現在石油ファンヒーターを生産供給しているメーカーは4社ありますが、その性能の基本となる燃焼方式には、3つの異なったやり方があります。
[ブンゼン気化式(ブンゼン式)]
当社を含め2社が採用しています。気化器という装置で灯油を加熱し、バーナに加熱された灯油気化ガスを吹き込み、あとはガスバーナのように燃焼させます。
その最大の特長は「自律燃焼」と呼ばれる燃焼の安定性です。気化器から噴出される気化ガスの量に応じ、バーナに引き込まれる燃焼用空気が自動的にバランスされるブンゼン気化式は、火力の大小にかかわらず常に安定した青炎燃焼が行えます。
イラストはダイニチの家庭用ファンヒーターを模したものですが、他社では気化部とバーナ部が一体型のものもあります。
[油圧送霧化式]
現在1社が採用しています。この呼び方は業界で統一されたものではなく、「ポンプ圧送霧化式」「ポンプ気化式」など、他の呼び方をする場合があります。
(単に「気化式」と呼ばれる場合もありますが、JISの分類では、当社などが採用している「ブンゼン気化式」も気化式の仲間ですので、これは正確とは言えません。)
原理としては、熱せられた気化筒に空気と灯油をそれぞれファンとポンプで送り込み、気化混合したガスを上部のバーナで燃焼するものです。
空気量と灯油量のバランスを保つために高度な制御が用いられています。
[ポット式]
ポット式燃焼は業務用の大型ストーブ(煙突付き)では一般的ですが、家庭用石油ファンヒーターでは1社が生産しています。
マットの敷かれた蒸発皿に油をたらし、ヒータで直接加熱・点火します。
実際の製品では、例えば同じブンゼン気化式であってもバーナなどの工夫は各社様々で、非常にバラエティーに富んだものとなっています。
もちろん油圧送霧化式、ポット式においても多くの優れた特徴があり、よいライバル関係にあります。
灯油を安全に、快適に燃やす……。室内開放燃焼という困難な技術に挑戦している生産メーカーの飽くなき競争が、現在日本では最も支持されている暖房機を育てていると言えるのではないでしょうか。 |