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コピーワンス緩和「補償金」めぐり対立 著作権者団体VS家電メーカー
デジタル放送の番組録画を現行の1回限り(コピーワンス)から、録画1回と複製9回まで認める新制度「ダビング10」へ移行することに絡み、著作権者の団体と、録画機メーカーの対立が表面化した。著作権者側は、録画で受ける不利益を補う「私的録画補償金」の対象機器を拡大し、権利者への補償が増えるようにするべきだと主張。反対にメーカー側は、録画補償金そのものが不要として撤廃を提案した。
「コピーワンス緩和の議論の中では、彼らは補償金制度について発言しなかった。なぜ今になって廃止というのか。一貫性がなく、何を考えているのかわからない」
日本映画製作者連盟、実演家著作隣接権センターなど87団体は9日、東京都内で記者会見を開き、メーカー団体の電子情報技術産業協会(JEITA)を厳しく非難。録画補償金への見解をただす公開質問状を突きつけた。映像制作者や出演者、制作会社らは、適正な対価(著作権料や補償金)を得られなければ創作活動は衰退する−と危機感を募らせている。
しかし現状では、録画機の主流となったHDDレコーダー(ハードディスク録画機)やパソコンは対象外で、補償金総額は昨年の21億円から今年は16億円へ減少する。著作権者側はこれらを対象に加えるよう、著作権法を検討する文化審議会に求めた。
一方、JEITAも10月に記者会見し、「対象機器の拡大を前提とするのは問題」と反論している。「違法コピー防止技術が徹底されれば補償金は不要」と主張し、23年の地上放送完全デジタル化を機に録画補償金を撤廃するよう文化審議会に提言した。コピー制限と補償金は、消費者に二重の負担になる−との立場だ。
ダビング10への移行は総務省の研究会で7月に固まり、関係団体も同意していた。放送設備などの対応が進めば来春にもスタートする。補償金は当面、現行制度で運用されるが、論争の長期化は避けられそうにない。