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「沖縄ノート」巡る訴訟、大江さん「軍の命令」◆集団自決論争 沖縄戦で住民に集団自決を命じたなどと、著書に虚偽を記載されて名誉を傷つけられたとして、旧日本軍の元少佐・梅沢裕さん(90)ら2人が、作家の大江健三郎さん(72)と、岩波書店(東京)を相手に、大江さんの著書「沖縄ノート」などの出版差し止めや損害賠償を求めた訴訟で、大江さんが9日午後、大阪地裁(深見敏正裁判長)で本人尋問に立った。大江さんは「自決命令はあったと考えているが、個人の資質、選択の結果ではなく、それよりずっと大きい、日本の軍隊が行ったものだ」と述べた。 大江さんは、この日の陳述や同地裁に提出した陳述書で、自著で自決命令があったとした根拠について、▽地元新聞社が刊行した書籍などを読んだ▽書籍の執筆者らにも話を聞いた――などと説明。集団自決が行われた座間味島や渡嘉敷島を訪れるなどして、生存者らから話を聞かなかったことについては、「本土の若い小説家が悲劇について質問する資格を持つか自信が持てず、沖縄のジャーナリストらによる証言記録の集成に頼ることが妥当と考えた」とした。 そのうえで、集団自決について、日本軍から島の守備隊、島民につながる「タテの構造」の強制力でもたらされた、などと持論を展開。「個人が単独、自発的に(集団自決を)命令したとは書いていないし、個人名も記していない」として名誉を損なったとする原告側主張を否定。 「守備隊長の命令はなかった」との証言が盛り込まれた作家の曽野綾子さんの著作については、「読んだが、証言は守備隊長を熱烈に弁護しようとしたものと考えた」と述べ、沖縄ノートの記述を訂正する考えがないことも明らかにした。 一方、梅沢さんは、大江さんに先立って行われた尋問で、集団自決について、「絶対命じていない」と否定し、兄の赤松嘉次さん(故人)が渡嘉敷島の守備隊長だった、もう1人の原告の赤松秀一さん(74)も、大江さんを前に、「兄に直接取材していないのに心に踏み込み、中傷した」と訴えた。 閉廷後、それぞれの弁護団が記者会見。大江さん側の弁護団は「隊長の自決命令とは記述しておらず、本来、訴訟は成り立たない」と主張した。 これに対し、原告側弁護団は「大江さんは『タテの構造』という難しい概念を持ちだしたが、そういう説明は沖縄ノートには全くない。原告による命令の有無が争われているのに、大江さんは軍全体の命令として論点をすり替えた。こうした態度が名誉棄損を生む原因」とした。 (2007年11月10日 読売新聞)
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