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■社会

長期病欠元職員 不当給与2200万円 返還2000円 保釈金差し押さえられず 奈良市

 奈良市の長期病欠問題で懲戒免職となり、不当に受け取った給与約2200万円の返還請求訴訟で全面敗訴が確定した元職員(43)=職務強要罪で有罪確定=について、返還が一向に進まず、市がこれまでに回収できたのはわずか約2000円にとどまっていることが7日、分かった。市はいったん保釈金の差し押さえ方針を決めたが、保釈金を支出したのが本人ではなかったため断念したことも判明。目ぼしい資産はなく早期回収は困難な見通しで、今後、市の対応が問われそうだ。

 民事訴訟の判決などによると、元職員は平成13年1月から18年10月の間に、内容虚偽の診断書を繰り返し提出。計10種類の病名で、給与が全額支給される病気休暇を46回、8割支給の病気休職を2回取得し、実質8日しか出勤しないまま不当に給与を受け取っていた。

 市は今年4月、この間に支給された計約2200万円の返還を求めて奈良地裁に提訴。元職員は第1回口頭弁論に出廷せず、答弁書も提出しなかったため即日結審し、地裁は7月、市側全面勝訴の判決を言い渡して、同月確定した。

 しかし、元職員からはその後も返還の意思表示すらなく、市は職務強要事件の保釈金500万円や預貯金の差し押さえ命令を求める申し立てを地裁に行う方針を決定。7月31日に開かれた市議会委員会でも、その意向を表明した。

 ところが、双方の代理人同士が交渉を進める中で、保釈金は本人が支出したものではなく、差し押さえが行えないことが判明し、市は申し立ての方針を撤回。さらに、税務署に対し、元職員が不当に受け取った給与にかかる所得税や住民税などの返還を請求したが、税務署からはいまだ回答がないという。

 市は元職員名義の3つの銀行口座は差し押さえたが、残高はわずか2299円だった。地裁に求めた財産開示でも、ほかにあてにできる資産はなかったという。

 (2007/11/08 7:44)

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