MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

米韓などFTA批准困難にクリントン候補が反対声明

2007.11.9 19:00
このニュースのトピックスくるま

 【ワシントン=渡辺浩生】2008年米大統領選で、民主党の最有力候補と目されるヒラリー・クリントン上院議員が8日、韓国、パナマ、コロンビアとの間の自由貿易協定(FTA)に反対する考えを表明した。支持率トップを走るクリントン議員が、関税や非関税障壁の撤廃を目指すFTAへの反対を鮮明にしたことは、国内での保護主義の高まりを背景に有権者の支持拡大を狙ったものだ。ブッシュ政権が目指してきたこれらFTAの任期中の批准は一段と困難になった。

 クリントン議員は8日発表した声明で、ペルーとのFTAに関しては賛成を表明し、米下院本会議も同日、ペルーFTAを承認した。上院も年内に承認する見通しだ。議会多数を握る民主党が要求してきた労働者の権利保護と環境保全の条項追加などで改善が見られたと判断したためだ。

 ところが、米国にとっては北米自由貿易協定(NAFTA)以来の大型通商協定である米韓FTAについてクリントン議員は「米国の自動車メーカーにとって対等な競争環境を作り出さない」と指摘、自動車分野の市場開放が不十分として反対した。

 コロンビアでは労働組合幹部が暗殺される事件が相次いでおり、クリントン議員は「組合活動家への弾圧の歴史を憂慮している」とウリベ政権の対応を批判。パナマについても米政府が1992年の米兵殺害の嫌疑をかける人物が国会議長に選出されたことから「支持できない」としている。

 クリントン議員の発言は、ペロシ下院議長ら民主党指導部の意向を踏襲したものだが、アイオワ州での党員集会まで2カ月を切った今のタイミングでのFTA批判は、FTAの拡大で安い外国製品が流入することに危機感を覚える労組などの支持を得て、大統領候補の指名獲得に向けた態勢を固める狙いがある。

 米国内では景気減速を反映して「グローバリゼーションは米国の労働者・中間層に対する挑戦」(米紙ワシントン・ポストのコラムニスト、ハロルド・メヤーソン氏)という保護主義的空気が強まっている。さらに、FTAについては、同じく民主党の大統領候補を目指すエドワーズ元上院議員が全面的に反対し、クリントン議員のあいまいな姿勢を批判してきた。

 これに対し、ブッシュ政権は、FTA批准が失敗すれば「米国は約束を守らないとのメッセージを送ることになる」(ライス国務長官)と危機感を訴えているが、民主党が態度を変える見通しは暗い。

広告
イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2007 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。