10月30日に行われた福田・小沢党首会談について、与野党から様々な発言が出ている。与党内部では「解散、総選挙か」また「大連立か」といった噂が飛び交かい、党首会談から外された公明党は、幹部クラスが不快感を示している。 また民主党内では、当初「わが党を攻撃するための総理や与党の謀略か」といぶかしむ声も出ていた。 しかし会談後、小沢民主党代表は30日の民主党の党役員会で、 「大連立や解散、総選挙、国会の会期延長など政治的話は一切なかった」 と強調し、 「福田総理は、テロ新法案などいろんな問題で行き詰まっているようだ」 と説明、 「どうも政府は、判断能力がなくなってきているのではないか」 とも指摘した。 ところで現在の日本の政治は、幕末における「徳川幕府」ならぬ「自民党政権」と、「薩長連合」ならぬ「民由連合(現民主党)」との決戦の様相を呈している。 「徳川幕府」最後の将軍である徳川慶喜は、 「薩長との決戦を覚悟で江戸を火の海にするのか、江戸城を無血開城し政権を返上するか」 という判断を迫られた。 結局、将軍徳川慶喜は「江戸市民を苦しめることになる薩長との決戦」を避け「政権返上」という賢明な選択をした。 いま福田総理も「ねじれ国会」で、民主党と戦い「国民に迷惑をかける」のか、民主党に「政権を渡す」のかという瀬戸際に立っている。 ところで福田総理が、難しい時期に党首会談を呼びかけた狙いは何だろうか。 260年も続いた徳川幕府の統治機構が腐敗していったように、現在の自民党の長期政権下においても、厚生労働省や防衛省の不祥事に見られるように政治、行政システムが完全といっていいほどの、制度疲労をきたしているのは間違いない。 恐らく「政権交代」が無ければ、日本の政治と行政をもう1度、正常に戻すのは不可能である。 福田総理も政治、行政の機能を回復させ、正常化するには1度、組織を壊して再建する方がよいと考えているかもしれない。 また「ねじれ国会」での自民党と民主党の激突は、決して日本のためにならないと考え、さらに民主党と自民党では、基本的理念や政策は殆ど変わらないので、政権交代しても混乱は少ないと見ている節がある。 もし福田総理が賢明な政治家であれば、自民党最後の将軍「徳川慶喜」になるかもしれない。一方薩長連合ならぬ民由連合は、旧自由党の小沢一郎が西郷隆盛、旧民主党の菅、鳩山が長州の木戸孝允、伊藤博文に相当するのだろうか。 そして、今回の「党首会談」は、福田幕府が薩長連合の民主党に江戸城を引き渡すセレモニーの始まりかもしれない。 ところで、幕末には幕臣でありながら、幕府に引導を渡した勝海舟が、政権交代のキーマンであった。現在、自民党の中に勝海舟のような「天下国家」を考え、自民党に引導を渡す政治家がいるのだろうか。先日マスコミは、小沢民主党党首と自民党の与謝野馨前官房長官が囲碁を指したことを報じていた。 小沢氏と気軽に話せ、かつ福田総理にも直言できる人材は、自民党内では与謝野氏くらいだろう。ひょっとすると、現代の勝海舟は与謝野かもしれない。 いずれにしろ11月2日に行われる2回目の党首会談では、解散、総選挙や政権交代に向けた話し合いが行われる可能性もあり、そうなれば来年には民主党政権による平成維新が始まるだろう。
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