●来年4月にも患者搬送用ヘリ事業 医師不足地域の救急患者に対応
 医師不足の影響が深刻な九州の離島、へき地の救急医療態勢を補完しようと、福岡和白病院(福岡市)などを運営する医療法人財団「池友会」(蒲池真澄会長)は10日、救急患者を医師が同乗するヘリコプターで病院に搬送する民間版「ドクターヘリ」を来年4月にも導入する方針を明らかにした。民間独自は九州で初めて。公的補助の対象外だが「その分、柔軟に運用をしたい」としている。

 国や都道府県が運用費を補助するドクターヘリ事業は、厚生労働省から救命救急センターの認可を受けた医療機関に限定されている。しかし、九州には久留米大学病院(福岡県)と長崎医療センター(長崎県)の2カ所しかなく、同会の病院は未指定の補助対象外だが、まだ需要があると判断したという。

 同会は、和白病院のほか周産期医療が可能な福岡新水巻病院(福岡県水巻町)など、福岡県内でグループ4病院を運営している。計画では、賃貸契約を結んだヘリを同県宗像市周辺に待機させ、離島やへき地の医療機関から要請があれば医師を乗せて出動。患者をグループの病院に運ぶ。

 搬送対象はドクターヘリが対象とする重症(重傷)患者よりも軽症(軽傷)の救急患者とし、早産など危険度の高い妊婦なども含む。

 飛行範囲は九州のほぼ全域と中国、四国の一部とし、運航時間は日中に限定。主に長崎県の壱岐や対馬などの利用を想定し、対馬の場合、出動要請から40―50分で到着可能。治療後、容体が安定すれば、再びヘリで患者を自宅近くの病院に運ぶ。飛行費用は1回約50万円を見込むが、患者に負担は求めないという。

 福岡和白病院の冨岡譲二・救急センター長は「医師不足の地域の医療態勢を補完したい。年間150件の利用を想定している」と話している。


=2007/11/11付 西日本新聞朝刊=