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嗅覚回路断ったマウス、ネコ君怖くないよ 東大など研究

2007年11月08日08時00分

 においに関する特定の神経回路を断つと、マウスもネコを怖がらなくなる――そんなことが東京大学理学部の小早川高特任助教らの研究でわかった。8日発行の英科学誌「ネイチャー(電子版)」に掲載される。においをかいだ時にどのような反応をするのかは、これまで後天的に決まるものと考えられてきた。だが実際には、とっさの反応を決める先天的な神経回路が脳内にあり、これが断たれるとにおいを検知しても正常な忌避行動をとれなくなるのだという。

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ネコに抱かれるネズミ。先天的な行動を取る脳の回路が断たれると、怖がらない=小早川高特任助教提供

 小早川特任助教らは、マウスの遺伝子を組み換えることで、特定の神経回路を断つ方法を開発。鼻の穴の、嗅(きゅう)細胞というにおいを感知するセンサーから脳に信号が伝わる仕組みを制御し、反応や行動を調べた。

 においの信号を受け取る脳の領域(嗅球)は、上下二つに分かれる。下の領域の働きを止めて上の回路だけにした場合、生まれてから一度も天敵を見たことがなくても、そのにおいをかいだだけで逃げたり、すくんだりという忌避行動を示した。逆に下の回路だけにしたマウスでも天敵のにおいを認識はできるが、痛み刺激を加えて学習させない限り忌避行動は起こらず、ストレスもあがらなかった。

 上側は先天的に逃避などの反応を決めており、下側は学習の中で反応や行動を決めると考えられるという。

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