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亀田家を増長させた亀田擁護メディア
「あんなにボロクソ書いて酷いじゃないか!」
筆者は、亀田兄弟が登場した過去の取材現場で、あるスポーツ紙の記者から、こんな抗議とも受け取れる言葉を投げられたことがある。
亀田家に関する厳しい記事を何度も書いてきたことで、筆者は今や父の史郎氏から直接取材拒否を言い渡される状況だ。しかし当時は、まさか顔見知りの同業者からクレームを受けるとは思わず、とても驚いた記憶がある。
ただ、それも今回、“そういうことか”と納得。その記者は亀田家が反則問題で追及され、報道陣から逃げている最中に史郎氏の独占インタビューに成功。それまでも、亀田家寄りの記事を書いてはいたが、この騒動の渦中に、亀田家の自宅に招き入れられている時点で、“亀田家広報”といえるような立場になっていたのだ。
個人的にはその記者を責めるつもりはない。こうした“収穫”のため、日頃から傲慢な関西弁のトレーナーのご機嫌取りを続けたのだろうから。
また、取材を拒否されるぐらいなら、御用聞きに徹して独占情報を入手しよう…と思ったのは、この記者だけでなく、いくつかの媒体が明らかに亀田家寄りとなった。
そうしたなかで、過去の興毅のノンタイトル戦では、興毅の「苦戦」と書いた番記者が、史郎氏に怒鳴られた話さえ表になっているほか、同じスポーツ紙でも、亀田取材を許される記者と拒否される記者もおり、亀田取材を続けるには、ある程度のゴマすりも避けられない部分があったのだろう。
とはいえ、世界戦直前には、あまりに偏った内容で、内藤大助サイドを「事実と違う」と怒らせた記事もあったほか、デビュー直後の亀田興毅が、世界ランカーのタイ人をスパーリングで骨折させたと報じたスポーツ紙もあったが、当のタイ人選手は「まったくのデタラメ」と反論している。
亀田家に厳重処分が下った記者会見では、そんな番記者の1人が、「反則をした内藤選手に処分はないのか?」と全く見当外れの質問をしていたが、こうなると、もはや立派な“亀田ファミリーの一員”にも見えてしまう。
先の亀田家の謝罪会見では、亀田家寄りの記者が、最初に大毅に話をふり、その直後に大毅が退場。できすぎたタイミングは“出来レース”だったことさえ疑わせる。
TBSの明白な亀田寄りの実況中継にも失笑したが、こうした亀田擁護メディアにも、反則暴走を助長した責任の一端はないだろうか。
(格闘技ジャーナリスト・片岡亮)(2007.10.23紙面掲載)