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シロアリ:遺伝子が階級決定

 集団を形成して巣を作るシロアリには「働きアリ」や「女王アリ」など役割に応じた階級がある。こうした階級を決める遺伝子が存在することを茨城大などの国際研究チームが突き止めた。従来は、繁殖アリが出すフェロモンや栄養状態など、生育環境だけで階級が決まると考えられていた。9日付の米科学誌「サイエンス」に発表した。

 研究チームは、日本で一般的なヤマトシロアリのうち、働きアリの「ワーカー」と、女王アリや王アリになる可能性を持つ「ニンフ」の2種類の階級のアリを調べた。

 ワーカーとニンフが特殊な脱皮をして繁殖力を持った「ワーカー繁殖虫」と「ニンフ繁殖虫」のオスとメスを交配。生まれた卵はすぐに親から引き離し、ワーカーだけに育てさせるなど、生育環境を同じにした。

 生まれ育った子どもの階級やその割合を分析した結果、性別をつかさどる性染色体のうちX染色体上に、子どもの階級を決める遺伝子が存在することが分かった。

 一方、卵を女王アリや王アリと一緒に育てると、遺伝的にはニンフになるはずの幼虫がワーカーに成長することもあった。繁殖アリが出すフェロモンなど、環境要因も階級決定に関与することを示しているが、遺伝的にはワーカーの幼虫がニンフになったケースは確認できなかった。

 研究チームの北出理・茨城大准教授(動物生態学)は「シロアリのような社会性を持つ昆虫で、階級が形成される新たな仕組みが分かった。ヤマトシロアリの運命の基礎は、生まれながらにして遺伝子で規定されているといえる」と話している。【永山悦子】

毎日新聞 2007年11月9日 3時00分

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