
『構想力のための11章』
〜新しい発想を生み出す方法〜
水野博之 著
(四六判・並製・208頁・本体1.300円+税).
著者は松下電器副社長として松下幸之助の右腕となり、1980年代末の日米半導体協定では日本側の代表を務め勝利を収めるなど、まさに「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を前線で推進してきた人物です。現在は日本とアメリカの大学をまたにかけて教鞭をとり、主に起業家志望の後裔のためにその膨大な知識とほとばしる精神を注ぎ込んでいます。
ところが著者は、学生や若手サラリーマンを教えながら、また、今の日本を取り巻く現状を鑑みながら、かつて日本人が持っていたものが失われていることに気づきました。それが「構想力」という考え方です。
「構想力」とは、私たちの日常にあふれる既成の事実をいかに組み合わせるかによって、まったく新しい考え方が生まれる、その原動力のことです。本書に詳述しておりますが、たとえば松下幸之助やブリヂストン創業者の石橋正二郎、最近ではマイクロソフトのビル・ゲイツも、特別な考え方を持っていたわけではありません。大成功を収めた現在から見れば、だれもが考えつくことを世界で最初に、なおかつ想像を絶する斬新な組み合わせで、世に問うただけなのです。
アメリカが推進し世界を席巻するインターネットも、情報とネットワークを組み合わせた「構想力」の産物です。IT革命で雇用創出だと喜んでいる前に日本は、これに立ち向かうぐらいの「構想力」を持たねばならないと著者は警告を発します。他国が考えたことを真似するだけでは、スピード必須のデジタル時代に振り落とされるのは目に見えているからです。
ふんだんな実例と明快な物言いで、若手サラリーマンやベンチャー志望のビジネスマン、さらに就職活動で悩む学生に、今日から実践できる最強の一書です。
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★★★
2001年新刊
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