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電気抵抗 ― 自由電子の流れにくさ度合い-2


 電気抵抗で、もうひとつ重要なものに抵抗率という単位がある。
 同じ断面積 1mm2 、長さ1m の導線でも材質によって電気抵抗値が大きく違ってくる:
img2_09.gif
同じ形状であっても、金は少し電気抵抗が大きく、鉄は銀の6倍程度の電気抵抗を持つ。鉄は意外にも金属の中では電気を通しにくい方である。

どの材質でも断面積が2倍になれば、電気抵抗が半分になり、長さが2倍になれば、電気抵抗は2倍になる。

電気機器には、銅の電線が多く使われるが、それは入手のし易さ(コスト)と、電気抵抗の低さにある。
銀は金属でも最も電気抵抗が低いが、銀の電線が無いのは、価格が銅電線の数10倍以上にもなるためである。

抵抗率は、材質によって固定であり、以下の式で電気抵抗を算出できる:
img2_10.gif または img2_11.gif
ρ:抵抗率
(ローと言う)
L:材質長
S:材質の断面積
 
材質毎の抵抗率を以下に示す:
img2_12.gif

1.59×10-8   10.00×10-8
軟銅 1.68×10-8   白金 10.40×10-8
2.21×10-8   すず 1.90×10-8
アルミニウム 2.65×10-8   20.80×10-8
タングステン 5.29×10-8   水銀 96.20×10-8
亜鉛 6.02×10-8  
ニッケル 6.99×10-8   〔導体の低効率/20℃〕
黄銅 8.00×10-8   〔単位:Ω・m〕

コンクリート 4.2×102   ポリエチレン 1014
大理石 107~108   エポナイト 1013~1016
木材 108~1010   琥珀 5.0×1014
ベークライト 1010~1012   パラフィン 1014~1017
陶器・磁器 3.0×1012   硫黄 1.9×1015
雲母 1012~1015  
ゴム 1013~1014   〔絶縁物の抵抗率/20℃〕
塩化ビニル 1014   〔単位:Ω・m〕

電線の電気抵抗計算の例〕
 直径 2mm 、長さ 15m の軟銅線の電気抵抗は?

 先ず電線の断面積を求める: 断面積 S = πr2 = 3.1416 ×(1.0 ×10-3 ) 2 ≒ 9.87×10-6
                   (rは半径なので直径の半分、πは、円周率 3.1416を示すことに注意。)
軟銅線の抵抗率 = 1.68×10-8
求める電線の電気抵抗  : R = ρ × (L ÷ S) = 1.68×10-8 × (15 ÷ 9.87×10-6) ≒ 0.02553 → 25.53mΩ

 抵抗率による区分で材質には、導体・半導体・絶縁体の3種類の区分がある。絶縁体は不導体といわれることもあるが、大抵は「絶縁体」と呼ぶ。
 導体は電気抵抗が低い材質、絶縁物は電気抵抗が高く、電気を殆ど通さない材質である。
 そして、その中間に位置するのが半導体である。珪素(シリコン)、初期の半導体材料でよく使われたゲルマニウム、酸化鉄、またここには出ていないが、セレンも半導体(104 Ω・m程度)である。

 また、抵抗率は材質自身の温度でも変わってくる。
 このうち、導体は、温度に比例して抵抗率は上昇する。しかし、その上昇度合いは材質によって異なる。
 また、半導体は、温度に反比例して抵抗率が変化する。即ち、温度が上昇すると抵抗率が下がる特性がある。
そして、半導体の場合は、導体よりも敏感に抵抗率が変化し、不純物の混入度合いでも大きく変化する。
 絶縁体における温度と抵抗率の関係はあまりよく判っていない。

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