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GPS携帯電話で勤務把握 官庁でも企業でも広がりそう

2007/11/10      このエントリーを含むはてなブックマーク はてなRSSに追加 この記事をBuzzurlにブックマークする この記事をクリップ!   Yahoo!ブックマークに登録   コメント(3)  

   警視庁防衛省での不祥事を受け、「GPSケータイ導入」の動きが出ている。警察官や同省の幹部は、四六時中居場所を把握されることになりそうだが、この「居場所通報サービス」、それ以外ではどのような使われ方をしているのだろうか。新規購入の携帯電話には原則としてGPS機能を搭載することが義務づけられたこともあって、新しいサービスが次々に生まれそうだ。

警視庁は08年度にも、GPS勤務把握システムを試験導入

GPSの活用が広がりそうだ(写真はイメージ)
GPSの活用が広がりそうだ(写真はイメージ)

   防衛省では、守屋武昌前事務次官が利害関係者と休日にゴルフをしていたことが問題視され、石破茂防衛相は、幹部の夜間・休日の行動を把握するためにGPS対応の携帯電話の導入を強く求めた。省内から反発の声が出ていることについては、2007年11月1日、

「そういう(GPSが嫌な)方は防衛省にいていただかなくて結構です」

   とまで言い切った。

   一方、警視庁立川署の交番勤務だった友野秀和巡査長(当時40)が、知人女性を射殺し自らも自殺し、後に同巡査長たびたび勤務を抜け出していたことが明らかになった、警察では交番に勤務する警官の所在を把握する必要性が叫ばれた。警察庁は07年9月20日、警官の位置をGPS付き携帯電話で管理する仕組みを開発するように全国の警察本部に指示。これを受けて、警視庁は08年度にも、GPSケータイを活用した勤務状況把握システムを一部警察署で試験導入する方針を固めた。

   このように、ここ数ヶ月は「官」でのGPSケータイの活用が注目されているが、「民」での使われ方はどうなのか。

   大手警備会社「セコム」では、GPSケータイに独自のソフトをインストールして、離れた場所からケータイ端末の位置を確認出来るサービス「人用ココセコム(携帯電話用)」を提供している。同社のコーポレート広報部によると、

「携帯搭載型というよりは、専用端末をご利用になるお客様の方が多いです。法人向けにも、専用のサービスを展開しています」

   と話している。J-CASTニュース記者が

「油を売っているのを監視する、というというような使われ方は多いですか?」

   と聞くと、

「決してさぼっているかどうか、ということに限らず、物流の状況について把握するために利用なさる企業が多いです」

   と、一応「企業による監視」については否定していた。

修学旅行生にGPSケータイを貸し出すサービス

   ユニークなGPSケータイの活用をしているのが、会津若松観光物産協会だ。同市の国指定史跡・鶴ヶ城には、年間約7万人の修学旅行生が訪れる。5人~10人の班に分かれて市内を散策する、というのが一般的だが、班に1台GPSケータイを貸し出すサービスを実施している。引率の教員が、設置されたPCから生徒の居場所を常に把握できる仕組みだ。

   このサービスは03年にスタート。当初は、位置情報を確認できるPHSを貸し出していたが、NTTドコモがPHSサービスの終了を発表したため、06年からGPSケータイでのサービスに切り替えた。06年度には142校の利用があり、教職員からは「居場所が分かるので安心」と評判も上々だという。

   なお、このサービスは06年までは、会津若松市、観光公社、観光物産協会などが費用を負担してきたが、「通話料などがさすがに負担しきれなくなった」として07年度から有料化(1台2,000円)。07年度の利用実績は11月までで80校と、大きく落ち込んでいるのだという。

   07年4月には、総務省による「改正事業用電気通信設備規則」が施行され、施工後に発売される第3世代(3G)携帯電話には、原則としてGPS機能を搭載することが義務づけられた。110番通報の約6割が携帯電話からで、警察や消防が通報者の位置を把握できるようにするためのもの。07年4月からは、警視庁と北海道(北見方面のみ)、大阪、神奈川、愛知、奈良の各道府県警が運用を開始している。

   全てのケータイにGPSが搭載される日も遠くはなく、今後もGPS機能を利用したサービスが次々に生まれそうだ。

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