舛添要一厚生労働相は7日夕、東京都内で薬害C型肝炎訴訟の原告と初めて対面した。原告は和解に向けた速やかな対応のほか、▽原告・弁護団との話し合い▽約7000の血液製剤の納入医療機関名公開▽国民への検査・検診の呼び掛け--を申し入れた。舛添厚労相は「やっと皆さんにお会いできた。心を一つにまとめて、何とか解決していきたい。1カ月以内に必ず頂上(解決)を目指したい」と語った。
◇「一刻の猶予もない」原告ら訴え
提訴から5年。大阪高裁が7日、和解を勧告し、薬害C型肝炎訴訟はようやく解決へ向け動き出した。約350万人に上るとされるウイルス性肝炎患者。肝硬変や肝がんで毎日120人が死亡し、原告も5人が解決を見ないまま亡くなった。「私たちには一刻の猶予もないんです」。命を削って闘ってきた原告たちは、念願の舛添要一厚生労働相との面談で涙ながらに早期解決を訴えた。
原告側と舛添氏との面談は、衆参の厚生労働委員会に属する自民、公明、民主の3党議員が超党派で「和解勧告を受け、全面解決のため早急に原告・弁護団と話し合うべきだ」と要請したのを受けて実現。午後6時15分から約35分間、東京・永田町の衆院第一議員会館で行われた。
会場のテーブルを囲んだ全国の原告代表20人を前に、舛添氏は冒頭、「やっと皆さんにお会いできた。お手紙を全部読み、気持ちは分かっている。何とか解決したい。全力をあげる」と語り、言葉を詰まらせた。
その後、面談は非公開で行われたが、原告10人が約2分ずつ被害を訴えた。原告側によると、舛添氏はうなずきながらメモを取っていたという。
原告団は面談後、厚労省で記者会見。昨年6月の大阪地裁判決以降、勝訴判決を重ねる度に厚労相への面談を求めてきたが、「係争中」を理由に拒否され続けた。全面解決を求める要請書を舛添氏に手渡した原告団代表の山口美智子さん(51)は「大臣には、原告で線引きをすることなく全員を救済することと、国が責任を認めて謝罪する点は譲れない、と訴えた」と説明。「今日、ようやく扉が開いた。全面解決をこの胸に勝ち取るまで頑張りたい」と語った。
一方、与党がこの日、B・C型肝炎患者に対しインターフェロン治療の自己負担を月1万~5万円とする救済策をまとめたことについて、大阪訴訟原告の桑田智子(さとこ)さん(47)は「(民主党の案より)自己負担の額が高く、治療を受けられる人が限定されるのではないか。もっと負担を軽減してほしい」と話した。全国弁護団の鈴木利広代表も「与党の救済策には肝炎の感染を拡大させた国の責任という視点が欠けている」と指摘した。【江刺正嘉】
毎日新聞 2007年11月7日 20時31分 (最終更新時間 11月8日 0時00分)