(cache) 団地妻ミハシ米屋アヴェ

「だめ！主人が、帰ってくる　わ・・！！」　　～団地妻　ミハシ　　お米屋　アヴェ～　その①

・とある穏やかな昼下がり・・・・

新婚ホヤホヤのミハシ、は「ムフ　ムフ　ムッフッ　フー・・・♪」

と、どんな音を付ければいいのか分からない鼻歌を歌いながら家事をしていた。

「オ、オレ、いや、ワタシ、家事は苦手だ、けど・・・愛するハナイ君の為に、頑張るんだ・・・！！役にたつ　主婦　にならなきゃ・・・！！」

ミハシは掃除をし、洗濯をし、夕食の下ごしらえをする。

奥手なミハシは同期が次々と恋愛、結婚していく中、なかなか人とうまく付き合えずにいた。すぐに自己嫌悪に陥り、自虐に走るミハシはあれでなかなか付き合い辛い。

そんなミハシを「主将タイプとして、放っておけねーーよ！！」といい抱きしめてくれたのがハナイ、だった。

同期の中でも特に目立っていたハナイ。　顔もよく、頭もよく、性格はやや難があるものの男らしく、女の子にモテモテだった彼がまさか、自分を抱きしめてくれるなんて・・・！！！

ミハシは信じられない思いで恋愛中もなかなかハナイの言葉を信じられずにいたが

「いちいち　特別なことみたいにビックリすんじゃねえ！これくらい、オレはお前が好きなんだから当たり前のことなんだよ！！」

とハナイは雨のなか、ミハシの背中に言ってくれた。ミハシは嬉しくて、嬉しくて・・・！！！

ハナイのプロポーズを受け、ミハシは会社を寿退社した。

ど派手婚をあげ、熱海で新婚旅行を楽しみ、初夜はウッハウハだった。

そして日本に帰ってきて、二人で夫婦として共に生きていく。

ミハシは幸せの絶頂期にいた。ハナイは今頃、会社で頑張って働いていることだろう。

「今日は、大事な　「お洒落ニット帽のデザイン会議」　があるって、言ってた　　もん、ね！お腹すかして、帰ってくる　から　美味しいもの、作んなきゃ・・・！」

すると、　　ピンぽーーーーーーんん・・・・・・・　といやに禍々しくチャイムが鳴り響いた。

「はーい？」

ミハシがドアを開けると

「こんにちは！アヴェ米穀店です。ご注文の『新米　腰光１０ｋｇ』お届けにあがりました。」

と、そこには馴染みのお米屋さんが。

「あ、アヴェ君！あ　りがとう！」

アヴェ米穀店とは、ミハシとハナイ夫妻がこの団地に越してきて以来の付き合いだ。毛髪を気にしてか（いや、彼は別にハゲではないのだが）ハナイは食べ物に大変こだわる男で、野菜でも肉でも魚でもローションでも、そこらへんのスーパーで買うことは嫌がるのだ。

米もこうして、「魚沼産　　　腰光　」をわざわざ届けさせる。

「そこに、置いて、　ください。」

ミハシが笑顔でそう言うと

「いえいえ、奥さん。中まで運びますよ。重いですから。」

とアヴェは靴を脱ぎ始めた。

「ア、アヴェ君・・・！いい人・・・！！」

ズカズカと部屋に入り込むアヴェの背中をミハシはキラキラ輝いた瞳でみつめた。

「ここらへんでいいですか？」台所にアヴェが米を置く。

「はい、ありがとう　ございます！助かり、ました！ふひ！」ミハシの無邪気な笑顔をアヴェはじい・・・っと見つめる。

「ところで奥さん、体重は毎日測っていますか？」唐突にアヴェが聞いてくる。

「え・・・・？体重？？い、や・・・最近はあんま　り・・・」

「毎日チェックしろっつってんだろ。」

何故米屋が自分の体重を気にするのか分からない上にそんなこと言われた覚えもないのだが、何かしら抗い難いものを感じミハシは慌てて脱衣所に置いてある体重計を目指す。

「えっと・・・」　そっと体重計に乗ると

「駄目だよ、奥さん。体重をはかるときは、脱がなきゃ。」

と、背後からアヴェが服を脱がしにかかる。

「え！い　や、自分、で脱げます！！」ミハシがそう言うと　

「ふーーん。」アヴェはどっかりとその場に座り、尚且つ持参の弁当（白米のみ）をひろげ、ミハシをガン見しながら食べ始めた。

「あの、恥ずかしい・・・から、あっちに　　行ってて　下さい・・・！」（なんでこの人、オレ見ながらご飯食べてんの？？）

ミハシは体重計に片足を乗せた状態でモジモジしてしまう。

「奥さん、いい体幹してんな。いっつも角材に乗って練習してるの？」　

確かにミハシは体重計に片足立ちのまま、微動だにしていなかった。

「ふへ？体幹？・・・・いや・・・あへ・・・・。」

妙に恥ずかしがるミハシに変態的、いや、本能的に何かを感じ取ったアヴェは更につっこむ。

「なんかやってるから、そんなにバランスいいんだろ！言えよ！」（ちなみにミハシはあくまで客である）

「えっと・・・・・あの・・・・」ぐすぐすと恥ずかしがりながらも押せば流れるミハシ・クオリティー、

「ハ、ナイ君・・・が・・・・片足立ちバック・・・す　き　だから・・・。それで・・・・・きっと・・・・・体幹が・・・鍛えられた・・・と・・・・。」

顔を真っ赤にして新婚夫婦のベット事情を語りだす。

「へえ。片足立ちバックねえ。あのハゲ、そんな体位が好きなのかよ。」（ちなみにハナイはあくまで客である）アヴェの瞳にメラメラと闘志の炎が燃え上がる。

「オレだって副主将だ！あいつにばっかりいい思いはさせてやんねえ！！ミハシ、オレがお前をホントの淫乱団地妻にしてやる！！

そのかわり、オレの言うとおりに　受けろよ。首振る人妻は　大嫌いなんだ」

至って理不尽、至って自己中心的、至って変態、ではあるがミハシは何故かアヴェの熱いまなざしから視線を逸らすことが出来なかった・・・・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く　　ＭＥＮＵ