朝日新聞社は2009年の創刊130周年記念事業の一環として、明治・大正時代に発行された朝日新聞紙面を、キーワードによる記事検索が可能なデータベースにします。09年度末までの完成をめざし、研究者や一般の利用者にも有料で検索サービスを提供します。この事業に東京大学明治新聞雑誌文庫(以下、明治文庫。東京大学大学院法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター内)が、監修などの形で協力することも決まりました。
朝日新聞は1879年(明治12年)1月25日に大阪で創刊されました。今回データベース化するのは、この創刊号から東京朝日新聞創刊の1888年7月10日以前の大阪朝日新聞と、1888年7月10日から1926年(大正15年)までの東京朝日新聞、合わせておよそ12万3000ページの記事と広告です。これに見出しと分類、キーワードなどを付け、検索の出来るデータベースを構築します。朝日新聞社はすでに、1926年(昭和元年)以来の全紙面をデータベース化しています。明治・大正期紙面データベースが完成すると、創刊号から現代までの朝日新聞を通して検索できるようになり、史料としての利用価値が格段に高まります。
明治文庫は、1927年(昭和2年)3月、吉野作造、宮武外骨らによって設立され、以後80年にわたって、明治・大正期の新聞、雑誌を幅広く収集し、研究利用に供してきました。同文庫は、長年にわたって蓄積してきたノウハウを、朝日新聞社が進めるデータベース化事業に提供し、監修などの形で協力します。
この目的のため、佐々木毅・前東京大学総長、渡辺浩、北岡伸一、新田一郎、苅部直(以上、東京大学法学部教授)、五百旗頭薫・東京大学社会科学研究所准教授と朝日新聞社側でつくる共同委員会を10月9日付で設けました。
共同委では、データベース化事業と歩調を合わせて、朝日新聞をはじめとする新聞が日本の近代史の中で果たしてきた役割と意味を問い直す「明治の新聞展」(仮称)開催なども検討しています。