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社会

医師確保へ寄付講座広がる 県、神戸大などに設置

 医師不足対策として自治体が地元大学などに寄付し、地域医療の在り方を研究してもらう「寄付講座」設置の動きが広がっている。自治体との連携は、少子化などで生き残りを模索する大学にとってもアピールの絶好の機会となっている。

 総務省によると、寄付講座を大学に設けているのは現在、都道府県レベルでは宮城や三重など七県。先駆けは長崎で、二〇〇四年に同県五島市と共同で長崎大に「離島・へき地医療講座」を設けた。寄付総額は五年間で二億五百万円。五島市の離島医療研究所で調査研究の傍ら、地元の公立病院で診療も行う。

 高知は今年七月、家庭医の養成プログラム開発などを目的に高知大に開設。「へき地に出た後の研修や支援態勢まで組み込んだプログラムを作れば、県外からも医師を呼べる」(同県医師確保推進室)と意気込む。

 兵庫は神戸大、兵庫医大に続き今年九月、隣県の鳥取大に開講した。「県北部はもともと鳥取と結び付きが強く、公立病院にも以前、鳥取大から医師を派遣してもらっていた」(県医務課)経緯から寄付先に選んだ。

 これらの寄付講座には他の自治体から視察が相次いでいる。

 自治体に対し、大学側も「少子化に加え資金の自己調達が求められる法人化などで生き残り競争が激しくなっており、以前より地域貢献に熱心になっている」(ある県の担当者)という。

 しかし、国立大への自治体の寄付は原則禁止。「国が負担すべき経費を、寄付金名目で自治体に求めないため」(総務省)だ。〇二年から地域活性化につながる研究に限り総務相の同意を条件に認められるようになったが、公立病院への医師派遣といった直接的な目的では同意は得られない。

 地方からは「国の地域医療政策が現状に対応していないから寄付講座を検討している。どの自治体も理屈付けに苦労している」との声も漏れる。

(11/10 14:54)

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