福岡市は12日、病院事業運営審議会に対し、9月に発表した人工島(同市東区)事業見直しの最終報告に沿って「こども病院・感染症センター」(中央区)を人工島に単独移転する方針を報告した。審議会は2002年12月に市立2病院の統合移転を市側に答申しており、委員から反発の声も上がった。

 最終報告は、事業見直しを進める市役所内部の検証・検討チームが、こども病院を人工島へ単独移転し、市民病院(同市博多区)を現地存続させる方向性を表明。地元医療関係者を中心に構成する審議会が市に答申していた「市立2病院の統合移転」の結論と食い違っていた。

 審議会では、新こども病院に周産期医療の産科機能を加える市側の方針を評価する声が上がる一方で、統合移転から単独移転への市側の「方針転換」について、意見や質問が相次いだ。

 「2病院統合の方向で医師会は協力してきたが、市の財政的視点のみで単独移転に縮小されるのは残念」(宮崎良春・市医師会会長)「移転先は人工島で本当にいいのか。交通の利便性を考慮すべきだ」(井上賢太郎・福岡県小児科医会会長)「最終報告は審議会の議論をないがしろにしている」(市議)など厳しい声も上がった。

=2007/11/12付 西日本新聞夕刊=