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集団自決出版差し止め訴訟で、元守備隊長が軍命令を否定 (1/2ページ)

2007.11.9 12:11
このニュースのトピックス沖縄集団自決
沖縄集団自決軍命訴訟の口頭弁論で、大阪地裁に入る原告の梅沢裕さん(中央)、赤松秀一さん(右端)ら=9日午前10時8分沖縄集団自決軍命訴訟の口頭弁論で、大阪地裁に入る原告の梅沢裕さん(中央)、赤松秀一さん(右端)ら=9日午前10時8分

 先の大戦末期の沖縄戦で、旧日本軍が住民に集団自決を命じたとする本の記述は誤りとして、当時の守備隊長らが、ノーベル賞作家の大江健三郎氏と岩波書店に損害賠償や書物の出版・販売差し止めなどを求めた訴訟の口頭弁論が9日、大阪地裁(深見敏正裁判長)であり、本人尋問が始まった。午前中は原告の1人の元守備隊長で元少佐の梅沢裕さん(90)が出廷、「(自決用の弾薬などを求める村民に対し)死んではいけないと言った」と証言、軍命令説を改めて強く否定した。

 午後からはもう1人の原告の故赤松嘉次元大尉の弟、秀一さん(74)と大江氏の尋問が行われる。今回の訴訟で大江氏が証言するのは初めて。訴訟は、来年度の高校日本史の教科書検定で、集団自決を「軍の強制」とした記述を修正した根拠にもなったが、その後、教科書会社が削除された記述を復活させる訂正申請を出している。

 原告側が名誉棄損の対象とした書物は、岩波書店発行の大江氏の『沖縄ノート』と故家永三郎氏の『太平洋戦争』。

 尋問で梅沢さんは当時の装備について聞かれ「拳銃に軍刀をさげ、手榴(しゅりゅう)弾を持っていただけ」と答えた。さらに「こんな小さな島では飛行場もできない。敵も上がってこないと思っていた」と振り返り、米軍との陸上戦を予測していなかったため、住民の集団自決を想定できなかった当時の隊内の混乱ぶりを述べた。

 米軍上陸直前、弾薬や弾丸などを要求した村の助役らに「お帰りくださいとしか言わなかったという説もありますが」と問われると、梅沢さんは「そんな生やさしいことは言わない。『帰れ、死んではいけない』と言った」と答えた。

 集団自決をめぐって、大江氏は自著で、島に駐屯していた守備隊長の命令だったとする沖縄戦記の記述を引用し、名指しは避けながらも「戦争犯罪者」「ペテン」などと記載。これに対し梅沢さんらは軍命令を出していないのに名誉を傷つけられたとして平成17年8月、提訴に踏み切った。

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沖縄集団自決軍命訴訟の口頭弁論で、大阪地裁に入る原告の梅沢裕さん(中央)、赤松秀一さん(右端)ら=9日午前10時8分
 沖縄集団自決軍命訴訟の口頭弁論が行われた大阪地裁の法廷=9日午前10時32分
大江健三郎さん
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