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四季の話題(3)
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劇団四季『四季の会』会員向けに発行されている会報誌“ラ・アルプ”では、折々に、浅利慶太代表へのインタビュー『四季の話題』を掲載いたしております。 『四季の話題3』は本来、同誌12月号に掲載されるものですが、雑誌『週刊新潮』に劇団四季の話題が取り上げられたこともあり、“ラ・アルプ”発行に先駆けて掲載させていただきました。


――韓国の『ライオンキング』は大盛況で千秋楽を迎えたそうですね。
浅利  ええ。

――最初は強い反対運動があったとか。劇団四季に対抗するため、韓国の演劇人によって「ミュージカル協会」が結成され、『ライオンキング』に出演した俳優は、彼らの主催する公演には出さないという声明が出たそうですね。
浅利  そういう問題は霧散しました。1年前この組織が四季に対抗して立ち上げたイベントが、今年も実施されました。メイン行事は『ライオンキング』でした。

――最も強硬だった「ミュージカル協会」のユン・ホジン会長も、千秋楽の打ち上げパーティにいらしたとか。
浅利  来てくれました。今後は提携してプロジェクトを興したり、新作を作るときには協力して欲しいなどと頼まれました。劇団四季を受け入れてくれたと思います。

――興行収支としては、赤字だったそうですね。
浅利  韓国で初の商業公演です。初めから覚悟していました。この仕事は一つ一つ積み上げながら、お客様を広げていくのです。日本での劇団の草創期も同じでした。原点から、粛々と韓国でのビジネスを続けていくということです。

――マスコミや演劇関係者に、収支を公開されたそうですね。
浅利  細目に至るまで公開しました。これには理由があります。韓国のプロデューサーたちに、ロングラン公演を実現する際の経費の考え方について知ってもらいたかった。例えば費目間のバランスの取り方や、俳優人件費をしっかり確保しておく事など。韓国ではそれを抑えているようです。

――採算が取れるまで、あとどの位の観客動員が必要だったのですか。
浅利  1ヶ月毎に5千人の観客が増えれば、ペイラインに達しました。これはそんなに難しいことではないと思います。

――「韓国経済」という経済紙が、10月29日付けの「ライオンキングの透明な会計」と題された記事で、四季が全ての収支を公開したことに新鮮な衝撃を受けたと書いていました。少し引用してみましょう。「韓国のどのプロデューサーも配ったことがない資料という点で、記者たちも驚いた。売り上げにゲタを履かせる事に熱心な韓国ミュージカル界の慣行を勘案してみれば、30億ウォンを超える赤字が出た作品の損益計算書を公開したことは新鮮な衝撃だった。(中略)韓国演劇界が直面しているのは、《文化侵略》ではなく、《不明瞭な会計》という内部の敵ではなかろうか」。
浅利  愉快な記事でしたね。面白く読みました。

―― 一方、10月27日付けの「朝鮮日報」では、『ライオンキング』が赤字だった理由として、「スター俳優によるプロモーションが必要」で「韓国の観客は20〜50%の割引が当たり前と感じている」からだと論評しています。
浅利  逆に韓国演劇界の成熟を妨げているのが、この2つの考え方だと思います。20数年前の日本と同じです。

――では、ずっと赤字が・・・。
浅利  見ていてください、と申し上げたい。劇団四季は創立以来一貫して、俳優の知名度に頼らず、このルールを守りながらお客様を作ってきました。国境を越えても理念方法は変わりません。

――韓国公演を経て、俳優たちも育ってきましたね。
浅利  多くの俳優が育ちました。スカーを演じた金田俊秀君、ムファサを演じた劉昌明君、他のみんなも本当に良くやった。帰国して東京の『ライオンキング』を観ましたが、残念ながらソウル公演の方がレベルが高かった。彼らは日本でも大きな戦力になるでしょう。

――次の『ライオンキング』は福岡ですね。彼らは日本の公演にも出演するのですか。
浅利  日本語ができるようになった俳優は沢山います。彼等は、東京、福岡の両都市に出演します。が、まだ日本語が十分に出来ない在韓のアンサンブルの中にも、出演を希望する人が多くいました。

――彼らも出演しますか? 言葉の壁がありますよね。
浅利  『ライオンキング』のコーラスは、殆どがズールー語やスワヒリ語です。彼らのナンバーは、世界中の『ライオンキング』で歌詞は変わりません(笑)。

――なるほど。それはそうですね。この後の韓国公演の予定は。
浅利  まだ検討段階ですが、オリジナルミュージカルを上演したいと考えています。

――『ユタと不思議な仲間たち』ですか。
浅利  『ユタ…』か『夢から醒めた夢』でしょうね。この2作を観たいという声をたくさんいただいています。それから『ジーザス・クライスト=スーパースター』も上演したい。

――劇団四季の最初の韓国公演は『ジーザス…』エルサレム版でしたね。94年に「日本文化通信使」というフェスティバルの一環として、文化交流を目的に5回上演されました。韓国で初めての日本語での公演でしたね。
浅利  この『ジーザス…』を観劇した韓国の演劇関係者が刺激を受け、ここから「韓国ミュージカル」の本格的な運動がスタートしたとも聞いています。だからこの作品を観たいというお客様が多いのは理解できます。もちろん今度は韓国語で、韓国人キャストで上演します。

――既に京都公演でも、韓国出身のメインキャストが活躍していますね。ユダの金森勝さん、マリアの高木美果さん、西珠美さん。
浅利  じゃあ、後はジーザス役を作ればいいだけですね(笑)。彼らは「声」を持っているし、レベルの高い『ジーザス…』が上演できると思います。ジャポネスク・バージョンをソウル・バージョン、あるいはコーレアン・バージョンとして演出することも考えています。
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