佐賀県武雄市の病院で入院患者の宮元洋さん(34)が射殺された事件で、現場の病室に10月下旬まで入院していたとされる暴力団関係者は九州誠道会(福岡県大牟田市)系列の組関係者との情報が9日、捜査関係者などの話から浮上した。九州誠道会は指定暴力団道仁会(同県久留米市)から離脱した勢力で、道仁会と抗争。武雄署捜査本部は、九州誠道会の関係者と間違えて銃撃した可能性があるとみて調べを急いでいる。
10日にも退院するはずだった宮元さん。九州の暴力団抗争に巻き込まれた可能性がさらに高まった。射殺現場の2階病室には、九州誠道会傘下の組関係者が入院していたとの情報を捜査本部がキャッチした。
九州誠道会は昨年5月初旬、会長交代に反発して道仁会から離脱した勢力が設立した組織。以降、道仁会との抗争が激化。今年8月には福岡市で道仁会の松尾義久会長(当時56)が射殺され、翌日には九州誠道会系の中村文治会長(56)が拳銃で撃たれるなどの事件が相次いでいた。
その後は沈静化していたが、情報通り、入院していたのが九州誠道会系の組関係者で、その人物を狙った犯行だとすれば、両団体の抗争が再燃した恐れもある。捜査本部は、病室に押し入った犯人が、宮元さんを間違えて銃撃した可能性があるとみて、過去の入院患者リストなどを調べ、情報の見極めを急いでいる。
捜査本部によると、回転式拳銃から発射された銃弾は4発。宮元さんは両肩付近を撃たれており、立った状態で前面から狙われたとみられる。
病院正面玄関の防犯カメラには、犯人の男が8日午前7時39分に入ってきて、同42分に出て行く姿が写っており、わずか3分という短い間の犯行だったことも判明。男はがっちりした体形でジャンパーのポケットに両手を入れ、正面玄関から堂々と病院に侵入。左右を確認した後、犯行現場の病室へつながる階段方向に自然な足取りで進んでおり、顔の部分は不鮮明だった。
発砲音がした後に病室がある2階から男が階段を下りていくのを看護師が目撃した際も、男に慌てたそぶりはなかったという。逃走に使ったトヨタクラウンとみられる白い車のナンバープレートは、別の車から盗んだものをテープで張るなど工夫していた。
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