在宅医療を担う訪問看護ステーションの休止が、県内で相次いでいる。運営する母体病院自体が看護師確保に苦慮し、同ステーションに配置する看護師を確保できないことが主な要因。2006年4月の診療報酬改定で、手厚い看護体制を整えた病院は診療報酬が上乗せされるようになり、大病院を中心にした看護師の争奪戦が、同ステーション運営に大きく影響している実態が浮き彫りになった。
訪問看護ステーションは、看護師や保健師らが患者の自宅などを訪問し、主治医の指示書に基づき点滴や投薬などの医療行為にあたり、人工呼吸器の管理、リハビリや排せつの介助などの介護にも携わる。全国に5480カ所(06年10月現在)あり、患者や家族の在宅療養を支えている。
県長寿介護課などによると、県内の訪問看護ステーションは07年4月現在、97カ所あるが、うち17カ所が休止している。事業所数は介護保険制度がスタートした00年は72、03年91、06年97と増加。その一方、毎年2―3事業所が休止しているため、この数年、運営を続ける事業所数は横ばい状態が続いていた。特に今年は新たに5カ所が休止し、新規参入もなかったことから、運営を続ける事業所数が前年を大きく下回る事態に陥った。同課は「看護師不足が大きな要因」と分析している。