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回復遅れる地方百貨店 福岡地区と業績格差広がる (1)
 


 百貨店の業績回復が遅れている。九州の主要7百貨店のうち、前期は井筒屋を除く6社が減収になった。今期も回復力は鈍く、増収確保は不透明だ。

 少子高齢化による需要の成熟化に加え、地方になるほど景気回復が遅れていることが響いている。

 ゼロ成長下で利益をどう出していくかが各社共通の課題だが、収益力格差はむしろ広がる傾向にある。


■ 増収は7社中、井筒屋のみ

「主力客層である中間所得層の購買意欲が鈍い。メディアで連日報道される年金問題が影響しているのかもしれない」
 と渋い表情なのは福岡県の百貨店幹部。5月の売上は前年同月を2%下回り、6月も上向く兆しは見られないという。

 このほど出揃った九州地区の大手7百貨店の前期決算(別表)によると、井筒屋を除く6社が減収になった。0.9%増とわずかながら唯一増収を達成した井筒屋も、3カ月にわたって実施した子会社・博多井筒屋の閉店セールによるもので、これが無かったら減収だった。

 岩田屋は前期から親会社伊勢丹に合わせ決算期を3月に変更したため、6カ月決算となったが、単体ベースの前年同期比は0.8%減で、計画を1.0%下回った。連結ベースの前年同期比は算出してないが、やはり計画を1.0%下回った。ただ、本店は競争の激しい天神地区で3百貨店中、0.2%増と唯一増収を記録した。

 博多大丸、三越福岡店とも売上を落とした。両社とも、暖冬で冬物衣料が不振だったのと、年明けからの博多井筒屋の閉店セールの影響を理由に挙げている。三越は小規模のワゴンセールを辞めているのも響いたとしている。

 減収幅は地方ほど大きい。大分のトキハは4.3%と、減収幅が06年2月期の1.7%より広がった。02年2月期以来減収が続いており、5年間で150億円弱も売上が減った。県の産業が半導体などを除いて農業と建設業に依存し、景気回復が遅れていることに加え、若者が福岡に流出。一方でファミリー層は郊外の商攻勢をかけるイオンを迎撃するため、2000年12月大分市郊外わさだに大型投資をして郊外型ショッピングセンターを開設したが、本店の売上が落ちるという皮肉な結果になっている。

 トキハの営業、経常損益は経費削減が効いて増益を確保したが、減損会計を適用したため、17億円強の最終赤字に転落した。


■ 郊外型商業施設に食われる

 鶴屋百貨店も郊外型商業施設の煽りを受け、2.5%の減収に。
 熊本県ではイオン、イズミによる集中豪雨的な郊外型SC開設ラッシュが続き、この影響で熊本市中心商店街の客数は大幅に落ち込んでいると言われる。鶴屋は新館を建設して対抗したが、開業効果の一巡した04年2月期以降は減収が続いている。前期の経常利益は販管費削減で10%の増益を確保した。

 山形屋は5.1%減と2期ぶりに減収に逆戻りした。減収幅は7百貨店中最大。JR鹿児島中央駅に開業した大型複合施設「アミュプラザ」に客を奪われたことが響いた。アミュプラザはシネコンやレジャー、飲食施設を備え、ターミナルの特徴を活かして広域から集客している。
 経常利益は2.6倍強に急増したが、売上高比率はわずか0.4%。当期純利益は900万円と、かろうじて黒字を確保しているにすぎない。

 地方百貨店は地域の経済基盤が弱く、景気回復の恩恵が少ないうえ、異業態との競争激化もあって業績低迷から脱け出せないでいる。これらに加え、体質改善の遅れも指摘されている。大丸や高島屋、伊勢丹の中央大手がいち早く経営改革に着手、経費構造にメスを入れ、効率経営に脱皮したのに比べ、老舗の古い体質を残し、高コスト体質のままなのが実情。

 トキハの売上高人件費比率は05年2月期で11.1%もあった。売上高販管費比率は25.2%にも。販管費率はスーパーを上回り、利益が出る構造になってない。山形屋も同様で、トップだけは若返っても、幹部や社員は高齢化が進み、平均年齢が上昇している。おっとりした社風の会社が多く、危機感の乏しさも指摘される。

九州大手7百貨店の前期業績
 
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
井筒屋
112,364(0.9)
"2,456(0.4)
1,603(40.3)
▲307(-)
104,000(▲7.4)
2,800(14.0)
2,000(24.8)
4,800(-)
岩田屋
56,414(-)
1,346(-)
1,433(-)
889(-)
107,000(-)
1,740(-)
1,570(-)
940(-)
博多大丸
76,064(▲1.5)
5,208(1.1)
4,759(▲0.5)
1691(▲39.3)
78,346(3.0)
5,416(4.0)
鶴屋百貨店
68,440(▲2.5)
1,440(10.0)
880(53.0)
70,000(2.3)
1,700(18.1)
1,000(13.6)
トキハ
63,685(▲4.3)
1,326(3.4)
667(19.9)
▲1714(-)
64,000(0.5)
1,047(▲21.0)
402(▲29.7)
山形屋
56,774(▲5.1)
230(164.4)
9(9.2)
56,150(▲1.1)
320(39.1)
三越福岡店
44,936(▲2.4)
46,858(4.6)
【注】 単位百万円。上段前期実績、下段今期見通し。
カッコ内前年比増減率%、▲減または欠損、-比較できずまたは未公表。
岩田屋は決算期3月変更で6ヶ月決算。井筒屋、岩田屋は連結。


(つづく)



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