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「吉兆の歴史に汚点」船場吉兆会見で陳謝
このニュースのトピックス:食の偽装
老舗の高級料亭が会社ぐるみで偽装に手を染めていた疑惑が浮上した。本店でも新たな表示偽装が発覚したとして、農林水産省から改善指示を受けた船場吉兆(大阪市)。大阪市内で開かれた記者会見では、湯木正徳・代表取締役ら3人が「責任を痛感している」と陳謝したものの、組織的な関与は否定、湯木代表取締役が途中退席する一幕もあった。
「お客さま、取引先に多大なご迷惑をお掛けし、おわび申し上げます」。湯木代表取締役は会見の冒頭で、深々と頭を下げて謝罪。「二度とこのようなことがないよう、全社を挙げて真摯(しんし)に取り組みたい」などと用意したコメントを読み上げ、湯木代表取締役らの辞任と全役員の報酬の50%カット、菓子類販売からの撤退などを表明した。
一方で、「指導管理の甘さがあった」としながらも、「担当者以外は知らなかった」と、一連の偽装に関する組織的な関与を改めて否定。「JAS(日本農林規格)法への認識が甘かったというほかない」と述べた。
新たに明らかになった牛肉の産地表示偽装については、「但馬牛の納入が追いつかず、品質に遜色(そんしょく)のない九州産を使った。本店の仕入れ担当社員だけが知っていた」と釈明。
また、地鶏と表示しながらブロイラーを使っていたことについては「地鶏の品不足から業者が無断でブロイラーに切り替えていた。信頼しきっていたのに裏切られた気分だ」と話した。
湯木代表取締役は体調不良を理由に途中で退席。後任は決まっておらず、自身の今後については「吉兆の歴史に汚点を残したことは、償いきれない。今後は一料理人として、料理道に励んでいきたい」と話した。