HERO’S KOREA(28日、ソウル・ジャンチュン体育館)、強さで浮かび上がった。昨年、大みそかのいわゆる「ヌルヌル事件」以来の復帰戦に臨んだ秋山成勲(32)=フリー=は、06年PRIDEウエルター級GP準優勝のデニス・カーン(30)=カナダ=を右アッパーで完全KO。格上と見られていた同階級では世界屈指の強豪に完勝し、有無を言わさぬ実力でひとまずみそぎを済ませた。HERO’S実行委員会の谷川貞治FEG代表取締役(46)は、Dynamite!!(12月31日・京セラドーム大阪)出場を確約した。
剣豪同士の決闘は一撃で決まった。1回前半はストレートやローキックをたびたびヒットさせたカーンが有利に展開したが、秋山が左ジャブで鼻を切り裂いたところで流れが変わった。
流血に続いてタックルを切られたカーンの表情が変わり、秋山にはそれを冷静に見て取る余裕があった。最後はコーナーに追いつめたカーンに右アッパー一せん。カーンは腰を落として立てなかった。秋山も「このような勝ち方は万に一つも想像になかった」と驚く、完ぺきな勝利だった。
在日コリアンから日本に帰化した秋山にとって、韓国は“第2の故郷”。世界のトップであることを証明した秋山は「いろいろありましたが、国民一人ひとりの力によって戻って来られました。わが国、大韓民国、最高!」と、韓国語でマイクアピールした。
昨年、大みそかの桜庭戦で、禁止されているスキンクリームを全身に塗布して戦い、無期限出場停止処分を受けた。今回、韓国からのラブコールで復帰を許され、実力で居場所を取り戻した。
谷川氏も「非常に素晴らしい勝ち方。だれも文句ないんじゃないか」と称賛し「Dynamite!!は決定だと思っている」と昨年に続く出場に当確マーク。相手についても「個人的な希望では吉田秀彦選手に出てきてほしい」と、消滅したPRIDEを主戦場としていた“柔道王”吉田の獲得を示唆する爆弾発言が飛び出した。
秋山自身はみそぎが済んだとの見方は否定したが、否定できない強さを見せつけたのは事実。果たして大みそかで秋山VS吉田の夢対決は実現するのか。いずれにせよ、だれが秋山を倒すかに今後の焦点は移りそうだ。