事件の真相解明は大切であるが、世の中には裏と表があり、単純にどちらがよいと言いにくい場合もある 例えば、寺越事件である。政府が初めて「拉致の可能性あり」と見解を示した中に「寺越武志さんは北朝鮮で生存している可能性が高い」とあった。見解自体は一部評価しても、この表現には驚いた人が多かったに違いない 五年前に一時帰国したのは武志さんではなかったのか。母親が四十数回も訪れるのは北朝鮮に暮らす息子の元でないのか?。白々しいばかりの政府見解だが、そこに日朝交渉の難しさや拉致問題解決の裏と表が垣間見える 能登を訪れたのは北朝鮮労働団体の一員であって、十三歳で「遭難」して北朝鮮で成人した日本人ではなかったということか。事実はどうあれ、武志さんの生存は公式には確認されていない事になっているのであり、拉致と認められない板挟み状態があったのは事実である。先の回答は苦肉の表現だったとの分析もある が、国民に見えているものを見えないと言うのは拉致問題だけだろうか。このような「官の非常識」を簡単に肯定すれば、他の非常識がとめどなくはびこり続けよう。
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