赤字経営に加え、医師確保難で運営の厳しさが増している辰野町と塩尻市共同の組合立両小野国保病院について、今後のあり方を考える検討組織が7日、発足する。同地区の医療を守るための将来像を模索して、病院を運営する辰野、塩尻両市町への提言を目指す。
同病院は常勤医師3人、病床数35床。今年度半期(4―9月末)の収支は約3880万円の赤字。前年同期に比べ赤字幅はさらに約1200万円拡大。年間の最終的な収支では8000万円を超える赤字が予想される。利用者も前年同期より約1700人少ない約11700人。病床利用率は前年より16ポイント下がり67.3%。昨秋から長期療養型病床を廃止した影響が大きいという。
一方、体制面でも将来的な医師確保の見通しは厳しく、医師の高齢化に伴い病院運営に要する医師数の維持が難しくなっている。
新設の検討組織・両小野国保病院経営研究会研究会は、両市町の同病院組合立議会の議員と行政担当職員、地元区長らで構成。病院の経営実態、将来見通しを把握し、どのような方法で病院の経営難に対処し、地域住民の健康を守り続けるか―という観点で将来像を考える。
研究はこれまでに、両市町の事務職員レベルで議論を経て作成した複数の素案を元に検討を積み上げ、地元住民への説明会を開いて民意のくみ上げも行う方針だ。
同病院の増沢秀行事務長は「運営は大変厳しい状況。しかし地元では病院としての存続を望む声が非常に強い。何とか両小野とその周辺地区の医療を守っていきたい」と話している。