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フィンランド発祥の「愚痴合唱団」、米に上陸

2007.11.11
Web posted at:  20:15  JST
- AP

シカゴ(AP) 「デートの相手が最悪だった」「上の階の住人がダンスの練習をするのでうるさい」「地球温暖化が心配だ」――さまざまな不満や心配事にメロディーをつけ、声をそろえて歌うことでストレス発散を図る「愚痴合唱団」が、世界各地に誕生している。考案者はフィンランドの芸術家カップル。米国ではこのほど、初のコンサートがシカゴで開かれた。

会場となったシカゴ現代美術館のホールは、満席の盛況ぶり。市民たちによる即席の合唱団は、見事な四部合唱で拍手を浴びた。

「米国には、前向きの姿勢を重んじるあまり、愚痴を押し殺してしまうような文化があるが、それは不自然。思い通りにいかないこともあると認めて、声に出す方が健康的だ」と力を込めるのは、愚痴合唱団の生みの親、オリベル・コッチャ・カレイネンさん(35)。パートナーのテレルボ・カレイネンさんとともに、活動の普及に取り組んでいる。

2人の発想のヒントとなったのは、フィンランド語で「愚痴の合唱」という意味の言葉。本来は複数の人が一斉に愚痴をこぼすことを指す比ゆ語だが、「実際に愚痴を歌ってみたらどうだろう」と考えたのが、すべての始まりだったという。2人は早速、オーストラリアからイスラエルまで、各地で市民を集め、次々に合唱団を作った。参加者に音楽経験は不要。ただし、各自少なくとも1つの愚痴を持ち寄るのが条件だ。集まった愚痴を基に、合唱曲の歌詞が作られる。

最初のコンサートは、英バーミンガムでの実験的な試みだった。「ビールが高過ぎる」と歌う学生らの姿が、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に掲載され、一躍有名に。コンサートはその後ヘルシンキ、ブダペストなど欧州各地で開かれ、合唱団の数も今や20を超えている。

シカゴの合唱団に参加した38歳の女性は、「離婚した前夫が今もシカゴに住んでいる」という愚痴を提供し、歌詞に採用された。ステージを終えた後、「みんなが自分の愚痴を歌ってくれると、応援されているようでうれしい。気分がすっきりした」と、さわやかな笑顔を見せていた。




愚痴合唱団の練習に子連れで参加した女性=シカゴ市内

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