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原田武夫国際戦略情報研究所公式ブログ
――世界の潮目を知るために。
 

小沢一郎民主党代表の「辞任表明」と「前言撤回」―――オザワが恐れるのは何者か?
〜米国による日本メディア監視システムの実態〜(続編)


私の手元に今、「Open Source Intelligence」という米国陸軍省が作成したテキストがある(FMI 2−22.9 December 2006. Expires December 2008)。「For Official Use Only」、すなわち公用と書かれており、いわば部外者は見てはならないとされているテキストである。その中にたとえば、次のような記述がある。

In February of 1941, the US Government took the first step in creating an open source mission-specific organization by creating the Foreign Broadcast Monitoring Service, dedicated to “recording, translating, transcribing, and analyzing certain radio broadcast programs” from foreign transmitters, primarily Germany and Japan. Eventually residing in the CIA, that organization, which came be known as the Foreign Broadcast Information Service, developed into a service of common concern that for almost 65 years provided products derived from foreign open sources to consumers across the US military and Government. …. In response to language in the Intelligence Reform and Prevention of Terrorism Act of 2004 and recommendations in the Silberman-Robb Commission calling for more effective use of open sources to support intelligence, the newly established DNI created the DNI OSC at CIA on 1 November 2005.

要するに国家情報長官(DNI)の下に、公開情報センター(OSC)が置かれるようになったということなのだが、そのOSCが米国のインテリジェンス・コミュニティーに対して提供している「成果物」として次のようなものがあると、このテキストは説明している。

Media Aids−Commentator Profile. Commentator profiles provide detailed information on one or more media personalities in a particular country, outlining their influence, background, views, and biases on key topics. The focus is on personalities who speak or write about issues of importance to the United States or who have influence with their government, businesses, or large segments of the general population.

何と、世界の国々の放送メディアに登場する司会者・コメンテーターたちについて事細かにファイリングしているというのだ。とりわけ、その影響度や、対米姿勢は徹底してチェックされていることがここからもお分かりいただけるのではないだろうか?―――ここに、もはや20年近くもテレビ・メディアを牛耳っている御仁たちが、視聴者の飽きはそっちのけで、画面の向こう側に居座っている本当の理由がある。

まとめていえば、日本のメディアは米国によって徹底して監視されているのである。
かつて、作家・江藤淳は第2次世界大戦における敗戦後、占領統治を行ったGHQの下で、約8000人近くもの英語の話せる日本人が雇用され、彼らを使った日本のメディアに対する徹底した「検閲」が行われていた歴史的事実を検証した。しかし、その成果を示した著作「閉ざされた言語空間」(文春文庫)においては、この8000人近くの行方はもはや知れないという形で閉じられている。あたかも、米国による日本メディアに対する監視とコントロールが1952(昭和27)年のGHQによる占領統治の「終焉」とともに終わったかのような印象すら受ける。

しかし、現実は全く違う。「彼ら」は引き続き、日本メディアを監視し続けているのである。しかも、その主たる部隊の一つは神奈川県・座間市にあり、そこで現実に77名もの「日本人」が米国のインテリジェンス・コミュニティーのために働き続けているのである。そして驚くべきことに、彼らの給料を「在日米軍に対する思いやり予算」という形で支払っているのは、私たち日本人なのだ。

「監視」しているということは、同時にインテリジェンス・サイクルの出口、すなわち「非公然活動」も展開されていることを意味する。
米国から体制転換のためのシナリオを吹き込まれた小沢一郎氏が、思いのほか、バッシングを続ける日本の大手メディアに面喰い、怒り、やがて罵倒したとしても無理はなかろう。何せ、「シナリオの番狂わせ」に他ならないのであるから。

だが、問題はなぜこうした「番狂わせ」が起きたのかにある。


米国が仕掛ける「世代交代」を注視せよ

「番狂わせ」の犯人は誰か?―――そう考えた時、論理的必然として最後に思いあたらざるを得ないことがある。それは、以上で何の留保もなく述べてきた「米国」が、実はそれ自身、今や一枚岩ではないのではないかということである。

「シナリオ」を描いたのが一つの勢力。
そして、本来であればその実現にあたって決定的な役割を果たすべき機関が、もう一つ別の勢力によって乗っ取られ、逆噴射した。
当然、旧勢力の側は巻き戻しのために必死となる。そのため、それまで表に出さなかった駒まで使い始める。

こう考える中、今朝(7日朝)のテレビ朝日「スーパーモーニング」を見ていたら、普段はめったにテレビ画面には出てこない東京大学教授・御厨貴氏が映っていた。何やらしたり顔で、「連立政権構想」の出自について語る御厨氏。その内容よりも、ここのところ全く映像メディアには出ずに、もっぱら活字メディアやそれに付随する各種の「賞」の選考委員として、その筋では「権勢の人」であった御厨教授がテレビに顔を出したという事実そのものに驚いた。

また、思い起こせば週末、デイヴィッド・ロックフェラー氏も来日していたこののであった。表向きは著書「ロックフェラー回顧録」(新潮社)の日本語版刊行記念。だが、御年92歳の御仁である。
「なぜ今?」
「どうして日本?」
という疑問なくしては考えることができない。

そんな折、思い出したことがあった。

「米国の『奥の院』は世代交代のための準備を着々と進めている。金融資本主義自体が大規模なシステム転換をこの秋から遂げていく中、2012年までかけて、ゆっくりと日本、そして世界は人も、社会も大きく変えられていく。」


そんなメッセージを暗に顔に示しながら、明日の「システム」を担うべき中堅の日本人たちは、実は今、明日の「米国」を担う閥族集団に次々とリクルートされ、修養を積んでいる。彼らは基本的に日本では全く表に出ない存在だ。だが、着実に「奥の院」たちの持つパワーを受け継ぎ、次の「システム」を担うべく徹底した教育を受け始めているのである。

もはや、問題はブラウン管の中にあるのではない。
ましてや、何も知らずに右往左往する永田町に「日本の未来」があるわけでは全く無い。

「シナリオ」を信じ込み、狼狽することで、晩節を汚した政治家・小沢一郎氏と、それに与したオールド・タイプの日本人たちが仕切る日本は、今年末から「大崩壊」する。
その先にあるのは、いったいどんな「日本」なのか?

キーワードは・・・「世代交代」だ。

2007年11月7日
原田武夫記す


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