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プライムタイムのアニメと深夜アニメのビジネスモデルはまったく別

add to hatena hatena.comment 170 users add to del.icio.us 21 users add to livedoor.clip 22 users [アニメ] 2007/10/30(火) PM1:50

ニコニコから消されるアニメのDVDは買うべきじゃない - 山に生きる[↑B]
 この記事は突っ込みどころ満載なんで詳しくは触れないけど、この記事のように経済産業省の資料を元に代理店と放送局が中抜きしてる! それが悪い!みたいな話を書く人が多い。
アニメ制作に関する資金の流れ/(経済産業省) ※PDFデータ

ニセモノの良心 : テレビ局はアニメのお金の中抜きをしているか?[↑B]
 でも、このブログで指摘されているように、あれはプライムタイムに放映されている番組のモデルで、キッズ・ファミリー向けの作品だ。現在のアニメで多いのは製作委員会方式で番組の枠を買ってDVDという映像商品を売るタイプのものだろう。それを一緒にして語ってもしょうがない。なお、下記の書籍のデータによれば、2005年は本数では映像商品を売るタイプの方が多いが、分数ではキッズ・ファミリータイプの方が多かった。

 アニメビジネスがわかる『アニメビジネスがわかる』
増田 弘道(エヌティティ出版 2007/07)
 アニメビジネスが気になる人はとりあえずこの本を読もう。いろいろな状況の作品があり、とにかく映像ビジネスは複雑だというのはよくわかる。数字が一杯出てくるので、整理するのに時間がかかるが。自分もいまいち理解できていないところがある。
 下記の文章は自分が書籍を読んで、理解した情報なので、間違っている部分があったら突っ込みを期待したい。

 この書籍によれば、各局の枠代と呼ばれる番組提供料の基準額は下記の通り。番組提供料は電波料(いわゆる波代)、番組製作費、設備費、ネットワーク局に流すネットワーク費をまとめたもの。
※上の説明は書籍を参考にしたのだが、ネットで調べると枠代と電波代を一緒のように扱っている説明もあった

  • 全国ネットワークでプライムタイム、または土日午前中の放送枠
    • 月額8500万円(1回2125万円)
  • 準全国のTXNネットワークでプライムタイム、または土日午前中の放送枠
    • 月額3250万円(1話812.5万円)
  • 関東キー局単独深夜枠
    • 月額1350万円(1話337.5万円)
  • 準キー局(YTV、MBS、朝日放送など)単独深夜枠
    • 月額200万円(1話50万円)
  • 首都圏U局の深夜放映枠
    • 月額150万円(1話37.5万円)
  • 北海道、福岡の深夜放映枠
    • 月額125万円(1話32.25万円)
  • 北海道、福岡以外の地方局の深夜放映枠
    • 月額75万円(1話18.75万円)

 この料金を見れば、どうして深夜、そして首都圏U局にアニメがいっぱい増えたのかというのがよくわかるだろう。首都圏U局の場合、複数の局で流れることが多いが、その局の数だけ払っても、関東キー局よりもかなり安い。
※このデータから考えると、経済産業省の「5000万円」という数字がどうも大きい気がする。月額の間違いかも

 書籍を読んで、とりあえず理解したところからいくと、アニメのビジネスは先ほど挙げたように大枠として2種類にわかれる。費用は1話あたりの数字。

  • キッズ・ファミリータイプ
    • 全国ネットワークのプライムタイムや土日午前中に放映
    • 番組提供料(スポンサーから払われる料金)2125万円
    • 局からの制作費は全国ネットワークだと約800万円、TXNだと約350万
    • 実際の制作費は約1100万円(東映の決算書からの算出)
    • おもちゃなどの版権料で稼ぐ
  • 青年層タイプ
    • キー局の深夜や地方U局で放映
    • 複数のスポンサーが出資している製作委員会方式
    • 映像自体が商品で主にDVDで稼ぐ
    • 局からの制作費は約250万円だが、放送局から制作費が払われない作品も多い。これは製作委員会が宣伝として放送枠を買っている。ただし、製作委員会に放送局が入っている場合は出資している
    • プロダクションI・GやGONZOなどのレベルだと1500~1600万円、それ以外はファミリータイプの中間ぐらいで1400万円と算出している(『攻殻機動隊SAC』は3000万円で破格)
    • 枠買い取りなら、広告代理店は絡まないはずだが、どうもそこで手数料を取るらしい。これがラジオで言われていた「代理店の既得権益」だと思われる。※追記 最初に枠を買っているのが広告代理店なので絡むようだ。

※NHKは約1100万円の制作費となっていた。NHKのアニメ制作費が安いという情報を見かけたんだけど、この書籍での情報を見る限り、制作費をフルに払っているのだから、NHKは良い方に思える。

 大雑把に言うと、キッズ・ファミリータイプは「放送局が番組を購入している」で、青年層タイプは「製作委員会が放送局から番組枠を購入して放送してもらっている」ということになる。
 だから、後者の青年層タイプはネットでの配信も当然意味があるだろう。最近ではGyaoやNIFTYでの配信も多く、すでに1週遅れぐらいで無料配信している新作アニメは結構あるんだけど、どうもその辺を無視して話している人がいっぱいいるのが謎。

※今回の話題の発端
偽・うpのギョーカイ時事放談SUPER![↑B]
 このラジオの第4回。
アニメ制作者がネットラジオでニ○○○動画を痛烈に批判 - GIGAZINE[↑B]
痛いニュース(ノ∀`):アニメ製作者が、アニメの違法アップロード&ニワンゴに問題提起[↑B]

※関連
『灼眼のシャナ』2期の放送局変更のビジネス的な重要性について - 桀紂屋(ketchu)[↑B]
アニメの予算・制作費を語る:アルファルファモザイク[↑B]

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トラックバック/ピンバック:1個

  1. トラックバック: パノラマ日常奇談[↑B]より - 2007/10/30(火)

    アニメのスキーム2…

    こんなこと書いておいて速攻手の平返すようでアレですが、ARTIFACTさんの「プライムタイムのアニメと深夜アニメのビジネスモデルはまったく別」という記事で、下のような書 (more…)

コメント:2個

  1. 投稿者:qaze00 / 投稿日:2007/11/1(木):

    記事を読む限りでは、つまりアニメの時間帯によってビジネスモデルは違うため、削除されるアニメとされないアニメがある・・・という趣旨でしょうか。

  2. 投稿者:alert / 投稿日:2007/11/2(金):

    無料配信している新作アニメはほぼメジャー所で、地方でも地上波で見ることが出来るので必然的に無視されます。
    地方オタはテレ東とかTVKとかでやってるのを求めている。

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