ゴールデンウイークが終わったにゃ。 今年は大型連休だったことに加えて、天候にも恵まれたから、 観光地はきっとたくさんの人々で賑わっただろうと思う。 とのねこは、過去15年間ほど、観光PRの仕事がとても多かったから、 毎年、ゴールデンウイークに観光客がどこに集まったかには関心があった。 なぜって? 春先からいろんな仕掛けをした結果がゴールデンウイークに表れるからや。 仕掛けた情報で、どれだけの人が「ここに行ってみたいな」と思ったか、 どれだけイメージ良く人々に伝わったのかが、わかるからや。 でもなぁ、本音を言うと、ほんとうの魅力には、そんな一時的効果は関係ないと とのねこは思っている。 もちろん、観光には余暇が必要だから、「余暇の爆弾」のような大型連休には 観光客の絶対数が増える。だから情報もサービスも必要になる。これは原理や。 でも、その一方で、何もしなくても人々が集まってくる魅力もあるんやな。 その“へんこなおっさんの店”もそうやった。 まぁ、この“へんこなおっさん”は後に、大ブームを呼ぶきっかけになったのやから、 世の中、何が起こるかわからんけどなぁ・・・ その電話は突然、かかってきた。 とのねこに電話をくれたのは、ある県庁観光課の県庁マン。 その頃、とのねこはいろんな官公庁さんのご依頼で、 地域の魅力発掘を始めたばかりやった。 発掘いうても、遺跡の発掘やない。情報の発掘や。 地域に埋もれた魅力を発掘して、魅力的に表現して (ここが仕掛け人の得意技! 情報をデザインするとも言うんや) その情報をテーマがマッチするマスコミさんに伝えて、 取材の段取りから手配までをきちんと整えて、 地元で頑張っている人々が無理をせず、自然体のまま、 効果的な報道を仕掛けるという一連の必殺技や。 この技は、文化の異なる人と人の出会いをつくるという仕事がメインになるので、 ヒジョーに手間がかかるし、ヒジョーに気は使うしで、 とにかく精神的疲労がつきまとう。 しんどいのは仕掛け人だけやない。主催者もとっても疲れる。 なんでって、ご挨拶とか、取材対応とかで、 「表に立って」もらわなければならないからや。 だってこういう場合、仕掛け人はあくまで陰の存在。 地元の情報なのだから、地元の人々(主催者含む)に 表に立ってもらわなければ仕掛けにならない。 つまり広告のように任せておくことはできず、主催者も汗をかく仕事や。 それなのに当時、最も効率性を重視するはずの官公庁さんが、 どうしてこんな仕掛け人の仕事に関心を持たれたのか不思議やったけど、 いろいろ難しい言葉で書かれた「事業目的」とか「事業趣意書」とか 複数の官公庁さんから渡された難しい書類の意味を要約すると、こういうことやった。 「バブルが崩壊して以来、世の中、大不況。これまで観光の目玉としてきた 博覧会も、テーマパークも、超得意の箱モノも、予算がとれません。 こうなったら“素”で勝負するしかありませんが、何も思い当たらなくて・・・ 観光客集めることなんか、できるのでしょうか? 仕掛け人の必殺技で、なんとかできませんか?」 まぁ、わかりやすく言うと、そういうことや。 最近は“素”の魅力をどんどん情報発信することがフツーになったけど、 バブル崩壊から間もなかった当時、多くの官公庁さんでは 何かイベントとか施設を作ることが観光施策と考えられていたので、 予算がなくなった途端に、「金の切れ目が縁の切れ目」ということになって、 仕掛け人の存在に注目してくれた、という訳や。 その電話もそうやった。 「うちにも、マスコミさん取材に来てもらえる魅力ありますかなぁ・・・」 「そりゃ、ありまっせ!お任せにゃんにゃん♪」と言って早速、とのねこは現地へでかけた。 「どんな地域にも、そこに人が暮らしている限り、絶対に魅力はある」 というのが、とのねこの信念。 その魅力を発掘するのが、とのねこ自慢の得意技や! ・・・で、現地を歩いた結果、最高の魅力と思ったのが“へんこなおっさん”やった。 正確に言えば、“へんこなおっさん”に代表される “華麗なるへんこな人々”が日々営んでいる、多数の小さな店やと思ったんや。 なんと!そういう店は、現地に無数にあった。 これが、なんとも面白い。みんな一様に必ずへんこ。 そんなところは他にない。これこそ県レベルの魅力やと思った。 そのへんこさも、半端じゃなかった。 県庁さんが掲げる「みんな笑顔でおもてなし」なんてスローガンはどこ吹く風・・・ 好きな時に店あけて、商品がなくなったら閉める。 超自然体で別に客の勧誘も愛想もしない。 「食べたい人にだけ、食べさせる」というような店ばかり。 しかも、調理の一部まで客にやらせてしまう、といった、 当時では考えられないような「華麗なるへんこな店集団」やった。 しかし! 「へんこな店」はとにかく美味しかった!それに驚くほど安い! シンプルな料理法で、低カロリー。 食べ歩きして満腹になっても500キロカロリー程度・・・ その当時、バブル崩壊のあおりで世の中は節約ムードて かつダイエットばやりのヘルシーブーム。 とのねこは、ほんとうにタイムリーだと思った。 豪華でギトギトのバブル時代には、見向きもされなかっただろうと思う。 でも、不況時代の観光にはピッタシカンカン(←知ってる?)と確信した。 とのねこは、多くのへんこ店の中でここと決めた店に入った。 「あのぉ・・・取材させてもらえませんか?」 「・・・・・・・・・。」 「この店の特徴は?」 「・・・・・・・・。」 「○月○日、30名ほど予約できませんか?」 その時、突然の嵐が吹いた。 「何?予約なんてうちにはない。食べるんなら、勝手に食べろ!!!!!」 ・・・仕方ないから、おっしゃるとおりにすることにした。 こういう“意外な魅力”を発掘して、情報発信しようとするときには、 必ず必要な条件がある。「主催者と地元に理解があること」や。 そうでなければ、せっかく話題になっても地元に反発をくらって、 マスコミさんにも迷惑がかかってしまうからや。 とのねこが手がけた魅力発掘においても、 この条件が揃わずに発信できなかった“光る原石”はたくさんあった。 今でもしっかり埋もれていると思う。 まぁ、仕方ないわな。フツーこういう発掘は、 地元の人々にとっては「とんでもない!」ということが多いからな。 その県での発掘も、最初は同じ反応やった。 「あんな台所みたいなところに、マスコミと観光客を呼ぶなんて。 恥をさらすようなものです。とんでもない!」 でも一方で、それをしのぐ条件が揃っていた。 並外れた感性をお持ちの「県庁の星」と、 地道に“へんこな店”を連載しているタウン誌。 「県庁の星」は言ってくれた。 「面白いのとちゃう?ちょうど、タウン誌も連載始めてるし。 地元の協力体制もとれるんとちゃう?」 これだけ理解が得られれば、仕掛け人の腕はなる! そして、へんこなおっさん取材の日・・・ 東京、関西、中部、九州から約30名のマスコミの皆さんが、 へんこなおっさんの店の前に並んだ。 もちろん、皆さんには事前に説明をしていた。 「究極のこだわりの店です。店主は客に愛想も振りまきません。 予約もできません。しかし人が集まるという究極の味覚です。 そのような店が県内に無数にあるのです。ぜひお試しください」 そして、店に入って、フツーの客と同じように立ち食いしてもらった。 その時! とのねこは見た!記者さん達の目の色が変わり、光っていくのを。 この瞬間こそが、仕掛け人の努力が報われる瞬間や。 「やった!してやったり!」 その後は、もう任せておけばいい。 へんこなおっさんは、すでに質問攻め・・・というか、 賞賛の嵐を浴びていた。 「旨いですね。どこにこだわっておられるのですか?」 「なぜ、こんなに旨いのに、こんなに安く売れるのですか?」 「凄いですね。ほんとに旨い。」 「もう一杯、食べてもいいですか?えっ?100円でいいの?」 へんこなおっさんの顔がだんだん緩んできた。 長年、地道につくってきた自慢のうどんを、 ここまで誉められたのだから、嬉しくないはずがない。 次第に、記者さんたちと会話するようになってくれた。 ここまで書いたら、もう何のことか、わかったと思う。 「セルフの讃岐うどん店に、全国マスコミが取材に入った最初のシーン」や。 その後に起こる報道合戦は、この全国マスコミの共同取材から始まった。 特に観光の場合、報道合戦に至るには、たくさんのメディアが注目する 「ベース報道」が必要になる。 なぜって、なんといっても遠方のことやし、かなり主観が左右するテーマやし、 絶対に報道しなければならないテーマでもないからや。 それに加えて、日頃忙しい記者さんたちにとって 遠方のことを、わざわざ一から調査する暇はないし、 たまたま、ひとつのメディアが取り上げただけではインパクトが薄く、 あまりにも多くの情報に埋もれて見逃されてしまう。 事件とは違って、取材者の主観が入る余地いっぱいの観光ネタやから、余計や。 しかし、その道に詳しい主要なメディアが一斉に同じ話題を報道すると 他のマスコミにもキョーレツなインパクトを与えるもんや。 その時の共同取材は、全国規模の主要観光メディアが揃っていただけに、 後の報道は十分、他のメディアさんの注目を浴びることになった。 そこに重要な仕掛けがひとつ。 ブレスリリースと一緒に、地元のタウン誌を配らせてもらったんや。 そして取材案内のバスの中で、「県庁の星」が説明を加えた。 「地元でも、こんなに関心が高まっておりまして・・・」 その結果、同じタイトルで複数の全国メディアが一斉に報道することになった。 「恐るべき讃岐うどん!なんと100円で、この旨さ!」 このタイトルが、地元タウン誌の連載タイトルだったことは言うまでもない。 その後、タウン誌は次第に「へんこな店」のバイブルとなっていった。 ブームというのは、起こそうと思って起こせるものでもない結果論や。 しかし、すべては「出会い」から始まることは確かやと思う。 どうしてって?社会は抽象的なものではなく、人間の集まりやからなぁ。 今回の場合も、フツーにしていたら出会うこともなかった 「へんこなおっさんと全国マスコミさんの出会い」があってのことやった。 そして大切なのが、初めて出会った時に相手を理解して誉めること。 もしあの時、へんこなおっさんと記者さんたちが喧嘩をしていたら、 その後の展開はなかったと思う。 文化の異なる人々の出会いには、相手の文化を理解して 誉めること(相手の文化を賞賛すること)が不可欠やと、とのねこは思う。 まぁ、どちらにしても、ネコには関係ないか。 その後、「県庁の星」は他部署へ異動し、とのねこの仕事も終わった。 報道合戦の最中には、元へんこのおじさん達、おばさん達の笑顔を 多くのメディアで見かけるようになった。 そのたびに、本当に良かったと思った。 やっぱり人間、笑顔が一番や。 もう、あの出会いの時のことは皆、誰も覚えていないだろうと思う。 ま、いいか。 でも、どんな時代も「人との出会い」が一番大切やと、とのねこは思う。 そして「相手を誉める」ことが良い出会いの原点であることは 忘れて欲しくないなぁ、と思う。 これこそが、近江商人の心得「三方よし」に通じるものかもしれんなぁ。 みんなが幸せになってこそ、商売も成功するという教えやな。 そしてこれが、仕掛けの原点でもあるにゃ~☆ 誉めるのは人間関係の基本ですね。 とのねこはん、ほんま、ええこと言いますわぁ~☆ さぬきうどんブームは、とのねこサンが仕掛けたのが一番最初だったという事ですよね??わたしにはノウハウが無いのでこういうのはできません、感心します・・頭の回転が速くないとできないですよね。いま山梨の富士宮うどんがちまたでブームになりかけていますが、麺ブームの第一号がさぬきうどん!もっといろんな地方のグルメが全国に知られるようになってほしいですね。(と言っても、どこの地方もお金がないですか) ほろろ~☆さん そうでっせ~。誉めるほどに幸せ来るでっせ☆ 麻生さん こにゃにゃちは♪ コメント、とっても嬉しいにゃ。 山梨でもうどんがブームかにゃ? うどんは日本人のソールフードやから、もっともっと ニッポン中のうどんがブームになるといいのににゃ☆ どうぞttp://www.mentsu-dan.com/index.html >麻生様 富士宮は静岡県です。 で、富士宮の名物は焼きそばです。 で、山梨でうどんが名物な場所は富士吉田市です。 アンダーグラウンドで流行っていた話をマスコミに紹介した、というだけの話ですよね?
「恐さぬはテレビで紹介される前からネットではかなり話題になってましたけど。
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