飲酒運転撲滅へ啓発のトークショーを計画する松中(右)と松田
決して人ごとではなかった。普段は華やかな世界に身を置くが、ユニホームを脱げば、福岡市民の1人だ。一瞬で人生が変わる飲酒運転による事故がなくならない現状に、松中がひと肌脱ぐ決意を固めた。
「お世話になっている福岡の方々に微力ですが、何かをしたいと思ってました。福岡では痛ましい飲酒運転による事故があったし、福岡から『飲酒運転撲滅』を全国に発信できたらいいと思います」。自らが発案した12月17日のチャリティートークショー。飲酒の機会が増える年末を控え、あらためて注意を喚起する意向だ。
松中を駆り立てたのは昨年8月の福岡市内での事故だった。一家5人が乗った車が飲酒運転の福岡市職員(当時)の車に追突され、海に転落。子ども3人が亡くなった。「同じ年ごろの子どもを持つ親として、ご家族の心境を察すると、いたたまれなかった」。それ以来、啓発活動の方策を模索していたという。
当初は、今回の収益を寄付する福岡県の任意団体「交通事故をなくす福岡県県民運動本部」(本部長・麻生渡県知事)にポケットマネーを寄付し、啓発活動に役立ててもらうことも検討した。「でも、この問題はみなさんの助けが必要と思った。1人ではどうしようもない」と、自らが中心となったイベント形式を取ることにした。
トークショーには“門下生”の松田も参加する予定。松中の呼び掛けで、さらに数人の選手がイベントに加わる見込みだ。呼び掛けに応じた松田は「西戸崎の寮からヤフードームに向かうときに(事故があった)橋を使います。いつも事故を思い出しますね。自分も微力ですが協力したい」。
関係者によると、交通安全ポスターなどにプロ野球選手が登場することはあったが、選手が独自に啓発チャリティーイベントを開催するのは初の試み。全国的に減少傾向にあるとはいえ、なくならない飲酒運転の撲滅へ松中らが立ち上がる。
=2007/11/10付 西日本スポーツ=