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有害情報とフリーライダー
2007-11-11 / IT
きのう情報ネットワーク法学会のパネルディスカッションに出てきた。テーマは「違法・有害情報と匿名性」。当然、焦点は2ちゃんねるだ。損害賠償訴訟に連敗しながら、判決を無視して「年収は1億以上あるが、差し押さえられないように隠してある」などと公言するひろゆきについて、「どうすることもできないのか」と私が質問したら、専門家の答は「民事ではむずかしい。破産申し立ても断念したようだ」とのことだった。しかし名誉毀損は、刑事訴追もできる。なぜ警察は、法治国家の原則を嘲笑するひろゆきの行動を黙認しているのか――という私の質問には、たぶん名誉毀損は立証がむずかしく、マスメディアも英雄扱いしているので警察も手が出せないのだろう、との答だった。違法行為をもてはやすメディアの責任も重い。
ただ、2ちゃんねるのような違法情報は、まだ問題がわかりやすい。むずかしいのは、違法とまではいえない有害情報だ。たとえば、ブログの「炎上」や「はてなブックマーク」などを使ったいやがらせである。悪質なコメントについて、はてなに抗議すると「権利侵害ではないので削除はできない」と回答してくる。「警告もしないのか」と質問すると「表現の自由」を持ち出す。これはナンセンスである。表現の自由とは公権力との関係で問題になるもので、はてながアカウントを削除しても他のサービスを使えばよい。
悪質なコメントを防ぐ技術的な方法は、いくらでもある。diggのように相互批判できるようにし、他人の評価によってコメントにランクをつけるとか、Slashdotのように評価の低いコメントを隠すこともできる。しかし、はてなはそういう改善措置をとるつもりもないらしい。要するに、小倉秀夫氏も指摘するように、「はてなは他人の悪口をいいやすいシステムで利潤を上げている」のである。こうしてネットイナゴがたくさん集まれば、はてなの広告収入が増える一方、イナゴが他人を罵倒して不愉快にするコストは被害者が負担するので、はてなには質を高めるインセンティブがない。こういうのを経済学でフリーライダーとよぶ。
フリーライダーを防ぐメカニズムはいろいろあるが、その一つは評判を保つインセンティブを与えることだ。たとえば、トラブルが頻発してマスメディアでたたかれれば、広告が集まらなくなるだろう。ニフティの丸橋氏も「ブログのようなCGMは、コンテンツの質が保証できないので大手の広告が取れず、経営がむずかしい」といっていた。はてなに出てくる広告も、大手企業のものは少なく、怪しげなものが多い。そのうち自滅するだろう。
有害情報は、ウェブに固有の問題ではない。世の中には有害な情報はいくらでもあるし、怪しげな情報を集めたメディアも多い。しかし普通のメディアの世界では、朝日・読売などの一般紙と、夕刊紙やスポーツ紙などの棲み分けができており、大手企業は『アサヒ芸能』に広告は出さないし、逆にキャバクラの広告は一般紙には出ない。「有害情報」の好きな人はそういうメディアを読み、普通の人は一般のメディアを読めばよいのである。ところがウェブでは、朝日新聞とアサヒ芸能が混在し、朝刊を開いたらエロ小説やパチンコ屋の広告が出ているという状態に近い。
これはコンテンツの価格がゼロなので客がたくさん集まればよく、質を保つインセンティブがない(民放と同じ)ことが根本原因だが、インターネット広告産業がまだ成熟していないことも一因だろう。今後、まともな広告主は愚劣なコンテンツの多いサイトには広告を出さないといった選別が進めば、コンテンツの品質管理をきびしくして大手企業の広告を集めるか、何でもありにしてポルノサイトの広告を集めるかの二極分化が起こるのではないか。単にアクセス数を競うのではなく、サイトの質を審査して広告単価をAAA、AAなどと格付けする機関ができてもいい。
ただ、2ちゃんねるのような違法情報は、まだ問題がわかりやすい。むずかしいのは、違法とまではいえない有害情報だ。たとえば、ブログの「炎上」や「はてなブックマーク」などを使ったいやがらせである。悪質なコメントについて、はてなに抗議すると「権利侵害ではないので削除はできない」と回答してくる。「警告もしないのか」と質問すると「表現の自由」を持ち出す。これはナンセンスである。表現の自由とは公権力との関係で問題になるもので、はてながアカウントを削除しても他のサービスを使えばよい。
悪質なコメントを防ぐ技術的な方法は、いくらでもある。diggのように相互批判できるようにし、他人の評価によってコメントにランクをつけるとか、Slashdotのように評価の低いコメントを隠すこともできる。しかし、はてなはそういう改善措置をとるつもりもないらしい。要するに、小倉秀夫氏も指摘するように、「はてなは他人の悪口をいいやすいシステムで利潤を上げている」のである。こうしてネットイナゴがたくさん集まれば、はてなの広告収入が増える一方、イナゴが他人を罵倒して不愉快にするコストは被害者が負担するので、はてなには質を高めるインセンティブがない。こういうのを経済学でフリーライダーとよぶ。
フリーライダーを防ぐメカニズムはいろいろあるが、その一つは評判を保つインセンティブを与えることだ。たとえば、トラブルが頻発してマスメディアでたたかれれば、広告が集まらなくなるだろう。ニフティの丸橋氏も「ブログのようなCGMは、コンテンツの質が保証できないので大手の広告が取れず、経営がむずかしい」といっていた。はてなに出てくる広告も、大手企業のものは少なく、怪しげなものが多い。そのうち自滅するだろう。
有害情報は、ウェブに固有の問題ではない。世の中には有害な情報はいくらでもあるし、怪しげな情報を集めたメディアも多い。しかし普通のメディアの世界では、朝日・読売などの一般紙と、夕刊紙やスポーツ紙などの棲み分けができており、大手企業は『アサヒ芸能』に広告は出さないし、逆にキャバクラの広告は一般紙には出ない。「有害情報」の好きな人はそういうメディアを読み、普通の人は一般のメディアを読めばよいのである。ところがウェブでは、朝日新聞とアサヒ芸能が混在し、朝刊を開いたらエロ小説やパチンコ屋の広告が出ているという状態に近い。
これはコンテンツの価格がゼロなので客がたくさん集まればよく、質を保つインセンティブがない(民放と同じ)ことが根本原因だが、インターネット広告産業がまだ成熟していないことも一因だろう。今後、まともな広告主は愚劣なコンテンツの多いサイトには広告を出さないといった選別が進めば、コンテンツの品質管理をきびしくして大手企業の広告を集めるか、何でもありにしてポルノサイトの広告を集めるかの二極分化が起こるのではないか。単にアクセス数を競うのではなく、サイトの質を審査して広告単価をAAA、AAなどと格付けする機関ができてもいい。
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確かに2ちゃんねるだけが、治外法権的な地位を相変
わらず保持しているのは不思議な気がしますね。
まったく同じことを他人がやれば、即警察も動くと思
うんですが。
テレビCMなら視聴率から効果を「推測」するのでしょうが、ネットだと「正確」に出てしまいます。
なまじ正確な数字で出る為にコストを抑えようという意欲がクライアント側に働くと思います。
となると、質は高いがアクセスが低いサイトには広告が入りません。池田氏の指摘どおり質の低いサイトに大手企業の広告が入らないのも事実なのでYahooなどごく一部を除けば広告収入でサイトを運営するという事業自体大変難しいものです。
はてなもそうですが、アドセンスでの収入に頼るサイトは多いです。広告を出す側としては比較的安上がりなので重宝しますが(私も自社の事業で大変助かってます)コンテンツサイトとしてはあの収入でやろうと思えば安上がりにアクセスをあげるしかないと思います。
優良なネットコンテンツを育てる為には、広告効果を無視してでも「ここ」には広告を出そうという広告主の気概が必要だと思いますが、数字が出てしまう現実の前には無理な話ですよね。。。。
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