注目の要旨・全文
小沢一郎代表の会見要旨など
【社会】裁判員が任意性判断 研究結果骨子判明 否定なら採用せず2007年11月11日 朝刊 最高裁司法研修所(埼玉県和光市)による裁判員裁判の在り方に関する研究結果の骨子が十日判明し、自白調書の任意性が争われた場合、裁判員が認めない限り証拠採用しない方針が示されることが分かった。裁判官は検察側、弁護側双方の任意性立証を解説したり、自分の考えを説明したりしないことも盛り込まれている。 研究結果の骨子は「裁判員裁判のイメージを示したもの」(最高裁刑事局)とされ、実務上の指針となりそうだ。また骨子は、富山などの冤罪(えんざい)事件で注目されている取り調べの録画を「有効な手段」と評価し、本格導入を促す可能性もある。 司法研修所は本年度、東京地裁などの裁判官計五人に「裁判員制度の下における大型否認事件の審理の在り方」に関する研究を委嘱し、十月までに骨子がまとまった。 骨子によると、まず裁判員裁判の基本的な考え方として(1)法廷での供述・証言に基づき審理する「口頭主義」を徹底する(2)審理期間を大幅に削減し、公判に立ち会うだけで必要な判断資料が得られるよう工夫する(3)裁判官室で供述調書などを読み込む従来の方法は採らない−などと指摘した。 続いて被告が捜査段階の自白を翻して起訴事実を否認し、捜査段階の自白調書は任意の供述か、取調官の強要によるものかが争われるケースに言及。これまでは取調官の尋問などが長く続き、裁判官が全供述調書を証拠採用した上で供述の変遷を検討して判断してきたが、裁判員裁判では「こうした手法は採り得ない」との見解を示した。 <メモ>裁判員裁判 2009年から実施され、対象は殺人、強盗致傷など法定刑が死刑または無期懲役の事件と危険運転致死など故意の犯罪行為で被害者を死亡させた事件。年間約3000件と想定されている。原則として市民から無作為に選ばれた裁判員6人と裁判官3人が審理し、証拠に基づいて有罪か無罪かを判断(事実認定)し、有罪の場合は刑も決定(量刑)する。裁判員は証人に尋問したり、被告に質問したりできる。有罪判断と量刑には裁判員、裁判官各1人以上を含む過半数の賛成が必要とされ、有罪と決まらない場合は無罪を言い渡す。
|