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妊婦搬送 県調査報告・・・コーディネーター不足

医師の応募ゼロ

 橿原市の妊婦搬送問題について、再発防止策などを検討する「県妊婦救急搬送事案調査委員会」が9日まとめた報告書に基づき、県は今後、再発防止策に取りかかる。荒井知事は「予算や時間がたくさんかかることもあるが、すべて着実に実行できるように努めたい」と意気込みを語ったが、人材確保などでは、まだまだハードルが多い。

(田村勇雄)

 今回の搬送問題では、休日夜間に外来診療に対応できる産婦人科医師が県内で不足している点が問題視された。そのため、本来は重篤な妊婦など高度な医療に対応すべき県立医大病院(橿原市)に搬送が集中。県立医大病院に受け入れ要請をした後、大阪の病院を探さざるを得なかった。

 報告書の中では、産婦人科の開業医らが交代で在宅当番に当たる「輪番制」の確立を盛り込み、医大病院には消防や他病院からの受け入れ要請の取り次ぎに専任するコーディネーターの配置を決めた。消防も搬送先病院が見つからない場合、コーディネーターに受け入れ先病院の探索を依頼できるようにした。

 ただ県はコーディネーターの人材について「医師が望ましい」とし、9月補正予算で人件費を盛り込んだが、これまで応募したのは看護師や助産師など3人。医師は手を挙げていない。荒井知事は「産科医が絶対的に不足しており、なかなか人材が見つからない」と嘆く。

 開業医による輪番制について、県医師会産婦人科医会も「参加したい」と合意しながらも、アンケートでは協力に前向きな医師の数は10人程度という。同産婦人科医会の齊藤守重会長は「開業医も高齢化しており、どの程度まで協力できるかはわからない」話す。

 調査委員会終了後の記者会見で、荒井知事は昨年夏の妊婦死亡問題についても触れ、「1次救急から高次医療に情報が正確に伝わっていれば、大淀病院では的確な医療判断がされる可能性があったと思う」とした。

 しかし、亡くなった妊婦の義父、高崎憲治さん(53)は報告書について「非常に残念。なぜあの事件が起こったのかや、責任の所在が明らかにされていないし、被害者の声が全く届いていない。このままだと、同じことがまた起こるのでは、と非常に不安だ」と話している。

2007年11月10日  読売新聞)

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