だが、ヤマトは佐川・日通と郵政の提携を意に介さない。「われわれは投函市場を次のターゲットにしている」(本間耕司執行役員)。
メール便は宅配便と異なり受領印やサインが必要ない。郵便ポストに投函して完了する通常郵便と似たビジネスモデルであり、規制緩和の暁には、いわゆる信書市場へ食い込んでいくことが可能だ。ヤマトは、昨年秋にメール便を実質値下げする一方、速達サービスも新たに追加した。
長く続いてきた信書・非信書紛争に決着をつけようと、総務省も法改正作業に着手。重量による線引きも検討中だ。しかし、郵便事業のリザーブドエリア(独占分野)が明確になれば、すでに民間が行っている事業範囲が狭められる懸念があるため、線引きは難航している。
競合他社は「ヤマトは低単価のメール便を伸ばせば、宅配便と食い合い、自分で自分の首を絞めることになる」と冷ややか。郵政民営化を前に民間の思惑はさまざまだ。