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2007年11月8日

 北陸でも被害者が出たが、腕輪を付けると血液がさらさらになる、とだました一味は二十四億円もの荒稼ぎをしていたという。顕微鏡画像を操作した当世風の詐欺である

この手の犯罪が摘発されるたび、すきを見せてだまされる方も悪い、という声が出る。土地の言葉で「そんな飯(まま)のうまい話はない」と言う。そうなのだろうが、天下りの美味を味わう高級官僚はいくらもいる。証券市場を舞台にぬれ手にアワの富を得た虚業家は、いっとき時代の英雄ともてはやされた。当節は飯のうまい話も転がる

かつての縁日の屋台を連想する。掘り出し物と並んで、いかがわしい品も売られていた。美しいピンク色のヒヨコ、傷口がたちまちふさがる塗り薬…。大人の怪しげな世界をのぞけるのも縁日の楽しみであり、時に、なけなしの小遣いをはたいて、高い「授業料」を払わされた

偽装表示が騒がしい。規則破りは許されないが、刻字された日付などに頼るあまり、においをかぎ、味見するといった自らの危険察知の感覚を、私たちは急速に鈍らせてはいないだろうか

昔の縁日よりも、いかがわしいあれこれがあふれる世間である。


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