中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

東洋ゴムも不燃性偽装 隠ぺい15年、176棟使用

2007年11月6日 朝刊

断熱パネルを示しながら記者会見する東洋ゴム工業の中倉健二常務。右は片岡善雄社長=5日午後、国交省で

写真

 国土交通省は五日、東洋ゴム工業(大阪市)が硬質ウレタンを使用した断熱パネルの国交相認定を受けるための不燃性能試験で不正をし、三倍程度燃えやすい建材が店舗や工場、学校など少なくとも百七十六棟の間仕切りや外壁計約十五万平方メートルに使われていると発表した。

 東洋ゴム工業によると、不正は一九九二年から始まり約十五年間、部長クラスの担当者で引き継がれていた。ニチアス(東京)の耐火材性能偽装発覚後の社内調査で明らかになったという。昨年三月、社内試験で一部の建材の不燃性能が足りないと再確認したが、経営陣に報告しなかった。ニチアスに続く不正発覚で、建材業界全体のモラルが問われそうだ。

 国交省によると百七十六棟の内訳は、店舗九十二▽工場四十八▽倉庫二十九−など。学校の二棟は宮城県利府町の利府(りふ)高校のクラブ棟外壁と、富山県高岡市の福岡中学校の調理場内壁。

 同社が無料で改修し、費用は約四十億円かかる見込み。ほかに約二万平方メートル分が出荷されており、同社が建物の特定を進めている。

 国交省によると、東洋ゴム工業は日本建築センター(東京)で認定を受けるため、日本建築総合試験所(大阪府吹田市)で性能試験を受ける際、製品には使用しない水酸化アルミニウムを混ぜたり、難燃剤を増量して燃えにくくし「準不燃材料」など六種類の認定を受けていた。

 国交省は五日、認定を取り消し、東洋ゴム工業や日本建築総合試験所などに再発防止策の検討を指示した。

 六種類は亜鉛めっきなどをした鉄板で硬質ウレタンを挟む構造。準不燃材料の場合、炎を十分間当てても燃えない性能が必要だが、社内試験では四分程度で燃えてしまったという。

 東洋ゴム工業の問い合わせ窓口は、電話0800(300)1456。

◆「罪の意識が欠落」 社長ら陳謝

 ニチアスに続き、国の認定を受けるため商品の耐火性能試験の不正が発覚した東洋ゴム工業。不正の隠ぺいは十五年間も続いており、片岡善雄社長らは「コンプライアンス(法令順守)の意識が希薄と言われても仕方ない。おわびしたい」と陳謝した。

 片岡社長ら役員四人は五日夕、国土交通省で記者会見。硬い表情で深々と頭を下げた後、一九九二年に断熱パネルの性能試験で不正があったことを明らかにした。ニチアスの不正をきっかけに社内調査をした結果、同じような不正が。片岡社長らは十月三十日に部下からの報告で初めて知ったと説明。代々、担当部署の部長クラスは知っていたが、役員は知らなかったという。役員の一人は「担当部署で十五年間もやってきて罪の意識が欠落していたのでは」と語った。

 「当時、早く新しい製品を立ち上げたいという焦りが担当部署にあったのでは…」と片岡社長。「社長に就任して六年目。ずっとコンプライアンスの重要性をあちこちで言ってきたが、情けない」と唇をかみしめた。

 この日不正の報告を受けた国交省の担当者は「大変遺憾。あってはいけない事態だ」と語気を強めた。

 

この記事を印刷する

広告