後期高齢者の訪問看護、74歳以下でも評価

 厚生労働省は11月9日の中央社会保険医療協議会・診療報酬基本問題小委員会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)で、74歳以下の在宅患者への訪問看護を75歳以上と同等に評価する方針を提案し、了承された。2008年4月から始まる75歳以上を対象にした医療制度(後期高齢者医療制度)では、重い病気や障害のために自宅療養している患者を訪問して必要な看護を行う「訪問看護」を診療報酬で十分に評価する方針が決まっており、退院前後の支援、24時間体制、終末期医療などで訪問看護師の役割が期待されている。

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「訪問看護」を十分評価/中医協

 訪問看護サービスは患者の状態などに応じて医療保険と介護保険の2通りがあり、病院や診療所が行う訪問看護と訪問看護ステーションが行う訪問看護がある。

 厚労省によると、訪問看護ステーションを医療保険で利用している在宅患者は、65歳未満(40〜64歳)が47.7%で(04年介護サービス施設・事業所調査)、若年者からの利用ニーズも多いという。

 このうち、39歳までの在宅患者に多い疾患は神経系の疾患や精神障害で、ほかに末期のがんや循環器系の疾患で自宅療養する患者もいる(05年訪問看護療養費実態調査)。

 このため厚労省は、@地域の主治医と連携した退院調整や退院前の指導などに対して診療報酬で評価する、A24時間体制の充実など、患者の状態に応じた訪問がさらに実施されるように診療報酬で評価する、B死期が迫った患者からの頻繁な電話対応や訪問などを診療報酬で評価する――ことを提案した。

 厚労省保険局の原徳壽医療課長は「個々の患者の具体的なニーズは75歳以上と変わらない。とすれば、サービスの提供も後期高齢者と同様に考えていきたい」と説明した。
 同省の提案に対して、診療側委員、支払い側委員から異論はなく、了承された。



 質疑で、古橋美智子委員(日本看護協会副会長)も「ぜひ評価してほしい」と賛意を表した上で次の3点を付け加えた。

1.退院前後の支援について

 古橋委員は退院調整や在宅移行支援には病院の協力が不可欠だが、スムーズに進まないことを問題視。「訪問看護師と病院担当者との調整に対する加算がないので、病院側の意欲や積極性が少ない」と指摘し、病院の退院調整部門の職員と訪問看護師との連携を評価するよう改めて求めた。

2.24時間体制
 
24時間連絡体制加算について、医療保険と介護保険の評価が違うことを改めて強調した。

3.終末期の医療
 
古橋委員は、終末期の電話対応に関する調査結果を紹介。在宅で亡くなった患者112人が死亡前1週間に約350回の電話を訪問看護師にかけたが、その52%は訪問なしで対応できたことから、終末期の電話対応の重要性を改めて強調した。

 このほか、在宅療養に必要な医薬品や機材の供給が遅れている状況も指摘したが、山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)が「医薬品をどう扱うかという部分は私たちの領域なので、きちんと議論してもらわないと薬剤師として抵抗がある」と、くぎを刺した。


更新:2007/11/12   キャリアブレイン

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