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船場吉兆不正「これほどとは」…福岡市が再調査へ


産地偽装が発覚した「但馬牛こがねみそ漬」

 「船場吉兆」(大阪市)による消費・賞味期限表示の改ざん問題は9日、本店での偽装表示が発覚し、トップの辞任に発展した。記者会見した同社の湯木正徳社長は「多大のご不信とご迷惑をおかけし、衷心よりおわび申し上げます」と謝罪した。

 社長らは「組織ぐるみではない」と繰り返したが、不正を重ねていた「吉兆ブランド」に、行政関係者や消費者からは「消費者に対する裏切り」と厳しく指弾する声が上がった。

 農水省の改善指示文書はこの日午後、大阪市中央区の農水省大阪農政事務所で、伊勢東一・同事務所長から船場吉兆の湯木喜久郎取締役に渡された。

 湯木取締役は、報道陣に「消費者におわびしてもおわびしきれない」と声を絞り出すのがやっとだった。

 湯木社長は午後7時から同区の大阪府商工会館で記者会見し、「吉兆の歴史に汚点を残した。生涯をかけて償いたい」と無念の表情を浮かべた。しかし、報道陣から「組織的な関与はないのか」と追及されると、「決してそうではない。品質管理の甘さから把握できなかった」と一転して気色ばんだ。

 牛肉の原産地偽装表示については、本店の仕入れ担当者の判断だったとし、「JAS法に対する担当者の意識が低かった。監督の甘さから結果的に不祥事につながった」と釈明。ブロイラーを地鶏とした不正は「口頭で業者に地鶏と発注していた。業者が独断でブロイラーに変更していた」とし、責任を否定した。

 だが、船場吉兆に鶏肉を納入していた「とり安」(京都市)の上田哲温(てつお)店主(63)は、読売新聞の取材に対し、ブロイラーだったことを認め、「地鶏と言って売ったことは一度もない」と反論した。

 一方、不正の実態解明を進めた農水省や、発覚の発端となった福岡市では怒りの声が相次いだ。ある農水省幹部は、船場吉兆の姿勢に「食品表示に対する認識が極めて甘く、消費者を裏切る行為だ。今後も徹底的に調査する」と厳しく批判。別の職員も「こんないい加減な会社は見たことがない」とあきれていた。

 福岡市は8日、船場吉兆が提出した改善報告書を了承し、岩田屋内の店舗の営業再開を認めたばかりだった。市食品安全推進課の平坂誠二・食品衛生係長は「これほどの不正が出てくるとは予想していなかった」と絶句。いったんは調査を打ち切っていたが、菓子類の製造工程などの再調査に乗り出すよう方針を転換した。

 岩田屋内の船場吉兆の店舗でよく総菜を買っていたという福岡市城南区の主婦(70)は「期限切れの商品を食べていたかも知れないと思うと、ぞっとする。有名店というおごりが、消費者軽視につながり、不正に走らせたのでは」と憤った。

 ◆すき焼きセットの九州産牛肉を「三田牛」と表示

 船場吉兆が、阪急百貨店(大阪市北区)を通じて販売した商品で、佐賀県産などの牛肉を「三田牛」と偽装表示をしていたことがわかった。農水省はこの不正を把握しておらず、今後の調査で事実関係を確認する。

 同百貨店によると、5〜8月、中元用商品として船場吉兆の「三田牛すき焼きセット」(3万1500円)を31セット販売した。船場吉兆から9日になって、「産地は佐賀、鹿児島県産だった。申し訳ない」と連絡があったという。



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