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診療報酬:08年度に引き下げ 財務省が方針固める

 財務省は5日、医師の給与などに充てる診療報酬を08年度に引き下げる方針を固めた。08年度予算の概算要求基準(シーリング)では、少子高齢化に伴って増え続ける社会保障関係費を約2200億円圧縮することを決めており、「確実に達成するには、大幅に増加が見込まれる医療分野の見直しは不可欠」と判断した。日本医師会は「過去の厳しいマイナス改定で医療崩壊が現実化している」と大幅引き上げを求めており、改定率が決まる年末に向けて調整が難航しそうだ。

 財務省が5日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で示した試算によると、デフレが始まった98年度を起点に、07年度までの人件費(人事院勧告)と物件費(消費者物価指数)の推移をみたところ、人件費と物件費の加重平均は4.4%減になった。一方、薬価改定を除いた診療報酬本体は0.8%減にとどまっており、財務省は「近年の賃金や物価の下落を十分反映できておらず、引き下げの余地はある」と求めた。

 財政審で異論はなく、今月下旬にまとめる建議(意見書)に盛り込む。国民医療費(患者負担含む)は06年度は約33兆円で、25年度には56兆円に増加する見通しだ。医師などの人件費はそのうち約5割を占めている。

 日本医師会は10月30日、地域医療支援や医療安全対策、医療の質確保の費用として5.7%の診療報酬引き上げを求めた要望書をまとめており、今回の財務省の方針に対する反発が予想される。診療報酬は1%引き下げると医療費ベースで約800億円の削減につながり、前回の06年度改定では過去最大の3.16%引き下げた。次は08年度が改定期となる。

 医療分野では医師不足など深刻な問題も多く、財務省は、診療報酬は引き下げるが、今年5月末にまとめた政府・与党合意の「緊急医師確保対策」に基づき、地方に必要な医師の確保などは行う方針だ。【須佐美玲子】

毎日新聞 2007年11月5日 20時43分

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