍需企業に天下った自衛隊OBに依頼され、現職が秘密情報を持参することは日常茶飯事であった。そんなのが組織の上にいれば、下の部下に「情報保全」を厳しく言えないという意味である。その中には、自分の退官後の天下り先を確保するため、現職が自ら軍需産業の自衛隊OB(先輩)に売り込むものもいる。

 昨日、あるマスコミからの電話取材で、「もし守屋氏がいなければ、陸自はイラクに行かなかったと思うか。あるいは省の昇格はなかったと思うか」と質問された。「自衛隊はイラクに行かないし、省昇格はなかったと思う」と答えた。当時の守屋次官は守屋氏なりの危機感で、自分をバックアップしてくれる強い政治力を求めていた。自分を守ってくれる政治家である。小池防衛相(当時)と対立した時、官邸に駆けつけて庇護を求めた政治家である。その政治家はイラクに陸自を派遣すれば、防衛省への昇格を実現できる政治力を持っているものである。その「省昇格」を守屋氏の功績として、さらに防衛省における支配体制を強固に出来ると考えたのではないか。

 また別のメディアの取材では、日本ミライズの社長で山田洋行の元専務は、防衛庁(省)で中枢を歩く守屋氏をうまく利用したとではないかと質問された。今までの報道を見るとそのような構図に見えるが、私はむしろに守屋氏が実質的な経営を考えた軍需会社(商社)ではなかったかと思う。それほど守屋氏は危ない橋を渡り、越えてはいけない一線を越えているからだ。

 守屋氏は自分を守ってくれる政治力を失い、防衛省での影響力が失せれば、一気に反撃されて粉砕される権力でしかなかったと気がつかなかった。

 まだ、なぜ軍事企業のゴルフや食事の接待が、テト特新法の国会審議と関連するのか理解できていない人も多いようだ。山田洋行が守屋氏の証人喚問(インド洋での給油疑惑)されることで、防衛庁内での影響力がなくなったと判断し、偽名でのゴルフやアメリカの現地法人で裏金一億円が行方不明になったことを公表(リーク)した。これらは軍需部門を持ち逃げされたことへの報復なのである。

民主・鳩山幹事長

「自衛隊員が命

落とせば批判も」

講演で発言

(読売 10月23日 朝刊)

[概要]民主党の鳩山幹事長は22日の都内での講演で、新テロ対策特別措置法案への党の対案作りに関連し、「自衛隊が(アフガンに)行って何人かでも命を落とすことがあった時、この政策が間違っていたと大きな批判の嵐が生まれることは間違いない」と述べ、民主党の対案には自衛隊派遣を盛り込まない考えを示した。

[コメント]この発言には何か異質な考えを感じる。今までのような政治家のデタラメ政策で自衛隊員が戦地に派遣され、戦死者が出ればその政策が批判されることは間違いない。しかし十分に議論を行って自衛隊派遣の目的を明確にして、装備や法整備や訓練など万全の準備を行い、それでも自衛隊員に犠牲者が出ることは止む得ないことと思う。自衛隊員がたとえ自分が死んでも、悔いのない任務だと信じることを政治家は考えるべきである。

 以前にも批判したが、ローリスク・ハイリターンというのは軍人が考えることではない。逆にハイリスクでノーリターンであっても、軍人(自衛隊員)は国家や国民のために、自分の命をかけて任務を遂行することを誇りにしている。自衛隊員が犠牲にならなければ、批判が起こらないからいいという考えではダメなのである。

 私がまだ28才前後(30年前)の頃だっと思う。元防衛事務次官だった久保卓也氏に自分たちの勉強会の講師をお願いしにいったことがある。久保氏は三木武夫首相時代の坂田道太防衛庁長官とともに、昭和51年に基盤的防衛力整備という国防の基本概念を作った人である。たとえば防衛費はGDP(当時はGNP)1パーセント以内などの概念は久保氏が作った。

 私が特に印象に残っているのは、事前の打ち合わせで久保氏に初めてお会いした時、「君は一人の命が地球より重いと考えていないか。何より人の命を守ることが尊いものと思っていないか。しかし国防はそんな考えでは成り立たない。自衛隊員が何人死んでも、国家や民族を守ることが自衛隊員の使命なのだ」と話された。私はこれが国防の基本だと思ったことを覚えている。

 その久保氏と最近話題の守屋前事務次官を比べてみると、同じ防衛事務次官でも人物の違いが大きすぎないか。そんな守屋氏の命令では自衛官は死ねない。今も戦地のイラクに派遣され、危険に直面している空自・派遣隊には本当に申し訳ないと思う。日本の政治家はアフガン戦争に対処した新テロ特措法を根本から議論することは大事だが、空自のイラク派遣を命令したイラク復興支援法も根本から議論する必要がある。

防衛省相次ぐ失点

新テロ法 厳しく

航海日誌破棄・

補給前件調査「困難」・

守屋前次官疑惑

(産経 10月22日 朝刊)

[概要]インド洋で海自の補給活動をめぐる転用疑惑で、海幕(海上幕僚監部)が4年前から給油量の誤りに気がついていた問題が21日に発覚したことで、同法案の成立阻止を目指す野党が勢いづくのは必至になった。政府・与党は23日に同法案の趣旨説明に続き、今週中の衆院テロ対策特別委員会で審議入りをさせる構えだが、防衛省の相次ぐ失点で法案成立に赤信号がともり始めた。

 民主党の山岡賢次・国対委員長は「海幕の資料が握りつぶされたと言うのであれば、担当者、海幕長、統幕長、守屋防衛局長(当時)の証人喚問をしていかなければいけない」と語り、場合によっては当時、官房長官だった福田康夫首相、石破防衛庁長官だった石破防衛相の喚問も要求する考えを示した。 

 与党は「ねじれ国会」のため、野党に低姿勢で臨んでいるが、野党への質問をまとめる過程で防衛省の失点が相次いで浮上した。例えば平成15年7月〜11月にインド洋で活動した補給艦「とわだ」の航海日誌が破棄されていた問題が発覚。米艦のイラク戦争・転用疑惑を解消するために、石破氏が米国防省に問い合わせた全件調査も、米側が「任務ごとに日本の燃料を追跡するのは困難」との声明を発表して壁にぶち当たった。さらに守屋前防衛事務次官が防衛庁と関連の深い商社幹部から飲食やゴルフの接待を受けていた疑惑が浮上した。守屋氏は今年8月まで4年以上にわたり歴代大臣の防衛次官を務めている。野党は防衛長官や防衛相の責任問題を問う構えだ。

 与党は新テロ法の採決を強行すれば、世論の反発は免れない。与党内に守屋氏をかばう空気はなく、公明党の高木広報室長は21日の民放テレビで、「参考人という形で国会で説明をいただき、理解が得られないなら証人喚問はありえる」と突き放した。

[コメント]昨日は絶好の快晴の中で、早朝からランニング・クラブのメンバーと荒川タートル・マラソン大会に参加した。当然ながら、自宅電話の転送もセットせず、午後2時のクラブ解散まで携帯電話の電源はOFFでした。その後、携帯をONにすると、守屋問題に関する取材の電話が鳴り始めた。週刊誌、新聞、テレビの報道部と、秋晴れの日曜日だというのにこの件では休めないようだ。

 すでに与党の新テロ法案は今国会で採決されず、よくて継続審議、あるいは廃案さえも考えられると書いたが、その通りになると思う。

 問題は現行のテロ特措法で、「ウソ、騙す」「いい加減(メチャクチャ)」「隠す」が目立ってしかたない。具体的なウソは、シーファー駐日大使や矢内外務次官が、「海自が補給する燃料は特別なものなどで、海自しか給油能力がない」というウソなどが上げられる。いい加減なところでは、「補給した燃料はアフガン作戦に使われ、イラク作戦では使われていない」という様なデタラメ。米軍の補給艦に給油すれば、その燃料がどのような使われ方をするか追跡は不可能だから。そして隠すのは、輸送艦「とわだ」の航海日誌が破られたことである。

 私はこの犯人(主犯格)は、まず守屋前事務次官(官房長時代を含む)が含まれるのは当然だが、小泉首相(当時)の飯島勲政策秘書官の存在も無視できないと思う。これからは守屋氏の権力が絶大すぎて公にならなかったことが明らかになる。これから防衛省や自衛隊に自浄能力があるか問われる。

 ところで与党の新テロ特が継続審議になれば、次は民主党の対案(アフガン復興支援法案)に焦点があたってくる。民主党はその準備が遅れている様に思えるのだが。おもしろがって与党の混乱ぶりを楽しんでいると、対案への対応が遅れ、明日は我が身になることをお忘れなく。


※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。