財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」が2008年度予算で診療報酬を引き下げる方針で一致したことに対し、神奈川県保険医協会は11月12日までに「数字の作為的操作と歴史的事実を歪曲した財務省の『診療報酬マイナス改定』合意に断固抗議する」と題する声明を発表した。診療報酬をめぐっては、日本医師会や全国保険医団体連合会などが既にプラス改定を要求する見解を示しており、医療現場の声を財政サイドがどのように受け止めるか注目される。
財務省は11月5日、薬価の引き下げに上乗せして診療報酬の本体部分だけで最大3.6%の引き下げが必要という試算を提示。1%の引き下げで国庫負担を約800億円削減できるとしており、4%規模になれば約3,200億円の減となり、国民医療費ベースでは1兆3000億円に上る削減になるという。
対して、神奈川保険医協会は「診療報酬の改定率とは、技術料と薬価の合計で、1998年以降の累計はマイナス7.8%。回復のためには、プラス8.37%が必要」と指摘。その上で「そもそも診療報酬改定は81年以降、それまで実施していた物価スライド制を廃止し、80年代、90年代と世界一の医療費抑制策≠敷いてきた。にもかかわらず、物価・賃金とスライドさせているかのような資料でかく乱するのは、ご都合主義で言語道断である」などと批判している。
これらの見解を踏まえ、同協会は「医療機関の倒産は昨年の倍以上のスピードである。これ以上のマイナス改定が続くのであれば、劣悪な環境でも頑張っている医療現場の人心が荒廃するだろう。もともと現在の医療現場の崩壊は財務省が主導してきた政策の結果。さらに、同省は医療の最前線で働く開業医をも崩壊に追い込もうと企図しているとしか思えない」と反発。「医療者を愚弄するのは、もうやめにして、安心・安全の医療の実現のため、診療報酬のプラス改定を心より求める」と訴えている。
診療報酬は実質10年間、マイナス改定が続いており、「(医療)構造改革」を強く打ち出した小泉政権下の06年には過去最大となる3.16%の引き下げが実施されている。
こうした現状に対し、次期改定(08年)で日医は5.7%、保団連は7.25%以上の引き上げを求めている。
更新:2007/11/12 キャリアブレイン
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