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◆台湾
東亜FAQ目次


目次

◆◆台湾軍

◆◆中国的台湾侵攻関連

◆◆日台関係


 【質問】 台湾は中国の固有の領土では?

 【質問】 「チャイニーズ・タイペイ」という呼称は,台湾正式のものなのか?

 【質問】 中華民国の首都っていまでも南京なの?

 【質問】 台湾国民党が政策綱領から「中国との祖国統一」を除いたのは何故か?

 【珍説】 「保守論壇も,強者に追従するのが,国益というのが信念.ならば〔その信念に従うなら〕,日本政府や外務省が,アメリカにも中国にも必ず追従するのは当然(小林よしのり)」???

 【小林主体思想】 「日本は北朝鮮が怖いから,アメリカに対しては,「イラク侵略の支持」という貢ぎ物を差し出し,中国に対しては「台湾の独立を阻止」という貢ぎ物を差し出した(小林よしのり)」???

 【小林主体思想】 「李登輝が,尖閣諸島は日本の領土だと言っているのは,国益よりも道義外交を重んじる武士道精神の表れ(小林よしのり)」???

 【質問】 日本統治時代についての台湾側の評価は?

 【質問】 2・28事件の死者数は?

 【質問】 2・28事件とは?

◆◆台湾軍

 【質問】 台湾の国防費は?

 【質問】 台湾の主力戦車は何ですか?

 【質問】 台湾のキッド級駆逐艦を改造したら,イージス艦になれますか?

 【質問】 キッド級は将来,ミサイル防衛の一翼を担える艦ではないということですか?

 【質問】 ラファイエット事件とは?

 【質問】 台湾の対潜哨戒能力は?

◆◆中国的台湾侵攻関連

 【質問】 なぜ中国共産軍の金門島上陸作戦('49年10月24日夜)は失敗したのですか?

 【質問】 国民党が大陸反攻を捨てていなかった時代,台湾軍も中国本土侵攻を狙った整備をしていたのですか?

 【質問】 中国の「反国家分裂法」の問題点は?

 【質問】 中国軍の思い描いている,台湾占領のシナリオとは?

 【質問】 台湾海峡に中国軍はどれだけミサイルを配備しているのか?

 【質問】 今現在,中国軍には台湾に上陸して占領する能力はあるんでしょうか?

 【質問】 台湾攻撃用に用意している中国軍兵力は?

 【質問】 中国は本当に台湾に侵攻しようとしているのか?

 【質問】 中台戦争になったら,米軍が本当に軍事介入してくれるの?

 【質問】 台湾有事に米軍が介入したら,米中核戦争になりませんか?

 【質問】 内心は穏便に台湾の国家が消えてくれる事を望んでいる国が多いのでは?

 【質問】 日米は台湾を公式な国家と認めてはいないのに,なのに台湾を守らなきゃならないんですか?

 【質問】 国家として認知していない台湾を支援することは,大義名分に欠ける致命的な行為では?

◆◆日台関係

 【質問】 台湾有事の際,日本はどうすべきか?

 【質問】 中台戦争に自衛隊が介入することはあり得ないのではないですか?

 【質問】 中台戦争に際し,政府が率先して法を無視しても,諸外国から信頼されるのでしょうか?
 【質問】 中台戦争の際,日本は人道的支援を行う程度で良いのでは?

 【質問】 日米が台湾問題に軍事介入するとなると,日本が自ら紛争に首を突っ込むことになるのでは?

 【珍説】 「中台危機は,日本を巻き込む軍事的緊張に直結するものではない(浅井基文)」???

 【質問】 中国,台湾間を閉ざされて日本と東南アジアの流通がストップする,と本気で思っているんですか?

 【珍説】 「日本は世界第2位の原油輸入国.世界第3位の消費国.中東がそれを放っておくはずがない」???
 【珍説】 「中国・東南アジア航路を失ったくらいで日本経済はダメにはならない」???
 【珍説】 「日本経済は世界第2位の経済大国.世界の1ヶ所が通れなくなってダメになるようなヤワじゃない」???

 【質問】 台湾有事に備えた対処計画は,日本にはあるのか?


 【質問】
 台湾は中国の固有の領土では?
 1895年当時の日本は,中国領だと認識していたから,中国に割譲を要求したんでしょ.
 台湾出兵でも事後処理交渉は清とやってますし.

タリバン警護隊 ◆IGEMrmvKLI他

 【回答】
 その辺りよく誤解してる人が多いんだけど,近代以前の国家では明確な国境線による区分はないからね.
 こっちからは中国あっちからは日本,といった具合にはなかなか線引きができない.

 近代以前のアジアにおいては国境線ではなく,勢力圏として理解すべき.
 で,そういう概念を近代的な国境観念に置換する際の国際的摩擦として,台湾出兵や日清戦争,琉球処分とかがあったわけ.
 一説によれば,日清戦争後に清国は朝鮮を正式に領土として組み入れる意図があったとか.

 だからまぁ,その辺りの所は一義的に言えるもんじゃなくて,論者の立場によってかなり違って来る.
 要するに自国の都合のいい時は近代的な国境線が古代からあったかのように主張し,都合の悪い時は,近代以前は曖昧な勢力圏しか無かったと主張するということ.
(まあ自国の利益を死守するためには当然のことだけど.)

 その辺を厳密に考えると,植民地化まで統一国家の概念が無かった地域なんか大パニックになるから,仕方が無いね…

軍事板


 【質問】
 「チャイニーズ・タイペイ」という呼称は,台湾正式のものなのか?

 【回答】
 「チャイニーズ・タイペイ」という名称は,台湾がオリンピックに残ることと引き換えに,中国に押し付けられた名称.

 しかし,一部マスコミはこの呼称を,なぜかよく使うようになっている(苦笑).

 たとえば2006/9/16,バレーボール世界選手権の試合中継で,TBSは台湾代表を「チャイニーズ・タイペイ」と呼んだ他,同局は以前にも,<チューボーですよ>という番組(土曜夜11:30)において,未来の巨匠を紹介するコーナーで若い台湾人コックを <出身>中国(台湾省)と紹介した事があるという.

 詳しくは『台湾の声』を参照されたし.


 【質問】
 中華民国の首都っていまでも南京なの?

 【回答】
 そのとおり.
 公式的な首都所在地は南京のままとされ,台北は臨時首都という扱い.
 台北を首都としてしまうと,台湾独立運動の一環と中国にみなされてしまうので,正式に認定するのを控えているようだ.

軍事板


 【質問】
 台湾国民党が政策綱領から「中国との祖国統一」を除いたのは何故か?

 【回答】
FT:台湾の国民党,中国との祖国統一を政策綱領から除外へ
Taiwan’s KMT backs away from China

By Kathrin Hille in Taoyuan Published: June 24 2007 17:35

という記事によれば,台湾の政治的リアリティに配慮して来年はじめの大統領選挙に備えるためだという.

Taiwan’s main opposition party has watered down its commitment towards unification with China in a cautious attempt to adjust to the island’s political realities ahead of the presidential elections early next year.

 国民党の政策綱領の変更は日曜日に承認され,国民党は今や「台湾の国民の繁栄を中心」にしたものとなるという.

Changes to the KMT’s charter approved on Sunday aim to free the party from this burden. It now pledges that the party’s efforts will “centre on Taiwan and on the people’s welfare”.

 この綱領変更は支持者層の賛同を得ているようである.
 Chao Chun-shan代議員は次のように述べている.
「私は中国に言いたい.
 我等の国旗,国歌,そして国の名称を尊重せよ.
 そういう事が出来て初めて平等な対話の可能性が生まれる」

The changes appeared to receive grassroots backing. One delegate,
Chao Chun-shan, said: “I want to tell China: Respect our flag, our national anthem and our national moniker. Only then will there be a chance for dialogue on an equal basis.”

ニュース極東板


 【珍説】
 台湾の総統を「」付きで表現するのは,世界で中国と日本だけ!
 日本外務省は明らかに,中国に追従しているだけなのだ!

 しかし,落ち着いて考えてみよう.
 日本の政権与党ばかりか,いわゆる「保守」論壇も,
「強者に追従するのが,国益であって,正邪,道徳は関係ない」
というのが信念である.

 ならば当然,日本政府や外務省が,アメリカにも中国にも必ず追従するのは当然ではないか!

 何しろ,日本は,中国に北朝鮮の脅威から守ってもらわねばならない立場なのだ!

 北朝鮮の脅威があるからこそ,日本外務省は,中国を支援し,台湾の陳水扁の再選を妨害する内政干渉を行ったのだ.

 日本は「道義外交」は捨てている.
 国益だけだ.

(小林よしのり from SAPIO 2004/3/24号,p.60-61)

 【事実】
 中国に追従しているのは,いわゆるチャイニーズ・スクールの連中でしょ.
「日本の官僚は省益だけを考えて,国益を考えることがない」
とはしばしば聞かれる指摘ですな.

>「強者に追従するのが,国益であって

 歪曲ですな.

「地政学的に見た場合,日本は必然的にどこかの陣営と同盟を組まざるを得ず,周辺国を見回してみた場合,日米同盟が最善の策であって,これを堅持するのが国益に繋がる」
という主張なら見たことはありますが,「強者に追従するのが,国益」などという単純なスローガンを掲げている者を寡聞にして知りません.探せば独りくらいはいるかもしれませんがね(笑).

>何しろ,日本は,中国に北朝鮮の脅威から守ってもらわねばならない立場なのだ!

 中国は明らかに,北韓を助ける側に回っていますが.経済援助に重油の格安提供.
 金正日が何のためにしばしば訪中するのか分かってますか?

 北韓を巡る情勢を全くご存じないかのような書きようですが,ご存じでないことは語らないことをお勧めします(これまでの珍発言の速やかな訂正もやってね).


 【小林主体思想】(別名:マルチ・スタンダード)

 北朝鮮が怖いから,アメリカに対しては,「イラク侵略の支持」という貢ぎ物を差し出し…

 北朝鮮が怖いから,中国に対しては「台湾の独立を阻止」という貢ぎ物を差し出す.

 道義を捨て,国益のために,あるときはアメリカ,あるときは中国の,意に沿う外交を繰り広げる政治家と外務省.

 諸君らはこんな,国益のためと称して行われる「道義なき外交」でいいのか?

 ごーまんかましてよかですか?

 道義や正義を黙殺した外交は,目先の利益・国益に捕らわれた貧者の外交である.
 それは長期の国益を損なっている.
 日本人が本当の独立心を育てるためには,今すぐにも主体的な「道義外交」を目指さねばならない!

(小林よしのり from SAPIO 2004/3/24号,p.62)

 【ツッコミ】
 はて? いつ中国にそんな貢ぎ物をしたんでしょうか?
 対中外交における日本外務省の異常な遠慮ぶりは,「北韓の脅威」が認識されるずっと以前からのことですし,小泉首相は歴代最も対中強硬姿勢を見せている首相なのですが,小林には何か,他の人には見えないものが見えているようです.

 そんな認識の下で「国益外交」を批判しても,他の誰にも見えない何かに向かってこぶしを振り上げているだけに他なりません.

 なお,イラク戦争が侵略に当たるかどうかは,イラクFAQ参照の事.


 【小林主体思想】(別名:マルチ・スタンダード)

 台湾の中でも中国の顔色を見る輩が,尖閣諸島を自国領と主張するが,李登輝氏は
「尖閣諸島は日本の領土だ」
と言っている.
 これは「国益」よりも「道義外交」を重んじる李登輝氏の武士道精神の表れであろう.

小林よしのり from SAPIO 2004/4/28号,p.62欄外

 【ツッコミ】
 李登輝のこれ以前の,尖閣諸島問題についての発言を存じませんので,断言はできかねますが,中国に対抗するために,日本との間でつまらない摩擦を起こしたくないがための,極めて「国益重視」な発言であるように思えるのですが…….


 【質問】
 日本統治時代についての台湾側の評価は?

 【回答】
 中村哲(なかむら・さとる)編著『東アジアの歴史教科書はどう書かれているか』(日本評論社,2004.8)の台湾の項で,著者,李宗川・庄司春子によれば,1994年10月教育部公布の国民中学歴史課程標準に基づく教科書「認識台湾」で,日本の植民地統治時期について,従来の教科書にあった日本統治の否定的側面だけでなく肯定的側面をも客観的に記述したことが画期的であるとし,土地制度改革,インフラ整備,農業の近代化,工業化,公衆衛生の強化,日本語教育の近代的知識吸収など肯定的な面を,差別待遇,隔離政策の原則の採用と云う否定面とともに記述されているそうです.

 また,高級中学つまり高校の1995年10月改定の教科書では,上記の肯定的面も述べつつ,植民地支配の否定的な側面にウェイトを置いた記述がされていると書いてあります.
 例えば,経済政策は台湾の従属的性格について,
「二十余万人に達する台湾籍の軍人・軍夫が前線に送られ,少なからざる少女が異境で淪落し慰安婦にあっせられた」
とし,
「これら計り知れない辛酸血涙は,みな日本の植民地統治が残した歴史の傷跡である」
としている,と書いてあります.
 また,戦後の台湾の経済発展の成功の理由に植民地統治の遺産を上げるなど,功罪とも客観的に見ようという視点が盛り込まれていると,しています.

 台湾の教科書(あるいはその訳)は,見たこと無いのですが,上の本ではその様に評されています.

Queso in mixi

 上記の記述のような見方が,標準的見解と見てよいと愚考する.


 【質問】
 2・28事件とは?

 【回答】
 1946/2/28,査察員による暴行事件をきっかけとして起きた,反国民党武装蜂起.
 蒋介石は軍隊を投入し,事件は大流血を伴いながら3週間で制圧されたが,その後に起こった粛清,無差別逮捕と虐殺は数ヶ月も続いたという.

 以下引用.

 1945年8月15日,終戦まもなくマッカーサー指令により蒋介石は陳儀を派遣して台湾を「接収」した.
 台湾に来た陳儀は直ちに警備総司令部を組織して軍事統治を行い,迅速に日本人を本国に送還したが,日本人の残した資産を国有化,または私有化した.
 さらに,終戦と同時に中国大陸では内戦が起こり,物資は欠乏し金融危機が起きたので,陳儀は台湾の物資を大量に大陸へ送り,台湾の経済はたちまち疲弊し,金融制度は機能しなくなり,中国の貨幣価値は暴落して巨大インフレがおこり,人民の不満,怨嗟が高まった.

 このような時期に闇タバコの取締りで,2月28日に台北の街頭でタバコを売っていた林江邁という女性を拳銃で殴った査察員に人民の憤怒が集まった.
 あわてた査察員は民衆の反撃に驚いて,逃走しながら拳銃を発射し,これが陳文渓という傍観者に当たって即死したので,たちまち暴動となった.
 武器を持つ警察や軍隊に対抗するため台湾人民軍が結成され,数日の内に台湾全土に広がっていった.

 台湾青年の決起に驚いた陳儀は,弾圧と談合を繰り返しながら,一方では南京の蒋介石に援軍を要請したので,一週間後の3月8日には福州から憲兵第四団,上海から第21師団が到着し,組織も武力も貧弱な台湾軍がたちまち制圧され,それから中国軍による大粛清と大虐殺が始まった.
 こうして二二八事件は約三週間で制圧されたが,その後に起こった粛清,無差別逮捕と虐殺は数ヶ月も続いた.

アンディ・チャン in 『台湾の声』,2007/2/1

 上記,事実関係に続く部分を読むと,本事件は,本省人に対する大きな不信感・恩讐のルーツとなっているようだ.
 事実,「虐殺・粛清」といった単語が連呼されている.

 ただし,上記引用文は政治色の濃いメール・マガジンからのものであるため,信頼性を考慮する上で,一定の留保が必要と愚考する.


 【質問】
 2・28事件の死者数は?

 【回答】
 正確な数字は不明.
 「12万6千人行方不明」が最も事実に近い数字である模様.

 以下引用.

 〔略〕
銘記すべきことは虐殺された台湾人の人数がはっきりしないことである.
 事件後の報告書では5万人から十万人と言われていたが,李喬によれば3万数千人という.
 その後の行政院報告や最近の二二八事件責任帰属研究は1万8千から2万8千,正確な人数は不明という.

 これは明確に死亡した人数であって,行方不明になった人間は計上されていないと思われる.
 事件後,淡水河では手首を針金で繋がれた「数珠繋ぎの死体」が毎日のように流れていたという.

 林志昇の調査報告によれば,1962年に行われた第一回人口調査では12万6千人が行方不明となっており,この数量がもっとも真相に近いと言われている.
 〔略〕

アンディ・チャン in 『台湾の声』,2007/2/1

 ただし,上記引用文は政治色の濃いメール・マガジンからのものであるため,信頼性を考慮する上で,一定の留保が必要と愚考する.


◆◆中国的台湾侵攻関連


 【質問】
 なぜ中国共産軍の金門島上陸作戦('49年10月24日夜)は失敗したのですか?

 【回答】
 準備不足の典型です.

 作戦舟艇は木帆船だけで十分な兵力を揚陸できず,空軍どころか重砲の支援もゼロでした.
 しかも潮の干満を読めず,多くが座礁,増援を送ることもできませんでした.
 結局,3個団(連隊)基幹の9千人強が,国民党軍の反撃により全滅しました.

 余談ですが,1958年8月23日,共産軍は金門島への一斉砲撃を始めました.台湾側の言うところの「八二三砲戦」です.
 これは10月6日まで続き,47万発が撃ち込まれました.
 金永利刀舗の呉増棟は,その砲弾を廃物利用して包丁に再鍛造.これは金門特産品となり,今日では大陸側の厦門にまで逆輸出されている,とか.

 詳しくは竹田純一著「台湾海峡の最前線報告」(from 「世界の艦船」 '02 Oct.)を参照してください.

消印所沢

 金門島の戦い(中華民国と中華人民共和国との戦い,サイドワインダーの初の実戦投入)では,聞く所によると金門島の浜辺は真っ赤に染まり,生きている者はいなかったそうだ.
 また,中華民国の虎戦車隊は,生きてる敵も怪我してる味方も見境無く轢き殺したらしい.
 あの小さい島を中共の手から守り抜いたのは,本当にすごい事である.

アッホ― in 軍事板


 【質問】
 国民党が大陸反攻を捨てていなかった時代,台湾の軍隊も中国本土への侵攻を狙った整備をしていたのですか?

 【回答】
 Yes.

 海軍歩兵を充実させ,2個師団3万人を整備していましたし,金門諸島に陸軍部隊が5個師団駐屯していました.
 馬祖列島でも,実質師団兵力を持つ2個旅団が配備されていました.

 海軍に関しては,大陸反攻の場合でも米国の支援を受けることを想定しており,また,海軍歩兵1個師団の輸送が可能な輸送能力を整備しています.
 空軍は屡々,偵察機を本土に飛ばして情報収集を行っていました.

 このほか,中国周辺部,ミャンマーやタイ,香港などに逃れた国民党軍の残党を支援し,大陸反攻の支援兵力として涵養していました.

眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板


 【質問】
 中国は本当に台湾に侵攻しようとしているのか?

 【回答】
 不明だが,侵攻準備は進めていると言う.

 そればかりは中国政府の意向次第だが,少なくとも侵攻できる準備は整いつつあると言える.

 台湾を軍事統一するための大前提は,
「米国の軍事介入を阻止すること」
にある.
 そのために中国が実現を目指す条件の第一は,
「大陸間弾道ミサイル(ICBM),原子力潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)によって米本土を威嚇すること」となる.
 〔略〕

 第2には,
「中距離弾道ミサイルによって日本を威嚇し,対米後方支援を阻止すること」
である.
 日本の都市を狙った中距離ミサイルは既に配備済みであり,いつでも脅しをかけられる状態である.
 〔略〕

 第3には,
「台湾の海上包囲により,米空母・原子力潜水艦の接近を阻止すること」
となる.
 〔略〕ここ2〜3年,奄美大島や沖縄本島,久米島,宮古島などの東シナ海・日本側海域で,中国の海洋調査船による調査活動が活発化している.
 我が国の経済水域内や領海内でのあまりに傍若無人なふるまいだが,そもそも,何故この海域を中国は調査するのか? 海底資源も狙いの一つではあるが,本島の目的は,海底の起伏や水温,流れの速さなどを調べ,潜水艦の航路を探ることにある.
 つまり,もし中国が台湾に侵攻すれば,アメリカは横須賀から第7艦隊を派遣する可能性が高い.
 そこで米空母の進入を阻止するために,航路となるこの海域に潜水艦を展開し,機雷を敷設して米艦隊を足止めする.
 その準備と考えられる.
 〔略〕
 海洋調査は台湾近海でも既に行われていて,今後は西太平洋の南の海域で航路調査が行われると見て間違いない.
 そうなると,横須賀や佐世保だけでなく,グアム基地からのルートも閉ざされることになる.

 〔略〕

 中国側としても,上海の近代都市を爆撃されることは望まないし,できれば08年の北京五輪もやりたいはずである.
 だから,いつでも侵攻できるという力を見せつけた上で,台湾を政治交渉のテーブルにつかせ,平和的に吸収していくことを求めていくはずだ.
 つまり,これからの数年が,中国の軍事戦略が完成し,台湾を取り込むか,その前に台湾が国際世論を味方につけて独立を果たすかの戦いとなろう.
 ただし,その過程で対立が激化した場合,軍事衝突となる可能性も,また十分に考えられる.

平松茂雄談話 from SAPIO 2004/3/24号,p.24-25
強調,引用者

 果たして,「鼎の軽重を問う」は現代に甦るかどうか.

 また,以下のような強硬な発言も中国軍指導者には見られるという.

 もし,台湾が「独立」を宣言すれば,中国の軍事指導者らは台湾への武力攻撃に踏み切る事を明言している.
「北京五輪開催によって,中国人民解放軍が軍事行動をとれないと台湾側は思っているようだが,我々にとっては,五輪を犠牲にしても,台湾を中国の領土として維持するほうが大事である.
 台湾が独立を宣言すれば,我々は躊躇なく軍事力を行使するであろう」
 これは,中国軍のシンクタンクの台湾問題専門家が国営新華通信社発行の時事評論誌「瞭望」に寄せた論文の一部だ.

ウィリー・ラム in 「SAPIO」 2005/1/19-2/2合併号,p.34

 民衆レベルでは,もっと強硬らしい.

 この彼〔中国本土からの留学生〕は私も会って話をしたころがあるのですが,普段はものすごいおとなしい感じで口数が少ないのですが,いざ台湾問題になると
「台湾が独立宣言したら核兵器を使う」
と,ものすごいことをあっさりというのです.げげげっ.

 彼が例外かというとそういうわけでもなく,例えば私の寮の同じ区画に住んでいる中国人の子も,
「台湾が独立宣言したら核兵器を使うわよ,当たり前じゃない!」
と涼しい顔しておっしゃいます.

 もちろんこれは全ての中国人がそうというわけではないのかもしれませんが,私が知っている範囲で政治に関心を持っている頭の良さそうな中国人は,皆こういう意見を持っております.

 コワ〜.

「地政学を英国で学ぶ」,2005-06-03-08:37


 【質問】
 中国の「反国家分裂法」の問題点は?

 【回答】
 戦争も辞さない姿勢を中国が明確に打ち出している点.
 これは台湾・日本にとって大きな脅威であるという.

 例えば沖縄職業能力開発大学校教授・林文彬は,以下のように指摘している.

 〔略〕
 この「反国家分裂法」の条例は全部で10条があり,条例を制定する目的は
「『台独』分裂勢力が国家を分裂させるのに反対し,これを阻止し,祖国平和統一を促進し,・・・」(第一条)
ということである.

 また,条例に最も危惧されたのは第八条の
「台湾を中国から分裂させる事実や重大な事変が発生したり,平和統一の可能性が完全に失われたりした場合,非平和的方法や必要な措置をとる」
という条項である.
 この非平和的方式というのは,戦争を含むあらゆる方法のことである.
 この法律は中国の台湾への武力行使に法的根拠を与え,台湾海峡の緊張を高めるだけでなく,日本を含む周辺国にも大きな脅威と不安を与えている.
 それで,この法律が公布された当時,アメリカを始め,世界各国からの反対が相次いでいた.
 〔略〕

『台湾の声』,2006/9/5
(2006年3月27日(月)琉球新報「論壇」に掲載)

 その割には,日本のマスメディア,そして日本の「反戦平和主義者」の間でこの法律が問題視されることは殆どないのが現実です.
 まして市井をや…….


+

 【質問】
 中国軍の思い描いている,台湾占領のシナリオとは?

 【回答】
 「不怕犠牲」「連続作戦」という,毛沢東語録にもある伝統的な作戦を考えているという.これは簡単に言えば,犠牲を恐れず,連続攻撃を加えるということだそうである.
 以下引用.

 その具体的戦法については,台湾の研究者による論文が数多く出されている.
 それらを元に,「中国軍の台湾解放」作戦の展開を,趙宏偉助教授は次のように予想している.

 台湾との戦争は,必ず中国側の先制攻撃によって始められる.その基本戦略は,先制攻撃を生かした「先●後打」だ.「●」は身体不随を表す言葉で,まず台湾軍を麻痺状態にさせ,その後に打つという戦法である.
 中国の第一次攻撃は,「先●」のための,中・短距離ミサイルによる一斉攻撃だ.中国軍は福建省一帯にミサイル基地建設を進めており,05年までに台湾に照準を定めた射程500kmのDF(東風)11と,600kmのDF15などのミサイル800基を設置すると伝えられている.
 この攻撃により,台湾の空軍基地の滑走路に穴を開け,航空管制の関連施設を破壊する.国家と軍の指揮センター,通信施設,ミサイル基地を中心とする防空網,そして道路網,発電と送電システムも破壊する.
 こうして制空権を掌握すると同時に,台湾の陸軍基地などに対しても猛烈な空爆を加える.

 台湾海峡では,小型潜水艦が港に機雷を撒布して台湾海軍を封じ込め,停泊艦船にミサイルと長距離砲による攻撃を加える.小型潜水艦(Golf級)は,中国海軍が最も多く保有している艦船で,100隻ほどと言われている.

 これらと並行してサイバー攻撃も行われる.台湾の国家と軍の司令系統を錯乱させ,麻痺させるのが狙い.攻撃対象は,金融や株式市場など,民間情報システムにも向けられる.

 次に,「後打」に当たる第2次攻撃が始まる.

 ただし,第2次攻撃と言っても,開始されるのは第一次攻撃と同時である.
 ミサイルの発射ボタンが押されるや否や,第1陣としてSu-27とSu-30,200機が,福建省の基地から発進.全島に10ヶ所しかない台湾空軍基地を集中攻撃する.台湾海峡は僅か150kmしかなく,5分で台湾上空に到達するため,早期警戒システムは間に合わない,としている.
 台湾空軍は戦闘機200機を持っているが,第一次攻撃を無傷で逃れることは不可能であり,迎撃に離陸できる空軍機の数は限られる.

 この攻撃の最中に,第2陣の空軍機が福建省や東北地方の基地を飛び立ち,台湾全土に波状攻撃を加える.
 東北地方,長春市に駐屯する空軍第1軍第1師団は2000年既に,空中給油による福建省までの飛行訓練を成功させている.福建省までの飛行時間は3時間,休憩と整備を加えても,5時間以内には台湾上空に到達する計算だ.
 この攻撃に投入されるのは,約3,000機ある国産戦闘機.中国国産機は空中戦能力は劣るが,重量のある対地ミサイルや大量の爆弾を搭載できる.
 制空権は既に中国軍が握っているとされているので,空中戦能力は問題にならない.
 激しい爆撃が,台湾全土で間断なく続けられることになる,とされている.

 こうした空軍の掩護の下,空挺部隊の降下作戦も開始される.
 中国軍空挺部隊は3個師団で,約3万人.台北に集中的に降下し,台北国際空港,台湾総督府などを攻撃して首都制圧を目指す.

 一方,中国海軍も第1次攻撃と同時に出撃,海上からの上陸作戦を開始する.
 最初に海兵隊の潜水兵部隊が,小型潜水艦を使って海岸に潜入する.彼らの任務は,空軍の掩護を受けながら,大部隊の上陸地点を30分間確保することだ.この30分は,海兵隊が高速艦艇を使って上陸できるようになるまでの時間である.

 中国海兵隊は3個旅団あり,合計3万人の部隊を編成している.各旅団にはそれぞれ100人規模の潜水兵中隊がある.
 上陸艇は80km/hのエアクッション型揚陸艇「716乙型 全執」で,2時間足らずで台湾海峡を渡る.
 台湾の研究者によれば,中国は30-50人乗りを30隻保有.
 さらに,280人を乗せて100km/hで航行する,新型の「722改良型」を開発,配備しているという.

 続いて出動するのが,「藍色陸軍」と呼ばれる水陸療養部隊だ.水陸両用の艦船と戦車を装備した部隊で,2個師団と2個旅団,合計約3万人が配属されている.

 これらの部隊によって安全な上陸地域が確保されたところに,陸軍の渡海大軍が上陸してくる.
 この時展開されるのが,「人民戦争」という伝統戦法だ.
 この作戦では軍艦の他,漁船など約2万もの民間船舶が動員される.2万隻の船に平均約10人が乗り,1回に20万人の陸軍を運ぶ.台湾軍の反撃があったとしても,2万隻に上る船を全て沈めることは不可能だ.

 陸軍の後には,武装警察が上陸.制圧地域の治安確保に当たり,軍は他地域の制圧に向かう.
 武装警察は7個師団が組織され,内2個師団は台北に配置される予定だという.
 アフ【ガ】ーニスタン,イラク戦争では,米軍は制圧地域の治安悪化に悩まされているが,中国軍は以前からこのような対策を練っている.

 これらによって72時間以内に台湾を占領.米国・日本が介入する時間を与えないのが,中国の「台湾解放」シナリオなのである.
 米軍の介入に対しては,次のような準備を考えている.

 米軍による介入は,空母艦隊と在日米軍機による攻撃だ.
 そこで空母艦隊に対しては,ロシア製のミサイル駆逐艦を中心とした艦隊と,ロシア製潜水艦を中心とする潜水部隊で対処する.
 ミサイル駆逐艦が搭載するロシア製のハイテク艦対艦ミサイルは,ステルス製で,音速の3〜5倍の超音速飛行性能を持ち,空母の天敵と言われている.

 在日米軍基地に対しては,中距離ミサイルによる攻撃を行う.中国軍の新型中距離巡航ミサイルは,半数必中界(ミサイルの半数が命中する精度)が5m以内,という能力向上があると言われる.

 仮に米軍機が中国軍上空に到達した場合には,防空網によって対抗する.
 中国陸軍は近年,「3打3防」と称される訓練を繰り返し行っている.
 「3打」とは,
1. ステルス戦闘機を撃つ
2. 巡航ミサイルを撃つ
3. 武装ヘリを撃つ
 「3防」とは,
1. サイバー攻撃を防ぐ
2. 偵察を防ぐ
3. 精密攻撃を防ぐ
である.

 そのために中国軍が使うハイテク兵器〔?〕が「単兵ミサイル QW-2」である.中国は既に95年に,ロシアが開発した単兵ミサイルSHMELを1万機購入済だが,99年に,より高性能のQW-2を自ら開発した.
 QW-2は発射装置を兵士が一人で携帯できる小型ミサイルで,特徴は,高度10mを飛行する巡航ミサイルまで撃ち落とせる事だ.しかも,高度5000mの的を撃ち落とすこともできると言う.

●=やまいだれに「難」

(趙宏偉 ZHAO Hong-wei, 中国政治専門家,法政大学助教授,
from "SAPIO" 2003/5/28, p.23-25,抜粋要約)

 ただし,この記述にはおかしな点も多い.

 まず,「先●」についてだが,DF11(600m CEP),DF15(300m CEP)ともに戦術目的に使用は難しいのでは?と思われる.

 次に,「後打」だが,
>Su-27とSu-30,計200機が,福建省の基地から発進
基地のキャパは大丈夫なのだろうか?

>台湾海峡は僅か150kmしかなく,5分で台湾上空に到達するため,早期警戒システムは間に合わない
 海峡は150kmでも中国側の基地と台湾側の基地間だと、もっと距離があるのだが…。仮に150kmだとして、どうゆう計算で5分なんだろう?

 訓練で空中給油に成功したとしても,実戦で大規模な部隊を連続・長時間給油できるのだろうか?

>制空権は既に中国軍が握っているとされているので,空中戦能力は問題にならない.
SAMやAAAはどうするのだろう?いい的にしか思えない。

 第3に,潜水兵による上陸作戦についてだが,Golf級は通常動力型戦略ミサイル潜水艦。中国の持っている奴はSLBM試射用の実験潜水艦の筈。
 文脈からしてロメオ級および明級と誤認していると思われるが,これも両方合わせて50隻ほど.
 “小型”という表現もおかしい。中国は北朝鮮のような潜水艇は持ってなかったような。
 米露の原潜と比較して小型と言っているのかもしれないが,それだとしても誤解を抱かせ易い表現.

 それら全艦を挙げても,30分も維持できるほどの兵力を揚陸できるとも思えない.「小型」潜水艦は,機雷敷設にも使用されることになっているそうだから,さらにその可能性は下回るだろう.

 第4に,「サンバーン」ミサイルについて上述のように,ロシア海軍にあるときと同じように脅威であると見ているが,これは過大評価(⇒こちら参照).
 中国の神盾艦を,「日米のイージス艦を上回る制空能力を持つ」としているのも過大.しかも「精密な攻撃のために使うことになる」としている.イージス,関係ないじゃん…….

 第5に,「単兵ミサイルQW2」について,「燃料気化弾を搭載し,同じタイプのミサイルとしては米国製やフランス製のものより性能がいいと言われている」とし,これをもって米軍苦戦の根拠としているが,弾頭がFAEなら対空用じゃないじゃん・・・.
 原型のSHMELは対人用のRPO-Aだろうから間違い無いし。趙助教授は何を勘違いしているんだろう?
 そもそも歩兵携行用の対空ミサイルだとしても、肉眼での巡航ミサイルの発見&迎撃は無謀.

 実際に中国軍の思い描いているシナリオ通りにことが運ぶとは,到底思えない.
 最悪の場合,金門島上陸作戦の二の舞になることも予想される.

(JSF, ASDIC)

 また,平松茂雄によれば,米軍の介入に対しては,次のような準備を考えているという.

 中国側は,余計な干渉を避けるために短期決戦を望む.
 まず秘密裏に東シナ海に機雷を設置し,潜水艦を展開した後,第一撃で,台湾海峡の対岸に配備された短距離弾道ミサイル(SRBM)によって台湾本土へ集中攻撃を行う.
 台湾の指揮・通信中枢,航空施設などを破壊することにより,戦闘機の離発着を妨害し,台湾海峡の制空権を掌握.
 その後,台湾への渡海・上陸作戦が遂行されるというシナリオである.

 日本の軍事評論家の中には,
「中国海軍には1個師団程度しか送る能力がないから,台湾海峡を渡って侵攻するなどできるはずがない」
という見解を持つ人が少なくない.
 しかし,中国がここ10数年来取り組んできたのは,民間船舶を利用した渡海上陸作戦の演習である.
 〔略〕

 〔米軍のハイテク兵器に対しては,〕彼らはハイテクにハイテクで対抗しようとしているわけではない.
 敵が巡航ミサイルやステルス爆撃機で攻撃したきた場合に,電子妨害や偵察妨害の他,通常兵器でいかに対抗するかを研究している.
 コソボ紛争でユーゴ軍は通常の高射砲で巡航ミサイルや米軍機を撃ち落としたし,ハリボテの戦車で偽装するという一見稚拙な方法でも,意外に効果を上げた.
 こういった,ハイテク兵器の弱点を突く戦略を研究し続けている.

 〔略〕

 とかく日本では,「装備が古い」と中国の軍事力を軽視しがちだが,稚拙な方法であっても何十年に渡って蓄積されていくと,現実の脅威として具体化してくる.
 それが中国の恐ろしさである.

平松茂雄談話 from SAPIO 2004/3/24号,p.24-25

 同じ懸念は,防衛研究所の報告書にも見られるという.
 以下引用.

 27日,防衛研究所は06年版「東アジア戦略概観」を発表しました.
 なかで「人民解放軍の核・ミサイル・海空戦力の急速な近代化に伴い,周辺各国との軍事バランスが中共優位に傾きつつある」と懸念を示しています.

おきらく軍事研究会 平成18年(2006年)4月3日

 なお,報道によれば,台湾侵攻を想定した新たな離島演習場が,広東省沿岸に作られたという.
 以下引用.

中国新たな離島演習場 広東省沿岸 台湾侵攻能力を強化

 【台北=河崎真澄】台湾国防部(国防省)は二十二日,中国人民解放軍が広東省の沿岸に位置する「大●島」に新たな軍事訓練施設を設置し,演習を始めているとの情報を明らかにした.
 同島は中国沿岸から数キロと近く,台湾が支配下に置く福建省沿岸の金門,馬祖両島と地理的条件が似ている.
 このため,国防部では,中国による演習が金門島など台湾の離島への侵攻を狙った訓練とみて警戒している.

 二十三日付の台湾各紙によると,国防部は最新の衛星画像を分析するなどして情報を総合,中国軍の新たな軍事演習の事実をつかんだという.
 大●島は,香港と海南島のほぼ中間地点にある広東省陽江の沖合数キロに浮かぶ面積約二・四平方キロの小島.
 国防部によると,中国軍はこの島に,台湾の空軍基地を模した滑走路に,戦闘機F16の実物大模型二機を置き,西側約八キロの「海陵島」から小型ミサイルを撃ち込んだり,上陸したりする演習を繰り返している.
 中国軍は一九九六年から,南京軍区に属する福建省沿岸の東山島で台湾攻撃を想定した軍事演習を行っており,南京軍区が台湾攻撃を管轄するとされてきた.
 広州軍区に属する広東省の大●島にも台湾侵攻を想定した演習施設を新たに設けたことは,中国が台湾海峡を臨む広域で侵攻作戦能力を高めようとしている表れと受け取られている.

●=「護」の言を金に

(産経新聞,2005/9/24)


 【質問】
 台湾海峡に中国軍はどれだけミサイルを配備しているのか?

 【回答】
 推計では,2005年で710〜790基.
 2004年の650〜730基より着実に増加している.

台湾海峡でミサイル増強,米国防総省が中国軍事力報告

 【ワシントン=五十嵐文】米国防総省は23日,2006年版の「中国の軍事力に関する年次報告書」を米議会に提出,公表した.
 〔略〕
台湾海峡に配備している短距離弾道ミサイルが「710〜790」基に達すると明記.
 昨年の報告書で指摘した「650〜730」を大幅に上方修正した.
 〔略〕

読売新聞 2006年05月24日01:44

 また,2006年11月9日,呉・台湾行政院大陸委員会主任委員は,シナが台湾向けミサイルを900基以上保有していることを明らかにしました.

 その後の19日,インターナショナル・アセスメント・アンド・ストラテジー・センターのリチャード・フィッシャーさんが,「台北タイムス」に寄稿した論文「台湾はより深刻な危機に直面している」のなかで,以下のような指摘をされてい
ます.

 ・シナ軍は全天候型精密誘導爆弾「JDAM」を空軍で展開しようとしている.
 ・第二砲兵はこの2年で,対地巡航ミサイル(LACM)の配備を開始している.
 ・シナは,いずれも短射程弾道ミサイル(SRBM)の「東風15型[DF-15,CSS-6]」(射程600キロ)と「東風-11(改)[DF-11,CSS-7]」(射程300キロ)をあわせて800基程度配備している.
 ・巡航ミサイルの精度は高く,衛星ナビの使用と最新型の電磁パルス(EMP)弾頭で,民間の電子インフラを崩壊させる能力を持つ.
 ・真の問題は,シナが衛星を保有し,「JDAM革命」が進展している点にある.
 これにより,シナには衛星誘導の「JDAM(全天候型精密誘導爆弾)」運用が可能となった.
 JDAMは爆撃機に搭載できる.

 最後にフィッシャーさんは,
「台湾政治の分裂は国防の妨げを招いており,「台湾は生き残るための決断に欠ける」との印象を与えている」
と締めくくっています.

おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)11月20日

 中国軍事情勢の専門家である平松茂雄は,台湾侵攻に当たってはまずミサイルのつるべ打ちをするだろうと予測しているが,それを裏づけるデータと言えよう.


 【質問】
 今現在,中国軍は台湾に上陸して占領する能力ってのはあるんでしょうか?
 台湾軍はそれに抵抗できるだけの能力があるんですか?

 【回答】
 上陸して占領という事ならまず無理.
 台湾海軍は極東アジア海域周辺では,日本の海上自衛隊に次ぐ質の高い戦力を保持している.
 予想される中共の上陸作戦を海上撃破する為に整えられた海軍は,かなりレベルが高い.

 台湾海軍は1970年ごろから1990年ごろまで,固守防衛をコンセプトに整備計画が進んでいた.
 その為に小型のミサイル艇で哨戒網を作り,予想される中国の着上陸作戦において,揚陸艦を沿海で撃破するという「沿海海軍」が台湾海軍だった.
 今も固守防衛に変わりは無いが,その防衛の方法が変わってきている.

 台湾海軍の10年兵力整建計画「光華計画」(国防委員会で承認済み)

光華1号:成功級ミサイルフリゲート8隻
光華2号:康定級フリゲート6隻
光華3号:錦江級哨戒艇12隻
光華5号:新型2,000t級フリゲート10隻
光華6号:新型ステルス・ミサイル艇30隻

 以上に加えて

航空戦力:
MH-53E掃海ヘリ12機,
S-70M対潜ヘリ11機,
EP-3C電子戦機,
P-3C対潜哨戒機12機

水上戦力:
キッド級ミサイル駆逐艦4隻,
アンカレジ級ドック型揚陸艦1隻,
ニューポート級戦車揚陸艦2隻,
アグレッシブ級掃海艦4隻

潜水艦戦力:
ディーゼル潜水艦8隻(交渉難航中,自国建造も検討されている)

 そして長距離早期警戒レーダーの設置を2010年頃までに整備する予定.

 現在の台湾海軍は,「有効的な抑止力・固守防衛」を基本に「制空・制海・地面防衛」「縦深打撃・早期警戒・情報優先」「境外決戦」という方針を採り, 以前の「沿岸防衛」型海軍から,反封鎖,護航,敵海軍の洋上撃破という,積極防衛を行える「遠洋機動」型海軍に変化して来ている.

 中共軍は活発に着上陸戦の演習はやってはいるが,実際に行えるだけの能力はまだ無いだろうね.
 まあ中共が核を使ってとか,台湾が米の援助なしに戦うとかいうオプションは(しばらくは)ほぼありえないだろうから,現在の状況は長引くだろうねと.

 中国の場合,仮に台湾を攻めるとしても,ロシア等の国境にも軍を残すだろうし,巡航ミサイルがどうなるかねえ.

 で,いま台湾が心配してアメリカも懸念しているのは,特殊部隊が総統府を奇襲して,親大陸派が臨時政府を作るシナリオ.


 【質問】
 台湾攻撃用に用意している中国軍兵力は?

 【回答】
 台湾国防部(国防省)が2006年8月29日,公表した2006年版「国防報告書」によれば,

 ・05年,台湾海峡中間線を越境した人民解放軍戦闘機はのべ1700機を超え,04年度比で約8割増加している
 ・人民解放軍空軍は約3400機の作戦機を保有している
 ・うち約400機は「スホイ27」などの最新鋭戦闘機である
 ・福建省など台湾から1080キロの半径内に,700機を超える戦闘機を配備している
 ・パキスタンと共同開発した新型戦闘機「梟龍」の生産が400機の予定で05年後半からスタートしており,06年12月に最初の4機のテストに入ると予測

 ・中共調査船は過去3年で年平均20回以上,台湾近海に出現している
 ・中共は海空で活動範囲を拡大している

 ・05年末現在で784基が配備済みの短射程弾道ミサイル(SRBM)は年間70〜100基のペースで増加している

 ・対台湾作戦で動員される兵員数は約40万人で,05年比2万5千人増加している.

 ・08〜10年以降,人民解放軍の能力が質量ともに完成し,離島・台湾本島の占領作戦に出る可能性が高まる

⇒関係する項目が記載されたURLを紹介します

・人民解放軍空軍の戦闘序列 http://okigunnji.com/013/post_106.html
・新型戦闘機「梟龍」 http://okigunnji.com/013/xiaolong_04.html
・弾道ミサイル http://okigunnji.com/017/post_90.html
・スホイ27 http://okigunnji.com/016/su35.html
(スホイ35の紹介ページですが,35は27の改良型なので,参考になると思います)

・中国の軍事力 http://okigunnji.com/013/

おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)9月4日


 【質問】
 中台戦争になったら,米軍が本当に軍事介入してくれるの?

 【回答】
 現状では不介入の心配は無いと思います.

 朝鮮戦争当時のように,中共軍の人海戦術に悪戦苦闘する肉弾戦・・というような事態が予見されるなら,不介入も考えられますが,現状で予想される『中台戦争』は,台湾島周辺の制空・制海権の争奪戦がメインです.
 これは米軍(&同盟軍)の最も得意とする分野です.

 渡海補給線さえ制圧してしまえば,後はせいぜい,敵着上陸部隊の各個殲滅だけで,どちらの場合も『精密誘導弾』の大量使用で間に合います.
 いわゆるコソボ爆撃の拡大再演版で,自軍の犠牲者は少なくて済み,米国民の理解は得られやすいと(米軍は)考えるでしょう.

 もし金門島・馬祖島等が陥落しても,戦略的にさほど痛手ではなく,むしろ中国の面子も立ち,また,将来の係争地が整理されたと考えれば,メリットとも言えます.
 したがって,台湾本島周辺の将来の安全が保証されれば,戦争終結交渉も比較的容易に進む可能性があります.
(ここらは,やや妄想的ですが・・(^^;)・・)

 どちらにせよ長期戦にはなりませんし,全面戦争の恐れもないでしょう.
 米国にとって,友好国の信頼を損ない,『台湾基本法』を反古にしてまで,軍事介入を避ける必然性は見あたりません.

 米軍の軍事介入がありうる限り,私が言った
「中台戦争を回避する事が,日本にとっては致命的に重要で,またもし勃発すれば,国内法を一時的に停止してでも介入しないと,これまた致命傷になる」
という情況は,動きません.残念ながら.

従軍記者 in 軍事板


 【質問】
 将来予期される台湾有事では米軍の介入が当然のように語られますが, キューバ危機がそのまま核戦争になりかねなかったように,普通に米中の核戦争になるんじゃないんでしょうか?

 【回答】
 公式見解ではないが,中国軍の将軍がそう発言している.

 中国の上級大将が3年ほど前,米の士官学校に表敬訪問して生徒の前で講演,そのときに台湾有事の対応を質問されて,核オプションの行使に触れた.
 で,取材に来とった米のメディアが大喜びで報じ,日本でも大きく扱われた.
 軍事や極東情勢に関心があるなら,知らん方が恥ずかしい.
 中国は直ちに,これはかの上級大将の私見であるという公式見解を出してる.
 だが,その後スポークスマンは,外交部が調査中であるとコメントを修正した.
 中国国防部のほうはノー・コメント.
 当の朱少将は,外交部主催のイベントでこの発言をしたと述べただけ.

 捏造厨がウザイので,ソースをぐぐって探してきました.

 台湾東森新聞報7月16日の報道によると,中国人民解放軍国防大学防務学院院長・朱成虎少将は,米国が台湾海峡での武力紛争に介入した場合, 核攻撃も辞さないと発言した.

http://www.epochtimes.jp/jp/2005/07/html/d60290.html

 ただ,実際に核戦争が起こるか?と聞かれたら,現時点では
「なんともいえない」
としか書きようがない.
 そもそも台湾有事は発生するのか?
 発生するとすれば,中国と台湾・アメリカの軍事バランスは?
 台湾の世論は?
 米本州を狙える東風は完成するのか?
 台湾などにもMDは配置されるのか?
 そしてその能力は?
 ……などなど,不明瞭な点が多すぎ.

 キューバ危機も結局米ソが(というか,主にソビエトが)妥協したので核戦争にはならなかった.
 アメリカはソビエトの核戦争準備体制を
「どうせブラフに決まってる.あんなちっぽけな島と自国を引き換えになんてしないさ」
と思っていて,一方ソビエトは
「ここで引いたら同盟国に逃げられる.
 例え自国を核戦争の危機に晒しても同盟国は守る,というところを見せつけんとならん」
と,両者見事に相手の手の内を読み違ってたにもかかわらず.

 今の大陸中国の指導者に全てを捨てる覚悟があるとはあまり思えない.
 同様に,アメリカにも他国のために核戦争するほどの甲斐性があるとも思えない.

 結局,当事者放置の状態で妥協すんじゃない?

軍事板

 参考までに,アメリカ側の台湾有事に関するスタンス.

"O plan 5077-04," US plan for defending Taiwan disclosed

BE PREPARED: Though familiar to military specialists in Washinton, details about an operational plan for a US response to an attack on Taiwan were recently made public
By Charles Snyder
STAFF REPORTER
Monday, Jun 05, 2006,Page 3

The US military has developed a comprehensive operational plan to fight China and defend Taiwan in case of a Chinese attack, according to a recent news article and comments by Taipei Times sources.

The plan, which is overseen by the US Pacific Command headquartered in Honolulu, involves not only US Pacific forces, but also US troops and equipment worldwide, according to military experts.

And, while the plan, officially designated "Oplan 5077-04," includes provisions for the possible use of nuclear weapons, the focus of that section of the plan is that nuclear weapons should be avoided.

The Pentagon refused to comment on Oplan 5077, whose details remain top secret.

"It is [Department of Defense] policy to not comment on the specifics of operational plans," Pentagon spokesman Brian Maka told the Taipei Times.

While the existence of Oplan 5077 has long been known among military specialists in Washington, details were first made public in a recent article by military affairs journalist and former intelligence agent William Arkin in an article posted on the Washington Post Web site. Other details were supplied to the Taipei Times by military specialists in Washington.

While Oplan 5077 has been around since the Reagan presidency, it was elevated from a conceptual plan to an operational plan with assigned forces and detailed annexes in 2001, shortly after the [George W.] Bush administration took office, according to Arkin.

"The Pacific command developed a new `strategic concept' for the Taiwan contingency in December 2002, and an updated plan was produced in July 2003. Last year, based upon new 2004 guidance from Secretary of Defense Donald Rumsfeld and the Joint Chiefs of Staff ... a final Taiwan defense plan was published," Arkin wrote.

The plan now includes "air, naval, ground amphibious, and missile defense forces and `excursions' to defend Taiwan. Options include maritime intercept operations in the Taiwan straits [sic], attacks on Chinese targets on the mainland, information warfare and `non-kinetic' options, even the potential use of American nuclear weapons," Arkin wrote.

While the elevation of the plan to an operational component of the Pacific Command's mandate coincided with the installation of the Bush administration, many credit its current status as a final strategy for dealing with a Chinese attack with former commander in chief of the US Pacific Command, Admiral Dennis Blair.

"It was Admiral Blair who said, `Let's get serious about the defense of Taiwan,'" said retired Admiral Eric McVadon, a leading military consultant in Washington.

Blair had two aims when he took over, McVadon says. One was to develop good military relations with China. The other was to boost Taiwan's defense.

Despite his several trips to China to improve relations, Blair "hedged" his relations with Chinese, feeling that "it is prudent for us to realize that things might go badly, and we need to let them know the consequences of it," McVadon said.

There is no reason to believe that Blair's successor as Pacific commander, Admiral William Fallon, is not continuing with Blair's philosophy, McVadon says.

Blair was credited with opening up greater military to military channels between the US and Taiwan, greatly expanding communications between the two countries' armed forces.

This came despite hesitation in Washington about such steps among people who felt the cooperation would anger China. The US Senate has repeatedly rejected legislation passed by the House to enhance US-Taiwan military-to-military ties.

And, while China complained about Blair's activities, the protests were relatively muted.

Significantly, in recent years, Blair has become the regular senior US observer to Taiwan's annual Han Kuang military exercises.

"Blair knows what went on with 5077, so when he observes the exercises, he is able to evaluate it in light of his knowledge about what the coordination is likely to be and what the goals are," one source noted.

"So, even if he does not mention it, when he says something, astute people in Taiwan know that he's speaking from a position of authority with respect to knowledge about the Oplan," the source said.

Taiwan's supporters in Washington welcomed the disclosure of Oplan 5077.

"It is at least a relief to discover that the US government has taken very seriously the requirement to be able to react to an attack on Taiwan and that it has recently been updated to factor in, I assume, China's constantly expanding level of capability," said Richard Fisher, an expert on China's military and vice president of the International Assessment and Strategy Center.

Fisher sees the plan as stemming from the Taiwan Relations Act's mandate that the US maintain the capability to help Taiwan defend itself in case of a Chinese military attack. Fisher noted that the former conceptual plan was turned into the Oplan only after Bush was elected in 2000.

"George Bush's [April] 2001 statements [that the US would do `whatever it takes' to defend Taiwan] would have constituted an indirect order to the Pacific Command to prepare, or at least to update, existing plans and preparations for a possible conflict over Taiwan," Fisher says.

Arkin, however told the Taipei Times that work on the plan was deflected by the Sept. 11 terrorist attacks and Bush's concentration on Iraq, and that the work on the plan in late 2002 and 2003 actually reflected a return to a focus on dealing with Chinese military action.

A potential war with China had been a major focus in the eight years before Sept. 11, Arkin says. He also sees 5077 as a response to a military-wide contingency planning guidance issued by Rumsfeld earlier.

Arkin says that the administration has put a greater emphasis recently on missile defense, maritime intercept and to some degree on air defense issues, all of which could be main components of any battle in the Taiwan Strait.

He also notes that in the case of Taiwan, US global military capabilities would be brought into play. These would include a better computer network, a finer-tuned capability to go after China's air defense network, a "well-oiled maritime intercept capability and an improved naval missile defense capability which would allow the United States to interpose itself between Taiwan and China."

台北タイムズ,2006/06/05

 ただし,ソースが台湾の新聞なので,その点は留意されたし.


 【質問】
 だいたい,友邦台湾といっても日本もアメリカも公式な国家と認めているわけでは無いですよね?
 それなのに台湾を守らなきゃならないんですか?

 【回答】
 私は現実的な話をしています,
 たてまえ論なぞ,国家間戦闘行為の前では無意味です.

 要は,中台戦争を回避する事が,日本にとっては致命的に重要で,またもし勃発すれば,国内法を一時的に停止してでも介入しないと,これまた致命傷になる,と言うことです.

従軍記者 in 軍事板

 【質問】
 特に同盟国でもない国に味方して戦争に介入しようとするばあい,大義名分が必要です.
 ・・・・台湾は国家として認知してませんから,例え建前であっても,これは致命的では?

 【回答】
 言わんとする問題意識はよく分かります.
 ただ,歴史に学ぶ(?)と,どんなこじつけでも可能です,
 米台防衛条約で米軍が出,日米安保の「極東条項」の拡大解釈で日本が支援するとか,あるいは,単純な「邦人保護」目的でも,国際法的には有効でしょう.
(国連は使えませんので,アジア多国籍軍形式が理想ですが,まあ無理でしょう)

従軍記者 in 軍事板


 【質問】
 内心は穏便に台湾の国家が消えてくれる事を望んでいる国が多いのでは?

 【回答】
 明らかな錯誤です.
 多くの国は(とりわけアジア諸国は),内心で,
「台湾が経済的実力を保持したままで,大陸中国を牽制し続けて欲しい」
と願っています.
 米国も日本もそうですし,豪州(オセアニア諸国)もそうです,
 とりわけ比国・インドネシア・タイ・インドは切実にそう思っています.
 たぶん,マレーシア・シンガポール等の自由主義諸国の華僑勢力もそう思っているでしょう.
 ロシアもそうかもしれません・・・

 それほど大陸中国は,周辺諸国から恐れられています.
 大国にしては国家的意図が読みにくく,軍事的にも不気味だからです.

従軍記者 in 軍事板


◆◆日台関係


 【質問】
 台湾有事の際,日本はどうすべきか?

 【回答】
 平松茂雄によれば,「攻撃的防御能力」を海上自衛隊は高め,有事に協力すべきだという.
 以下引用.

 では,もし将来,中台衝突が起こり,アメリカが中国ではなく台湾を選択し,軍事介入に踏み切った場合,日本はどのような対応を迫られるのか?
 まず米軍は,横須賀や佐世保の米軍に対する補給支援だけでなく,海上自衛対に対して機雷除去や対潜水艦探索といった踏み込んだ支援を求めてくるだろう.
 そうなると,除去作業中に中国海軍との戦闘に発展する可能性も高い.
 国内世論が沸騰するのは明らかで,もし日本が憲法や世論の縛りを理由にアメリカの支援要請を断れば,その時点で日米同盟は解消され,日本はその先,極めて危険な状況に陥る.
 やはり,日本にとっては何よりも磐石な日米関係こそ大前提であり,そのためには,米空母機動艦隊が必要なときに,それを支援できる対潜能力,機雷戦能力などの「攻撃的防御能力」を海上自衛隊が持つ必要がある.
 また,我が国経済海域での違法な海洋調査に抗議し,日本も自国の領域なのだからどんどん調査をして中国の動きを監視し,圧力をかけるべきである.
 01年に中国との間で交わされた「口上書」では,事前通報すれば日本も中国側経済海域を調査できることになっているので,東南アジアの友好国と一緒に共同調査を行うことを提案したい.

 中台が衝突したときにアメリカが軍事介入する大義とは,国内法に「台湾関係法」(第2条B4「台湾住民の安全または社会と経済の制度に危害を与えるいかなる武力またはその他の強制形式にも対抗する資格を米国は保持する」)があるからで,96年のミサイル威嚇に対する空母派遣も,この法に基いている.
 しかし,これは台米間の条約ではないし,義務でもない.
 そもそもアメリカにとって,台湾は死活問題ではない.

 しかし資源・エネルギーの実に9割を海運による輸入に依存する日本にとって,日本のシーレーンの最も重要なポイントにある台湾は,まさに「生命線」である.
 日本人は台湾の安全保障を,他でもない自分達自身の問題として考え直す必要がある. 

平松茂雄談話 from SAPIO 2004/3/24号,p.25

●台灣海峡防衛の切実度

 本来なら,台灣海峡防衛は,わが国が台湾への装備輸出や軍事協力をしてでも,行なわなきゃいけない「日本の問題」なんですよね.(韓国もそうですが)

 米国の対台灣軍事協力の目的は「中台(日米)軍事バランスの維持」にありますが,そのホンネは
「下手に高性能の武器を渡せば,台灣が中共の一部になったとき,どえらいことになる」
にあり,何だかんだいって,中途半端な装備しか与えないというのが基本姿勢のようです.

 しかしわが国は,台灣に「絶対に」海峡を確保していただかなくてはならないんです(韓国もそうです).
 その切実度は米と比べ物になりません.
 台灣海峡確保のためなら,最悪戦争を覚悟し,台灣とともに海峡を死守する姿勢を示すことが必要です.(その意味で,先日,富士の演習に台灣陸軍司令官が列席したのはよいことと思います)

 その姿勢がなければ,「飢え死に」と「隷属」の2者択一を迫られる日が必ずくるでしょう.

 とはいえ,現実を考えたら,わが国に武器輸出や戦争を覚悟する実力はなく,できるのは,米に対し,台灣とわが国と米の軍事システムのリンケージを行なうことが北東アジアの安定につながるんだ,と米を説得することでしょう.

 わが国がなすべき最も大切なことは,日米同盟を堅持し,アジアから米が脱出するのを防止することです.
 できればこの枠組みに台湾を入れる必要がありますね.
 必要ならば,装備の輸出や軍事協力を台灣に行なってもいいのではないでしょうか.

 その種の任にあたるのは制服自衛官でないといけません.
 外交官には軍事センスがありませんから,逆効果になります.

 ⇒わが国では,台灣海峡の問題を,どこか遠い場所の話とのんきに構える姿勢があるようです.
 石油だけではなく,食べ物や各種原料の大多数が,海を通じてわが国内に入っていること.わが国は,海で世界とつながっている島国であること.こういう意識を持つことが必要でしょう.
 わが国は海を通じて入ってきた原料や燃料を使って製品を作り,それを海外に売ることで生存している国です.
 いくらIT技術が発展してもこれは永遠に変わりません.
 また,食糧自給率は先進国の最低ランクで,わが国は食べ物もシーレーンに依存しています.

 よってシーレーンを失うことは,国家国民すべてが餓えることを意味します.
 このことは他国も知っており,「日本(韓国もですが)からシーレーン支配を奪えば,いくらでも言うことを聞く」という対日戦略があるのも当然といえば当然です.

 国民は,
・わが国防にとって最重要なのが,国土の防衛以前に,シーレーンを確保する点にあること.
・島国であるわが国にとって,シーレーンを維持・制圧する重要性は,あまりに当たり前の話であること.
・シーレーンを「維持,制圧する」ためには,自前の海の戦略兵器が必要であること.
・シーレーンのような戦略的な問題は,話し合いで妥協できるものではなく,実力でしか他者に対抗できない事実.(それではじめて第三国の調停も期待できます)
をもっと理解する必要があるのではないでしょうか.

おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)9月11日


 【質問】
 中台戦争が起こったら参戦するなという意見ではないですが,国連軍に参加すら難しい状況で,自衛隊が外国の戦争に介入することはあり得ないのではないですか?

 【回答】
 中国の台湾侵攻による「中台戦争」勃発時に,もし日本が局外中立宣言を行い,在日米軍の軍事行動を実力阻止すれば(中立とはそういうことです),日米関係の冷却どころか,日本は世界の孤児となります.

 日本が積極中立ではなく,消極的非協力の態度を維持した場合でも,米軍は軍事行動に大幅な制約を受けて,十全の台湾支援は難しくなるでしょう.
 台湾が簡単に敗北するとは思えませんが,いかんせん防衛縦深が狭いので,中国軍が本格的に攻撃すれば,占領されなくとも台湾は相当な被害を受け,犠牲は大変なものになるでしょう,
 日本は確実に「友邦台湾」を失い,他の東南アジア諸国の信頼も失う事になります.
 中台戦争後,東南アジア諸国は日本を軽んじ,中国の意向を重要視するようになり,また,米国からも疎まれて,経済的な友好度も「致命的」に損なわれます.
 日本の足元を見た中国の対日外交は,ますます強圧的侮蔑的となり,それこそ本当に「第二次日中戦争」を覚悟しなければいけなくなるかもしれません.

 問題は,結果的に台湾が存続すればそれでいい,という事ではないのです.
 戦争終結後,日本が世界の自由主義諸国の中で,どう友好的な位置に居続けること が出来るか?ということなのです.

 日本は「中台戦争」を避けさせるための外交努力を精一杯,行う必要があります.
 日本は,やっかいにも,「中台間で,本格的に戦端が開かれたら」,どうしても積極介入せざるを得ない立場にいるのです.
 台湾が実質的に「独立国家」として意識強化されつつある現在,何かの理由で,米第七艦隊が中東方面等に長期間貼り付く情況が発生すれば,中国の台湾侵攻は,全くない話ではありません.
 中国軍部の「台湾懲罰」願望は強く,中露国境の軍事圧力が非常に緩和されたため,北方軍管区の備蓄を流用すれば,かなりの継戦能力があります.
 米空母・海兵がいない場合,限定戦域での軍事衝突を抑止できるのは日本しかありません.
 最善の外交努力には,事によっては軍事介入も辞さないというメッセージが必要です.

 中台戦争はシーレインだけの問題ではありません.

従軍記者 in 軍事板

 【質問】
 日本は良い意味でも悪い意味でも法治国家です.
 政府が率先して法律や憲法を無視する国が,諸外国から信頼されるのでしょうか?

 【回答】
 国際社会は,超現実主義です,『国内法を口実に言い訳する国』こそ信頼されません.
 かってのソ連の憲法を読んでみて下さい,
 そしてソ連が国内法を遵守しないことで,諸外国から非難された事があったかどうか考えて下さい.

従軍記者 in 軍事板

 【質問】
 中台戦争の際,自衛隊は参戦せず,人道的支援(食料,医薬品)を行う程度でも良いのでは?

 【回答】
 最悪の選択の一つです,

 中国からは明らかな敵対行為と見られ,米国民や台湾国民からは許せない裏切り行為だと見られます.
(医薬品を補給する能力があっても弾薬を補給しないのは利敵行為,と罵倒されるでしょう)

従軍記者 in 軍事板


 【質問】
 日米が台湾問題に軍事的に介入するということになると,問題は大変深刻になってきます.
 まさに,日本がみずから紛争に首を突っ込むことになるわけです.
 〔略〕それを容認するのでしょうか?

トリトン in mixi

 【回答】
 台湾問題は現時点で既に深刻な事態です.

 「自ら紛争に首を〜」というのは適切な表現ではありません.
 台湾で軍事行動が起きれば,日本の通商路は断絶するも同然ですから,むしろ積極的に介入すべきです.
 日本は無資源国・貿易立国であり,台湾の近傍には沖縄があるからです.

 台湾問題は日本も無関係ではない事を,まずご理解いただきたいと思います.

まりう in mixi


 【珍説】
 台湾問題はたしかに,米中関係を抜き差しならない緊張状態に追い込む可能性を秘めている.
 しかし,そのことは,米ソ関係におけるような日本を巻き込む軍事的緊張に直結するものではない.

浅井基文 in 『自衛隊をどうするか』(岩波新書,1992/1/21),p.

 【事実】
 逆,逆.
 米ソ関係の悪化などとは比べものにならないくらい,台湾有事は日本を直撃する.
 別項に載せたものの繰り返しになるが,再度,以下に引用する.

 そもそもアメリカにとって,台湾は死活問題ではない.

 しかし資源・エネルギーの実に9割を海運による輸入に依存する日本にとって,日本のシーレーンの最も重要なポイントにある台湾は,まさに「生命線」である.
 日本人は台湾の安全保障を,他でもない自分達自身の問題として考え直す必要がある. 

平松茂雄談話 from SAPIO 2004/3/24号,p.25

 ⇒わが国では,台灣海峡の問題を,どこか遠い場所の話とのんきに構える姿勢があるようです.
 石油だけではなく,食べ物や各種原料の大多数が,海を通じてわが国内に入っていること.わが国は,海で世界とつながっている島国であること.こういう意識を持つことが必要でしょう.
 わが国は海を通じて入ってきた原料や燃料を使って製品を作り,それを海外に売ることで生存している国です.
 いくらIT技術が発展してもこれは永遠に変わりません.
 また,食糧自給率は先進国の最低ランクで,わが国は食べ物もシーレーンに依存しています.

 よってシーレーンを失うことは,国家国民すべてが餓えることを意味します.
 このことは他国も知っており,「日本(韓国もですが)からシーレーン支配を奪えば,いくらでも言うことを聞く」という対日戦略があるのも当然といえば当然です.

 国民は,
・わが国防にとって最重要なのが,国土の防衛以前に,シーレーンを確保する点にあること.
・島国であるわが国にとって,シーレーンを維持・制圧する重要性は,あまりに当たり前の話であること.
・シーレーンを「維持,制圧する」ためには,自前の海の戦略兵器が必要であること.
・シーレーンのような戦略的な問題は,話し合いで妥協できるものではなく,実力でしか他者に対抗できない事実.(それではじめて第三国の調停も期待できます)
をもっと理解する必要があるのではないでしょうか.

おきらく軍事研究会,平成18年(2006年)9月11日


 【質問】
 中国,台湾間を閉ざされて日本と東南アジアの流通がストップすると本気で思っているんですか?

Shin in mixi

 【回答】
 戦闘状態,あるいは戦争状態にある台湾海峡,およびその近海を民間船舶が何の問題もなく運航できる,と本気で思っているのでしょうか?

まりう in mixi

 流通がストップするよりもむしろ問題は,シーレーンを守る姿勢を日本政府が示さないことで,世界の市場で日本の流通関係の資本が引き上げられたり,ロイズの掛け率が引き上げられたりすることではないかと.

 まあ少なくとも僕が投資家だったら,日本政府がシーレーンを守る意思を有事に際して見せない時点で,郵船株を空売りにかけます.

minemi in mixi

 まったく同感.
 私も投資家なら優先株全部売り抜けますね.(^^)

 つか・・・それ以前に台湾海峡有事が起こったら,ロイズは船の保険料をドカ〜ンと上げてくると思いますよ.
 これだけでも日本経済にダメージになると思いますがねぇ.

平作 in mixi

 それに,中東からの石油が東南アジア航路以外となると,喜望峰〜ホーン岬〜太平洋ルート位しないのですが.輸送コストは距離に比例しますから,単純に考えて原油輸送コストの価格が跳ね上がります.
 代替航路があったとて,日本の経済は大打撃を受けるでしょう.
 何でわざわざそんな大回りをしなきゃならんのですか.

ゆきかぜまる in mixi

 【珍説】
 日本は世界第2位の原油輸入国.世界第3位の消費国です.
 中東がそれを放っておくと思いますか?

Shin in mixi

 【事実】
 中東はほっときますよ.
 どの道中国が日本を凌駕するほど買ってくれることになるでしょうから.

 それに,輸送コストは彼らには関係ありませんね.
 どの道日本は輸入しなければならんのですから.

 日本が苦労することになるのがそんなに喜ばしいのですか?

ゆきかぜまる in mixi

 【珍説】
 中国・東南アジア航路を失ったくらいで日本経済がダメになるとは思えません.

Shin in mixi

 【事実】
 それは貴方の個人的な思い込みではないかと愚考します.
 下記リンク先をご覧下さい.

三栄海運株式会社航路図

日本貿易振興機構(ジェトロ)貿易・投資・国際収支統計 ドル建て貿易概況

 上の航路図はFLASHアニメーションにより航路が非常に把握しやすくなっています.
 下は要するに,ASEAN諸国及び東アジアとの貿易がどれだけ膨大かという資料です.

 ご覧いただけた,と考えて問いますが,「日本経済がダメにならない理由」をお答えください.

まりう in mixi

 【珍説】
 日本経済は世界第2位の経済大国ですよ?
 世界の1ヶ所が通れなくなってダメになるようなヤワじゃないですよ.

 実際日本経済が崩壊するかってのは,起こってみなければ分からない.

Shin in mixi

 【事実】
 原油の輸送コストが二倍になったら大打撃です.
 つか,オイルショックをご存知で?

 全財産を賭博につぎ込むような真似はご自身の個人的財産だけにしておいてください.
 なんであなたの仮説を証明するために,他の日本人までその賭博に参加しなけりゃならんのですか?
 私はごめんこうむります.

ゆきかぜまる in mixi


 【質問】
 台湾有事に備えた対処計画は,日本にはあるのか?

 【回答】
 ある程度のものが存在する可能性が比較的高い.

中台有事視野に対処計画 日米,2月検討着手
(共同 2007.01.04 時刻不明)

および,
日美将研究台湾海峡“有事”的応対計画

Reports: Japan and US may cooperate to defend Taiwan (Radio Taiwan)

Japan, U.S. mull plan for Taiwan crisis (Japan Times)

等によれば,実際に日米両政府が,中国と台湾間の有事を視野に,米軍と自衛隊による共同対処計画の検討開始に基本合意していたという.

 以下,共同通信記事より.

 双方の外務,防衛当局者が二月から中台有事に至る複数のシナリオの研究に着手する.
 日本側は周辺事態法を根拠に,給油,医療などの「後方支援」の可能性を探る方針〔略〕.

 〔略〕

 関係筋によると,日米は台湾の独立宣言,中国側からの武力行使など複数の可能性を研究.
 その上で,周辺事態法を柱とする日米防衛協力新指針(ガイドライン)関連法に基づき,補給,輸送,修理,医療などの「後方地域支援」に加え,
(1)米兵らを対象にした「後方地域捜索救助」
(2)船舶検査活動
(3)在外邦人救出活動
――が検討されるとみられる.

 日米の外交,防衛当局者が在日米軍再編に関する○六年十月の協議で,中台有事における軍事協力の可能性を検討することで一致.
 まず対処計画の前提となる有事シナリオ研究から始める段取りで,首相官邸の了承を得たという.

 ただ,米側が中台有事に絞った検討を期待し,外務省も同調しているのに対し,防衛庁は尖閣諸島や沖縄などへの日本有事に波及する事態を含む包括的な計画の研究を想定.両政府内で位置付けに食い違いがあり,〔略〕

 上記記事の信頼性だが,明かに従来の憲法解釈に抵触する部分が含まれているにも関わらず,その手のことでインネンをつけることが大好きな野党・特定マスコミも,やけに静かなところから判断して,ガセである可能性もある.


◆◆台湾軍


 【質問】
 台湾の国防費は?

 【回答】
 2007年度では国防予算は2958億台湾ドル(米ドル換算で89億ドル,日本円換算で約一兆円)となり,前年比24.8パーセント増です.
 国防予算が全予算に占める割合は18パーセントで,前年度の16パーセントより上昇しています.

 ⇒わが国の防衛予算[国防予算]の全予算に占める割合(数パーセント)とは比べものになりません.
 国防予算は海外に示す「国家の覚悟」でもあります.

おきらく軍事研究会,平成19年(2007年)7月2日


 【質問】
 台湾の主力戦車は何ですか?

 【回答】
 台湾ならまだM60 が現役です.
 現在,後継を開発中との話もあるものの,米国からM1を導入という線で落ち着くのでは?という見解が大半を占めるようです(M1ではないにしても輸入です).

 ただし,何時頃導入するかは不明です.
 現在の政治状態および経済状態では導入は難しいと見ます.

? in 軍事板


◆◆◆台湾海軍

 【参考画像】
 台湾海軍主要艦艇

「ワレYouTube発見セリ」:台湾海軍,主力艦艇の訓練初公開


 【質問】
 台湾の保有するキッド級駆逐艦ですが,今後,艦のアップグレードと称して改造とかをしていたら,なし崩し的にイージス艦になる可能性もあるんでしょうか?
 台湾に売ったF16が,最初は旧型とされてたのに知らぬ間に新型同様にされてたというのと同じように.

 【回答】
 と,言いますか非イージスDDGとしてはキッド級はかなり高性能です.
 非イージス艦と大型揚陸艦を,脅威度が低い環境で指揮統制する為に,各種レーダーを統合するSYS-2(V)IADTシステムが搭載されています.
(Integrated Automatic Detection and Tracking)
 他にもミサイル艦用のMk14WDS(武器指揮システム)と,NTDS(戦術データ・システム)を備えており,艦隊の防空中枢艦としての性能は高いです.

 総合的な打撃力で言えばスプルーアンス級やタイコンデロガ級の方が優れていますが,防空駆逐艦として建造されたキッド級は,その様々な指揮通信システムにより,台湾海軍が望む「旗艦」としての役割は現状でも充分に果たす事が出来ます.

 よって,余り無駄な改装はしないかと思われます.

 【質問】
 日本やアメリカのイージス艦みたいに,将来,ミサイル防衛の一翼を担える艦ではないということですか?
 SM3を搭載したら,ある程度迎撃もできそうに見えるんですが.

 【回答】
 キッド級は優秀な艦隊防空艦ではありますが,MDを行える艦では有りません.
 イージス・システムを搭載した艦がMDを行えるのは,そのシステムの中核であるSPY-1レーダーの,非常に高い捜索/追尾能力に寄る物です.

 キッド級は捜索レーダーとしてSPS-49(V)5レーダーという,米海軍の回転式レーダーとしては最も高性能なレーダーを搭載していますが,タイコンデロガ級になると,このSPS-49(V)は補助レーダーでしか有りません.
 また,対空レーダーもSPS-48Eという,最大探知距離が220浬に達する強力なものを搭載してますが,MDに使用されるレーダーに求められる,
「大気圏外縁部・天頂方向での極小・複数目標の探知/追尾」
という要求性能には到底達し得ません.

 【質問】
 ラファイエット事件とは?

 【回答】
 ラファイエット級フリゲート導入に絡む汚職事件.
 以下の引用記事では,
・リベートが巨額なこと
・ラファイエット級の機密が事前に中国に漏れた可能性が高いこと
・李登輝に対するネガティヴ・キャンペーンの道具にされていること
が述べられている.

 〔略〕

 ラファイエット事件は ラファイエット級フリゲート艦の輸入に関して起きた汚職事件である.
 時代は1980年代後半から,1990年代初めのことである.

1) ある国が装備などを購入して輸入する場合,例えば,価格が100億円と決まると,購入国側から価格を「1割増しの110億にして欲しい」との申し出がある事がある.
 要は実際の価格を水増しするのである.
 この余分の10億円はリベートで,ケイマン諸島の誰の口座に送って欲しいなどということはよくあったようだ. 
 輸出国の税務当局は,このリベートが自国に還流して,脱税の手段に使われないと判断できると,余り文句は言わなかったようだ.

 ラファイエット艦の輸入に関して驚くのは,価格に1割のリベート上乗せするのではなく,本体の価格を4倍ほどに膨らませ,その結果,リベートの率は購入価格の15%と変わらなくても,リベートの額が日本円で約570億円というべらぼうな金額になったことである.
 この原資は台湾人が納めた税金である.
 台湾人が,何故,怒らないか理解できない.

2) それだけではない.このライファイエット艦の輸入で,中共に文句を付けられると,購入担当者達は,搭載した武器を取外して空船にした.
 フランス側はこの武器を中共に売り渡し,中共はハルピン艦に搭載したという.
 当然,武器の価格のぶんだけラファイエット艦の購入価格は下がるはずなのに,逆に高い価格で購入した.
 更に,同じ武器を後から追銭を払って購入した.
 その上,この武器の操作,運用の情報は全部,中共が入手したと推察される.

3) 更に,巨額化したリベートの一部が敵国である中共の高官にも渡ったというから呆れてしまう.

4) 台湾では,巨額化したリベートの配分を巡って殺人事件まで起きたとの事である.

5) 更に信じられないのは,現在の台湾で,リベートを懐にした連中と同類,仲間としか考えられない連中が,この事件には無関係の李登輝前総統などが,あたかもこの売台汚職事件に関係していたかのような,でっち上げ報道がされていることである.
 支那マスコミの捏造,歪曲は支那マスコミの常である.
 日本の朝日新聞やテレビと同じである.
 大体,日付さえ信用できない.
 しかし,これを若い台湾人が信じている者が多いことである.

6) 確かにラファイエット事件は李登輝さんが総統だった時期の事件である.
 日本であれば,李登輝さんが知らなくても責任は免れない.
 国家としての連続性があるからである.

 しかし,台湾の場合は事情が違う.
 この時期の台湾は,李登輝さんが国民の支持を唯一の後ろ盾に,ライファイエット艦汚職事件の犯人達と同類の連中が不法占拠した台湾を,台湾人の為に取り戻す為に,不眠不休の活動をしていた時期である.

 総統としての李登輝さんはどのような状況にあったか知るべきである.

 李登輝総統は,1991年8月7日に葉昌桐海軍総司令官が報告書を提出したときに初めて,蔚山級フリゲートではなく,ラファイエット艦を購入すると知ったとの事である.
 当時の李登輝総統は,5月に,彭明敏さんなどの指名手配を取り消すことに成功したが,この直後の8月30日,台湾独立聯盟米国本部主席の郭倍宏さんの中正空港での逮捕を阻止できないほど未だ無力だった.

 総統として政府は完全に掌握できておらず,また,国民党主席として党部も掌握できておらず,軍部もそして,治安情報の各部も完全に掌握できていなかった.
 唯一,国民の支持だけでを頼りに,台湾を不法占拠した白色恐怖匪賊集団から取り戻す為に奮闘していた時期であったと思う.

 〔略〕

石戸谷慎吉 in 『台湾の声』

 ただし,同メール・マガジンは李登輝寄りであるので,その点は留意されたし.

 そういえば,中国でも「ニセ師団事件」という巨額汚職事件があったが…….


 【質問】
 台湾の対潜哨戒能力は?

 【回答】
 不充分であり,中国潜水艦監視網のブラック・ホールのようになっているという.

 以下引用.

台湾は主権国家として,防空識別圏を設定しており,日米の対潜哨戒機はこの範囲内で飛行が出来ません.
 その結果,台湾周辺の支那潜水艦の所在,動向がポッカリとブラックホールのように把握できていません.
 台湾が充分な対潜哨戒能力を現在持っていない現実があります.

 これは台湾の安全に取って脅威であるだけでなく,物資の7割がこの海域を航行通過する日本に取っても脅威です.

 そんなわけで,
「台湾が早急に整備が必要なのは,対潜哨戒能力であり,立法院で対潜哨戒機P-3Cだけでも切り離して前倒しで予算案を通過すべきではないか」
 また,
「台湾が収集した支那潜水艦情報をリアルタイムで米太平洋軍とリンケージすると,日本の海上自衛隊と3者の間でのデータリンクが完成します」

 以上が,パネラーの川村純彦元海将補にセミナーで確認した事項です.

 また,パネラーの台湾団結聯盟の何敏豪立法委員は立法院では国防委員会に所属しており,この問題に積極的に取り組むと発言されておりました.
 セミナー修了の翌日3日,台北の知人より,国民党も,武器購入予算案のうち,対潜哨戒機購入を切り離し優先させる案を提案する方向で党内調整中らしいと知らせてきました.

石戸谷慎吉 in 「台湾の声」,2006/9/8

 あとはどこまで台湾当局が本気になってくれるかだが…….


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