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混合診療、「禁止」は法的根拠なし 東京地裁判決

2007年11月07日

 患者に公的保険が適用される保険診療と、保険が適用されない自由診療を併せて受ける「混合診療」を原則禁じた国の政策が合法かどうかが争われた訴訟の判決で、東京地裁(定塚誠裁判長)は7日、「混合診療の禁止に法的根拠はない」との判断を示した。国は患者が混合診療を受けた場合、「一体化した医療行為」とみて保険適用分の診療費も自己負担としているが、地裁は保険適用分は給付を受ける権利があるとした。

 混合診療については「医師と患者に治療の選択を任せるべきだ」との意見と、「安全を保証できない治療まで行われる」などの反対論がある。そもそも国の禁止措置に法的根拠がないとする判断は、こうした議論の前提を揺るがすことになり波紋を広げそうだ。

 訴えていたのは、神奈川県藤沢市の清郷伸人さん(60)。がん治療のため、保険が適用されるインターフェロン療法に加え、適用外の療法を受診。全額負担を求められることから、国の政策は健康保険法に違反すると主張し、インターフェロン分は受給の権利があることの確認を求めた。

 判決は同法の規定について「個別の診療行為ごとに給付対象かどうか判断する仕組みを採用している」と判断。「国が複数の行為を一体とみて、混合診療を受けると給付対象分も給付が受けられないと解釈する根拠は見いだし難い」と述べた。

 国側は、高度な先進医療などで混合診療を例外的に認める制度で給付対象が限定されていることから、それ以外は給付対象にならないとも主張した。判決は、制度上の給付対象が「給付に値する組み合わせを全体的、網羅的に見て拾い上げたものではない」として国の主張の正当性を否定。保険診療分については給付を受ける権利が清郷さんにあると結論づけた。

 厚生労働省保険局長の談話 極めて厳しい判決だ。今後の対応は関係機関と協議の上、速やかに決定したい。

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