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PRESIDENT
2002年1.14号

NewsFile/情報スクランブル
即日従業員100人に退職を通告した
ABNアムロ証券。経営側には反省の色なし
外資系証券
「仁義なきリストラ」の一部始終





オフィスに戻ると
電話、パソコンが使えない状態に
外資系証券 「仁義なきリストラ」の一部始終

 最近、わが国の株式市場に見切りをつけた外資系証券による、業務縮小や撤退が相次いでいる。メリルリンチ日本証券の支店縮小をはじめ、ソシエテ ジェネラル証券、モルガン・スタンレー日本証券がよい例だ。
 市況低迷で採算維持が難しくなってきたためだが、これに9月11日の米国同時テロが追い打ちをかけた。世界同時不況のリスクも高まり、本国の屋台骨すら危なくなってきている。
 しかし、今なお家族的経営を保つ日本企業と違い、合理主義に徹する外資系では、信じられないような「リストラ残酷物語」も起きている。
 2001年秋に勃発した、オランダ証券東京支店の労使紛争もその一つだ。

 2001年9月26日の夕方。
 都内のホテル・オークラに、オランダ・ABNアムロ証券東京支店で働く社員約250人が集まっていた。午前中に会社から出された、「本日午後4時から重要なアナウンスメントがある。すべての約束をキャンセルして必ず出席するように」との指示によるものだった。何のことかわからぬ社員は、怪訝な表情で立ち尽くしていた。
 やがて壇上に現れた在日代表のピエロ・オバーマース氏は、やや訛りの強い英語で原稿を読み上げた。
「東京支店はこのたび、赤字増加を理由に、日本株部門からの撤退を決めた。これによりセールス、調査部などを閉鎖する。オフィスに戻ったら、各部長から詳しい話をする……」
 この間、約20分。オバーマース代表は一方的に話すと壇を降りていった。社員の中には英語をよく理解できない者もいた。
 この後、オフィスに戻った彼らは愕然とした。
 削減対象にされた100名の電話が通じず、コンピュータも社内のサーバーに接続できなくなっていたのだ。社内では技術担当者が黙々と切断作業を進めていた。
 やがて部長が、淡々とした口調で説明を始めた。すぐに荷物をまとめてほしい、明日個別ミーティングを行う、入室用のIDカードはもう使えない……。
「翌日のミーティングで早期退職制度の説明がありました。早期退職はふつう、期間をおいて募集し、応募した人だけが対象になるはずでしょう。ところが、会社の都合のいいように『願い』を出させて、しかも1週間で決めろ、それを過ぎるとクビになるぞ、と。これじゃ脅迫ですよ。
 この後、会社のミーティングルームで、50〜60名で組合結成を話し合っていると、外国人幹部がやってきて、『今すぐ、ここから出ていけ!』と言うんです。全員が無言で冷たい視線を向けると、恐ろしくなったのか、彼は慌てて出ていきました」(社員)
 会社入り口には警備員が立つようになった。
 9月28日の第一回の団体交渉に続き、組合と会社の話し合いが持たれたが、条件面では退職締め切りが1週間延びただけだった。
 次第に焦りをつのらせる組合は10月11日、有楽町の外国人特派員協会で記者会見を開くことにした。リストラのあまりの乱暴さをマスコミに訴えるためだ。ところが当日、会場に現れたのは、代理人としての外国銀行従業員組合と顧問弁護士だった。
「団体交渉で何度も言われたのは、『コンピュータと電話を切るのを、前もって予告しなかったのは謝罪する。しかし、これは従業員と家族を守るためにやったことで、切ったこと自体は謝らない』ということです。私には、いまだに意味がわかりません」(社員)
 そして最終期限の10月12日の朝。東京支店が入居する虎ノ門・城山JTビルのロビーに40〜50名の社員が集合した。締め切りの正午を皆で乗り切り、抗議の意思を示す行動だった。
 しかし、時間が迫るにつれて、彼らに不安と焦りの表情が浮かび始めた。もしここで早期退職にサインしなければ即クビで、未消化の有給休暇分の賃金はおろか、特別退職金3カ月分も支払われない。家族にどう説明すればよいのか。
 やがて一人、二人と姿が消え、残ったのは6人だけとなった。結局、リストラ対象となった100人のうち94人が辞表を提出し、早期退職に同意した。オバーマース代表による人員削減発表からわずか17日目であった。そして、残った6人は、現在(12月18日)も会社側の対応を不服とし、和解の提案を受け入れていない。一方、リストラを通告した外国人幹部らは、いまでも地位を保持している。
photo
ABNアムロ証券が入るオフィスビル。

撮影・宇佐見利明
 以上が、ABNアムロ証券の日本株部門撤退までの経緯だが、日本企業のリストラとはかなり趣が違う。ある社員は語る。
「じつは(撤退の)発表の日から休暇を取っていて、一連の出来事を何も知らない社員が約2名いました。この人たちは、休暇から帰ってきたら机がなくなっていたわけです。しばらくして、会社にある私物がダンボール箱でゴミのように自宅に送られてきました。怒って送り返した人もいます」
 在日代表による唐突な発表と、退職の期限と条件をめぐる混乱はなぜ生じたのか。業務縮小について、事前に社員のコンセンサスを得る誠意と努力はあったのか。



日本の法律と慣習に
沿ってやったと考えている
外資系証券 「仁義なきリストラ」の一部始終

 東京支店のオバーマース代表に問い合わせたが、秘書が「この件は東京では一切答えられない」と言う。
 結局紹介されたのが、ロンドンのABNアムロ広報担当のマーティン・ウィンという人物だった。以下は、国際電話での一問一答だ。

Q ホテル・オークラでの撤退発表から、東京支店で起きた出来事は承知しているか。
A 国際的に株式市場の環境が変化する中で、東京の日本株部門撤退を決めた。これは日本の法律と労働慣習を守って実施されたと考えている。6名を除く、ほぼ全員が期限までに退職のオファーを受け入れ、もうこの問題は解決済みだ。
Q 社員のコンピュータを突然切断するのも、日本の慣習に沿ったことか。
A 今回の事態について、われわれは現地の法律を遵守し適切に行動したと思う。組合の解釈には同意できない。業務が停止した以上、社員のコンピュータを止めるのは問題ないはずだ。その彼らも退職のオファーを受け入れたではないか。
Q オバーマース代表の英語での説明がよく聞き取れなかったと訴える社員もいるが。
A それについて正確なことはわからないが、少なくとも国際銀行業務において英語は標準語のはずだが。
Q 日本の労働慣習を遵守したと言うが、正式発表の前に社員と何らかの話し合いは持たなかったのか。
A そのへんの経緯の細部は承知してない。いずれにせよ日本の法律と慣習に沿ってやったと考えている。

 日産再建で知られるカルロス・ゴーン社長は、15万人近くいた社員を2万人減らし、国内工場を相次いで閉鎖する大リストラを断行した。その過程で最も重視したのが、社員とのコミュニケーションだった。「真実を伝え、共に考える」姿勢が共感を呼んだのだ。
 論理だけで人は動かず、社員の尊厳を守らなければ会社も存在しえないのは、東西共通した哲学だ。だからこそ、日産は再生した。ABNアムロ証券は、それをドライな論理で強行突破しているように見える。
 日本という湿った精神風土で、その手法がいかなる結果をもたらすか、じっくりと注目したい。


主な外資系証券の日本株の撤退・組織縮小の動き (2001年)
メリルリンチ日本証券
国内の33店舗を28店舗に統廃合
ドレスナー・クラインオート・ワッサースタイン証券
7月、日本株関連業務の500人のうち約4割を削減
ABNアムロ証券
9月末、日本株の関連業務から撤退し、約100人を解雇
モルガン・スタンレー日本証券
2001年1月からスタートした個人向け業務から1年足らずで撤退し、会社清算へ
ソシエテ ジェネラル証券
日本の現物株から撤退。ネット証券業務からの2001年内撤退
シュワブ東京海上証券
ネット証券業務から撤退し、会社清算へ




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