2000年スタート、2003年には利用者50%の普及を目指すETC(自動料金収受システム)。ここに導入される料金決済システムは、サービスエリア等での買い物も可能になる。ETCすら姿の見えない今年の段階でこう言い切ることは難しいかもしれないが、このシステムを展開し、広く流通業と提携することで、車内で買い物の注文を行い、決済を行うことが可能になる。
オンラインショッピングにビジネスとしての可能性はあるのか。いま、アメリカで流行っている「スーパー買い物代行業」に大きなヒントがある。
例えばピーポッド社は、大規模スーパーの商品データベースを借り、その日の商品リストを会員のパソコンに提供、会員はピーポッド社に買い物を注文すると、ピーポッド社が雇ったパートタイマーがスーパーの店頭で買い物を代行、宅配するというものである。スーパー自身が品物をピックアップしないので、消費者の立場から一番いいものを手に入れられるというのが、好評の原因である。
これらは会員制サービスだが、会員のコスト負担の最も大きな部分は、宅配コストである。そこで、注文した品物をスーパーまで取りに来ることで、会員のコスト負担は大きく減るという。
ここに買い物情報提供メディアとしての、ITS(高度道路交通システム)メディア新しい可能性がある。リアルタイムで割引サービスの情報を広域で提供し、GPSの現在位置から周辺沿道に限定して取り出すことは、規格の標準化さえ整えば技術的に難しいことではない。流す電波については、放送のデジタル化の動きとローカル局の動向も相まって、様々な可能性が考えられる。
流通業としてのメリットは、販売促進だけではない。この「取りに来る」すなわちドライブスルーが拡大すれば、店舗面積、あるいは駐車場のスペース削減にも資することになる。もちろん、これらは決済システムの普及、あるいはカーナビシステムの発展と普及を待つ必要があるが、ETCの普及スケジュールの中で是非視野に入れておく必要があろう。
次回は、こうしたシナリオの前提となる、決済システム、カーナビなどの普及シナリオに目配せしておく。
|